他人事倉庫

他人事の長文置き場です。

jam感想

結構切実めに「jamヒットして欲しい」と願っているのです。

そういう世の中は私にとって生き易いという意味もあるのだけれど。
いや、面白かったよね?
目立った粗はないし、時間も二時間以内でテンポだってとても良い。
そりゃ、痛快・爽快エンターテイメント!とか間違っても言えないのは知ってるけどさぁ、いつの世もこういう映画が好きな人が一定数はいるじゃない? 知らんけど。

普段は小劇場演劇やら、邦画やらの沼に住んでいる住人なので、jamが刺さらない筈の無い私です。
まぁ、それこそ読んでる人からの「知らんけど」待ちな自己紹介になるのですが。
 
ツイッターの垢を新設するにあたって、劇団EXILE推しの人間である事を隠し、あたかもサブカルクソ女が上から目線で期待せずに観に行ったら結構面白かったよ!オススメ!みたいなノリで、僅かでも劇団fam以外を映画館に誘導できたらと目論んでみたけれども、一万年と二千年前からオタクムーブの止まない地獄の住人私なのでかなり早い段階でそれは諦めちゃった。
てか劇団推しでない自分を偽装とか、フォースがMASAKOと共にある私には無理な話やで、正味の話。
すぐ、顔がいい! そして、スタイルもいい!って褒めちゃうし。
常に劇団の人達をあらん限りに褒めたいという姿勢打ち出してるので、誤魔化しとかは効くわけないのです。
 
SABU監督の作品はウィキってみたら結構見てた。
ゼロ年代が一番邦画を見てた時期なので(田舎なので、五本で1000円でビデオが借りられるの)ドンピシャ世代の監督さん。
好きなのは、ポストマンブルースとかDRIVEとか、時間が経過する毎に土砂崩れになってくやつ。
でも、蟹工船も原作の悲惨さが滑稽ユーモアに昇華されてて面白かったし、Mr.ロンも人情ファンタジーとして成立してて大好きでーす!
劇団の事はハイローで知った、つまり、ドドドド新規なのですが、ノボルを推すようになって、そのまま箱ごとズブズブの例の流れ。
LDHを忌避していたオタクが、愛と夢と幸せの沼に突然足を取られた経緯については各方面において色んな方が色んな立場で書いておられて「分かりみしかない!」とその全てに膝を叩いてきたので、もう私の膝は試合に出られない位ボロボロですし、安西先生も需要が無いよと冷静にアドバイスして下さってるので割愛。
で、jam。
私は、ステッカー欲しさにムビチケを四枚買い、大阪の梅田にて舞台挨拶時に二回見て、その後名古屋で1回見てます。

まあ、初回はMASAKOに殺されたよね。
まさに、初見殺しのMASAKO。
心がノーガードだと耐えられないし、二回目以降ガードしても 意味が無い。
その名も絶殺マシーンMASAKO。
慈悲など彼女にはないのである。
こんなもん、三次元推しヲタはオーバーキル以外の結末なくない?
そしてSABU監督は、三次元ヲタに詳しすぎない?
なんなの、あのリアリティ。
MASAKOがMASAKOムーブメントを魅せてくれてる間、ずっと喉奥で鉄錆の味がしていて「あ、これはいよいよ血を吐くな」という場面が何度もあったので、まぁ、そういうヤツですわ。
マジでMASAKOだけで1800円分の価値あるし、前売り買った人なら500円儲けが出てるから、缶バッチを買うと良いと思うよ。
絵柄可愛いし、細部まで凝ってるし、私はコンプ目指して梅田のブルク7で9個注文したら1セットでまとめて売ってくれたので、コンプ狙いの人や推しが確実に欲しい人はバッチが店頭出てないタイプの売店だと9個一気買いしたらあっさり揃うか も。
あと、パンフも是非買って下さい。
ヒロシのお歌の歌詞全部載ってるんで、是非買って心がしんどいと時に口ずさんで下さい。
相当どうかしてるので、自分のしんどさがどうでも良くなります。

話を戻して。
何しろ、MASAKOを演じてるのが第三舞台のミューズ、筒井真理子さんで、第三舞台で男心を惑わす魔性の女といえば、この方!な女優さんなわけなのです。
だから、すんごいエッチ。
声の出し方、仕草、態度、体型、ひろしへの触れ方全部エッチで、ずっと性の匂いがしてる。
湿度も高い。
ていうか、100%。
つまり雨が降ってる位に常に濡れてるっぽい女・MASAKO。
膝頭が出るくらいの長さの下着が透ける白ワンピも、とてもだらしなくて良かったし、ヒロシが枕営業してるんだって勘違いされるのもやむなしなウェット感がリア恋営業を迂闊に重ねてきた末の地獄で待ちうけている女神にふさわ しいキャラ過ぎてSABU監督のキャスティング天才!って感じ。
特に、お台所で自分のふくらはぎをもう片方の足で掻いちゃう仕草とか、歌が出来ずにくたびれ果てて椅子でぐったりしてる時の年齢がそのまま刻み付けられてるかのような脚の陰影、そんな生活感のあるエロスが素晴らしかった。
まぁ、ヒロシのリア恋営業にMASAKOは狂った訳だけどだからといって、正真正銘のガチ恋だったかといえば、それは違うじゃない?
拉致監禁するけど、望んだのは恋愛関係とかセックスじゃなくて曲作りだし、その曲作りも周囲の同担、特に自分と解釈違いを起こしている嫌いな同担に対するマウントが主目的になっっちゃってるわけでしょう?
つまり、ガチ恋してて同担拒否ってる人じゃなく、同担は沢山欲しいけどその有象無象の中で燦然と輝くナンバー1になりたいし、自分がナンバー1であることを周囲に認知して欲しい訳なんですね。
これねー、もうねー、分かりみの深さ地球の内核に到達するかと思うやつー!
マグマや。
そこにはもう、感情のマグマしか存在しないやつや。
自身の才能で勝負出来ない人間が、ヲタクになっちまった時、どんだけ推しを理解してるか、推しに認知されてるかのマウントの取り合う事で自身の承認欲求満たすってムーブは宿命のように避けられないものだし、相手が現実を生きてる存在ともなれば推しから特別なファンサが貰えた数と、首狩り族の勇敢な戦士が腰に提げてる獲物の頭蓋骨の数が同じ意味を持ってくるのは仕方の無い事なのよ(?)
うん、自分例え下手やなー!
 
これまで 、映画やドラマといったパブリック対象のメディアにおいて描かれるヲタクには矛盾と誤解がつきものでした。
腐女子の誤用に始まり、リア恋枠と崇拝枠は一緒くたにされ、大分別されたステロタイプな特徴を全て兼ね備えた矛盾だらけの哀しきモンスター。
それがメディアの提示するヲタクであり、私はそれを見るたびに「オッケー☆ まだ理解が及んでない」と安堵していた。
しかし、ここにきてSABU監督は一切の矛盾の無い、「三次元の推しを熱狂的に応援するヲタ」像を私達に提示した。
ミザリー的にアグレッシブでありながら、日本と言う国土が育んだ絶妙な奥ゆかしさと狂気と純粋さを孕んだMASAKO。
彼女は全然正気じゃなくって、でも、ヒロシ以外に対しては社会性のある言動を行えていて、その両立できちゃう感じも「ああ、日本 のヲタク!」っていう印象。
きっと、理性を磨耗させられなかった彼女の中では自分の行動に、無理矢理整合性をつけてたんだろうなぁ。

ひろしは自分の事をナンバー1のFANだって認めてくれた。
だったら、解釈が間違ってるFANに目に物を見せる為に私の曲を作って欲しい。
でも、ひろしに急にそんなお願いをしても聞いて貰えないだろうし(生存してる理性)積む金もない
そうだ(閃き) だったら拉致・監禁だ!
最初のうちは刃物をちらつかせて圧強めに言う事を聞いて貰ってたけど、最終的には二人で名曲を作り上げ私達は通じ合えた(特別な認知を得た)筈。
 
普通の人間からすれば拉致監禁を行った相手が唯々諾々と自分の要望に応えてくれる筈ないだろうと分かるはずだろうに、そこの認知が歪んでいる。
ナンバー1のファンだから、ファンに優しく、自分の事を特別大事に想ってくれてるであろうヒロシは裏切らないと信じてる。
そもそも自分が最初にヒロシが信じてる(というか、疑った事もない)ファンの範疇を逸脱して裏切っていると気付いてない。
まさしく、因果応報に見舞われたMASAKOの「私を見て」という叫びは獣のようで人の限界に在るようでいて、三回目に見た際に私はとうとう泣いていて。
なんで、泣いてるの?って不思議でしょうがなくて。
分かんないけど、これが切ないって事だよなって納得するしかなかったわけなのです。

キラキラした恋愛物じゃなくても、絆を確かめる家族の物語じゃなくても、何一つ相手に届かない愚かで凶暴な一途さは切ないし、MASAKOを胸の内に棲まわせて必死に飼いならしてる人間が大画面の向こうで限界を突破して命がけで推しに玉砕したMASAKOを見るとやっぱり泣けちゃう。
 
あんな風にはなるまいよ。
そして、あんな風にはなれまいよと思い知らされるのです。
 
MASAKOを笑えない時点で、私も同じ星に住む怪物で、でもそんな事は前から分かってたから間違っても「私を見て」と私は叫ばない。
ただ、ファンサを欲してるうちで終わればよかったのにね。
最期フロントガラスを突き破って推しの胸に飛び込んだMASAKOは、素直に微笑んでいて命を懸けて推しを守った善なる報いも受けたのだなとか考えると、これはこれでMASAKOのハッピーエンドだったろうと思うし、MASAKOがハッピーなら私もハッピーだよ!とか納得してしまう他なくて。
総じて、そんなMASAKOを過不足無く「この人いる! 私の中に! そして、何処の沼界隈にも!」と思い知らせる演技を見せた筒井真理子が凄すぎる!という話なのでした。

あとはもう 、普通の映画感想と一緒になるよね。
いや、箱で推してる表明してるから劇団員の話はしたいのだけど。
普通に褒めるしかないわな。
何しろ、LDH沼界隈以外の人に、どうやったら見て貰えるのか私はちゃんと悩んでるからね!
 
これハイローと一緒の流れ汲めないのかな?
リア充パリピのキーアイコンだったEXILE及びEXILE周りの彼らがヲタクコンテンツとなってくれたっていう、バネの効き方があの跳ね具合に繋がったと思うのだけど、jamはその上で芝居に対する期待を余り持たれてない劇団EXILEの面々が総出で充分以上の演技力で床這いずり回って、暴力まみれの、人間の欲と因果と虚しさに満ちた映画作り上げましたとかって、ほんと上手に手順を踏めれば、スマッシュヒット位には繋がると思うのよね。
映画のコンテンツ力は充分あると思うし、届くべき層に兎に角届いて欲しくって、名の知れた映画評を書くインフルエンサーとかに早く見つかりますようにって毎日、ふとした瞬間に祈っていたりするのです。
 
青柳さんが演じたヒロシは、頭が悪くて、小心で利己的で流され易くて、その場凌ぎを繰り返してっていう凡そ駄目ばかりの人間が、うっかりステータス顔の良さと歌の巧さに全振りしちゃうとこうなっちゃうよ!の見本みたいな人だと思うんです。
小さな器では扱いきれない武器を手にしてしまってる人みたい。
だから、自分の持ってる武器の威力を把握せずに無謀に振るって人を狂わせちゃう。
凄い似合うと思って。
青柳さんの他人への興味のなさとか自分自身すら大事に思ってなさそうな刹那的な佇まいとか、ほんとヒロシにぴったりだった。
ヒロシはお金は大好きだったけど、お金で欲しいものなんて何もなかったんじゃないのかな?
そのくらい、何かに執着してる姿が思い浮かばない虚ろな佇まい。
宗教的ですらある熱狂的なファンに取り囲まれてのトークトゥミーも心ある者ならこれ危ないなってすぐに分かる、爆薬庫で火遊びしてるみたいな危ない仕事の仕方をしてるし、実際煮詰まってるファンの様子を見ても「シラける」としか感じてない危機感のなさがほんとヤバイ!って震え上がる。
ファンの事なんか全然見てない空っぽさは、逆に中年女性たちの愛情を一心に受けるに相応しくて、彼女達の都合の良い擬似恋人になれる意思のない人形みたいで、ギラギラしたりヒラヒラしてる装飾過多なお衣装を着 てダサく格好をつけてる姿も虚無の国から来た王子様みたいで倒錯的だった。
多分、ああいう人はどこにいてもそこそこ幸せで、どこにいてもそこそこ満たされないままだと思うから。
だったら、ヒロシも因果応報によってあのラストの先にMASAKOとおっかけっこを繰り返す未来が待ってるかも知れないし、いつか彼女に捕まってしまうかもしれないけど、それはそれで刺激のある暮らしになりそうじゃないとか他人事フェイスで考えてしまうんですよね。
少なくとも、ヒロシがコンサートで曲順を変更してMASAKOと対立した成金ヲタの提案した曲順通りの構成にしちゃうとこで、私は初めてヒロシの悪意という『心』を目の当たりにしたし、MASAKOはあれだけ虚ろだったヒロシの心を力づくで動かした女でもあるわけで 、続編にも是非生き残ってヒロシの心を動かし続けて欲しい訳なのです。
青柳さん自身のお歌の巧さ+あの人役が入ったら本当に躊躇も遠慮も無くなるんだなというヒロシへの没入っぷりが凄まじくって、筒井さんの名演もあいまって、あの二人にまた会える(かもしれない)未来が今の私に待ち受けている事が嬉しくってしょうがないなぁ!
心からjam2のヒロシも楽しみにしています!とか無責任に述べてしまっておこう。
 
町田さんはね…あ、推しです。
ノボルから継続して中の人への流れで推す事になったので、私の今の有様の全ての元凶。
てめぇ、なんてことしてくれるんだ、おかげで毎日はちゃめちゃに忙しくて楽しいぜ、せんきゅー!な推しです。
私のMASAKOが反応する男、それが町田啓太で すと述べておいて、どうぞ御覧になってよ顔がいいのをとか言う他ないのよな。
しょうがないじゃない。
検索のサジェストに「顔が良すぎる」って出ちゃうんだもん。
町田啓太の最大の特徴は、あの顔でしょうよ。
あの顔で事前に「僕、変態っぽい役なんですよう(にこにこ)」とか述べてても「そうなの? よかったねぇ」って言う他ないじゃないのよさ。
で、映画館に行ってだ「まぁ、イケメン役者が『変態なんですよぅ』とか言うてても、せいぜい『ナイフをぺろり』程度のアレやろ? 格好いいエッセンスになる程度の狂気を指して変態て言ううわああああ(ドン引き)ア、本当に、手加減無く変態だー!」と言う、即堕ち2コマを披露する羽目に。
何しろ、ほら私舞台挨拶回が初回なので即堕ち後、間を置かずして御本人登場しなさるもんだから、発光するみたいにピカピカに顔が綺麗な町田さんが映画の中でやってのけてた振る舞いを思い出すとゾッとするものがあったし、それはそれで得難い経験だったのでこの先舞台挨拶イベとかあって行ける時間があるようなら行ってみたらいいと思いますよ!(ダイマをちょくちょく挟んでいくスタイル)
 
しかし、タケルというキャラクターは私の中では変態という言葉よりも異常者というがしっくりくるんだよなぁ。
だって、変態って言葉は「異常性欲者」にむけて使われる言葉だし、その根幹に性的欲求があるわけじゃないですかぁ(まぁ、厳密な意味で『変態』という名称を使っているとは思ってないのだけど)
でも、タケルは「いいこと」をする際にも、 献身的に彼女の介護を行ってる時も、その様子を見るに気持ち悪さはあれど本人が性的興奮を覚えてるわけじゃない(まぁ、もし覚えてたという隠し設定があったなら文句なしに変態!!と罵るしかねぇ覚悟は決めてる)
ただ、目をギラギラさせながら周囲から見て異様な振る舞いをそれと気付かずに必死に行っている様がシンプルにコワイというだけで、本人の中では善行の動機付けも明確になされてる(あくまで本人の中ではだけど)
タケルのおかしさって彼女の危機に対し、自身が余りに無力である事に耐え切れず、嘘か真か己が耳にした「神様のお告げ」を盲信し、生きがいにすらしているという部分に起因しているわけで、その冷静でなさはやっぱり変態なのではなく、異常と呼ぶのが相応しい気がするんだよな。
大体、大元を正せば彼女を 救いたい余りに必死に『困った人』を捜すという事は、そもそも善行なのだろうか?という疑問も浮かんでくるのよね。
困ってる人を見ると嬉々とする姿は、やっぱり異常で、純粋が行き過ぎた結果の末路に見えて、自分の望みの為に人の不幸を欲しているようで、でも本人の中ではそんなクソみたいな哲学とっくに磨り潰されてんだろうしタケルが昏睡状態の彼女を救う為なら何でもするという決意は善悪の向こう側にある覚悟なのだから、最早誰も何もタケルの有様に口を出せない領域にあるのだろうなぁ
そもそも、彼の善行自体、悪行の手助けになっていたりして、その良し悪しって誰が決めるの? 自分、神様? 因果応報の因果律が支配する世界において何者かのジャッジメントの先に彼女が目覚めるか否か の結果があるとタケルが信じてるのだとしたら、じゃあ、彼女の命ってなんなの?
タケルの人生の登場人物なの?
タケルの行い次第で生き死にが決められちゃう彼女の命って何?ってタケルは思わない?
 
思わないんだろうなぁ。
 
ラーメン屋での蟻の話と一緒なのです。
キリがないから。
考える事は、もうとっくにタケルはやめちゃってるんだと思います。
自分と自分の大事な人の為なら、何もかも投げ打てるって言葉は美しいけどね。
その為に善行を積むって美談に聞こえるけどね。
 
神様の言葉を信じて疑わないタケルはやっぱり恐ろしい。
だって、あいつ彼女を救うためには一日三人殺しなさいって神様に言われたら、多分殺すぜ?
人間極端に至ると、どうしても異常性が垣間見えるし、でもタケルは他者に異常と指摘されようとも(実際、家族や友人からされててもおかしくない)もうどうだっていいんだろうな。
町田啓太の美しい顔面をして、昏睡状態の彼女を救う為に一日三度良き事を行うという好青年を演じさせ、その異常性を浮き彫りにするとかSABU監督の底意地の悪さ、人間という生き物の面白がり方が冴え渡っていて、固執こそが人間にとって一番恐ろしい感情なんだぜ?って言い聞かされてるみたいだった。
大体、タケルって相当鈍いし、察する能力低いし、人を疑わないし、センチュリー乗ってるし、素性はボンボンってjam callでも言うてたけど、世間を余りにも知らなさそうなとこが余計に怖さに拍車を掛けてんのよね。
世の中の悪意なんて何にも知らなさそうな無垢な顔が嘘臭くないとかほんと凄い。
だから町田さんがタケルをアテガキされてんだなって心底思った。
 
市民ホールで不意に、爆発するみたいな怒りにかられる姿を見て、少しだけほっとした。
この人、ちゃんとずっと怒ってたんだなって。
ずっと笑ってるばかりだった男の白い顔に陽炎みたいに怒りが立ち上る瞬間に、えも言われぬカタルシスを覚えたし、タケルの正常をやっと見た気もした。
最後、何となく前後のシークエンスから見るに、彼女は目覚めたのかしら?とも思うんだけど(目を開けてるシーンもあったしね)これで続編で彼女が実はタケルの恋人でもなんでもなかった。
彼女とはただの知り合いでしかなく て、全部タケルの思い込みだったとかなら恐ろしさ倍増だなとか、映画を見た人のおおよそ98%が考えそうな事をドヤ顔で書いておく事としよう。
こんなもん、書いたモン勝ちやしな!(何の勝負か)

今までの町田啓太セオリーだと彼女の脳に障害が出ていて全部記憶を失ってるとか、呆気なく別れを告げられるとかなんだけど、何にせよ彼女が目覚めて二人で幸せに暮らしました…とか、これまで恋愛物に出るたびに「フられるぞー! また、フられるぞー!」とフられる警報が発令されてきた天下御免のフられ役者が、そんな大団円迎えられるとは思ってないので、どんな波乱が待ち受けてるか僕ぁ楽しでしょうがないです。
相手役の清水くるみさんも舞台でお見かけして以来、大好きな女優さんで今回台詞が無かったので、次回ではタケルとしっかり絡んでるところを見たいわけだし、まぁね! 言うても推しだしね! ドラマ決まる度に、君が好きな人と100年続きますように…とかハナミズキる位にはね! 幸せ願ってるんで、続編でなんとか彼女と困難を乗り越えて添い遂げたりしてもいいんやで! マジで! 何卒一つ! とも祈っておるのです。
 
伸之さんのテツオは、主役三人の中では一番情報量が少なくて、一番私に刺さる役。
何しろ、虚構の暴力を三度の飯より好む身の上なもんで、体のでっかい鈴木伸之が縦横無尽に大暴れ!ってだけで「おっしゃ、ばっちこい!」って気分になるし、実際キた。
相当殴られるし、蹴られるし、引きずられるし、転がるし。
人間同士の喧嘩なんて、結局肉のぶつかりあいなんで、こんな感じになりますよ?というリアリティと一人対大勢という現実では中々 成立し難い構図の両輪を成立させてる辺りに「長年飯の種にしてます!」というSABU監督の暴力のプロさを実感。

Mr.ロンの暴力も好きだったなぁ。
特に最後の大虐殺。
相手がロンの構えるナイフに吸い込まれるみたいな静謐な立ち回り。
勿論、動きをつけてる人はまた別にいるのだろうが一連の流れの匙加減が決して逸脱はしておらず、それでいてエンタメとして成立する華もあって、私のとても好きな暴力!と今回のjamに対しても前のめりで訴えたい所存。

テツオは自分が傷つく事なんかちっとも怖がってない、ただひたすらに前に前に進んでいくような暴力で、自分を裏切った人間を叩き潰す事だけに邁進するし、その結果報復の報復に対しても黙ったまま立ち向かってく。
パンフを読むと、それは「構って欲しいから」であって、例え暴力であっても構われてるから、もっと構って欲しくて暴れて、最後壊れて動かなくなるまで暴れた先に見た世界が彼にとって優しいものであった事を祈らずにはいられない。
撃たれて、警察に取り押さえられた彼が、逃げる仲間を見る目がちょっとどうかって位可哀想で、こんなに裏切られた!ってショックを表明している顔もあるまいという程に取り残される子供の顔をしていて、その顔一つで彼を見舞った出来事が彼をどれ程絶望させたのか分かるようで辛かった。
 
勝手な想像ですけどね。
 
仲良かったんだろうなって。
少なくともテツオは懐いてたんじゃないかな、自分を裏切った三人に。
後述するけど、山下とか金城とかテツオみたいなのにも屈託なさ そうだもの。
お節介焼きそうだし、色々馬鹿話とかしかけそうだし、テツオは友達だと思ってたのかもしれない。
並んでラーメンを食べたりしてるような時間が彼らにあったとしたら、あんまりにもしんどくて。
悪事は悪事なんだけどね。
でも悪事に一緒に取り組める仲間が、学生時代は喧嘩ばかりしていた大人になった時に身を寄せるアテが年老い痴呆の始まっている祖母しかいないテツオにとっては大事な存在だったのだとしたら、復讐という方法でしか彼らに会いにいけなくなってしまったテツオの孤独を思うと寂しくて仕方なくなる。
誰か…それが友達でも恋人でも家族でもいいし、犬とか猫とか動物でもいいと思うのだけど、兎に角誰かテツオと心を通わせる人を。
彼が寄り添える人を続編で見つけられたら(彼が生きてるかどうかも厳しいのだけど)テツオは本当に救われるんだろうなぁてずっと考えてる。
トンカチ一つ握り締めて、錆付いたような、煤けたまなざしをして、寂れた商店街を老婆を車椅子に乗せて彷徨うテツオ。
その画が余りに引きが強すぎて、キービジュアルとしての完成度が高すぎて、その画一つでいっぺんにテツオに心を持っていかれました。
テツオの登場部分は、ほんと私と性癖同じくする人々には強くぶっ刺さると思うから是非見て欲しいし、劇団EXILEの特色でもあるフィジカルの強さを堪能して、じゃあ次回作も見ようかな?ってなって欲しいなぁ。
多分、LDH沼や劇団推しの人以外の人への希求力はテツオが一番持っておる気がするので、どうぞテツオをあの冷え切った鉄の塊のような佇まいと暴れっぷりを見てください!とか何とか訴えたいんだけどなぁって考えてます。

ことほどさように。
主演三人は相当バラバラの役を、それぞれの持ち味とこれまで培ってきた経験則に基づくそれぞれの演技力で演じきっていました。
贔屓目やろ?と言われても構わん。
巧いぜ、相当。
基礎点と技術点が真っ当に高いし、場数も相当踏んできてるから客を芝居で醒めさせるなんて事は絶対にさせない。
役に即した監督が提示する世界を構築する材料として完璧な仕事をしているし、それでいてLDHという他事務所に比べると相当特殊な環境で育ってきた役者達なので、メソッドの違う芝居の取り組み方してるのが芝居や映画見慣れてる人には新鮮に映るだろうからほんと、つまんなかったら私に一回石投げてうさばらししていいから(なるだけ小さめの石な)頼むよ、見てよという気持ちが溢れてしょうがない。
 
あとね、文字数はもうじき1万字になるんでほんと駆け足になっちゃうけど、山下と金城の奥歯が軋みそうになる位可愛いコンビもね、可愛いしかない!
ほんと、あの二人はSABU監督~~! 好き~~!!ってなる。
まさに、THE・SABU監督キャラ!みたいな、人間の愚かさと可愛さを煮詰めきった二人組。
優しいのと悪いのと自分勝手なのと馬鹿なのと、全部が一緒に在るキャラなんてそうそう拝めたもんじゃないでしょう?
私、将康さんの顔みると無条件で「おなかすいてない?」って美味しいもの食べさせてあげたくなる病気なんだけど、非合法組織に所属してる役ですら「ビスコあげよっか?」って気持ち高まるの凄いし、そんな金城の手が使えなくなってから山下に何くれとなく面倒見てもらってる姿も奥歯が軋んだ。
ロック外した銃持たして貰うシーンが可愛い面白いとかSABU監督酷い!ってなるけど、可愛いは正義だしね!
山下も、もう好きー!ってなるわ、そりゃ。
そもそも秋真さんの顔が超好みだし(特にあの見事な鼻筋よ!)(もう、あの鼻筋をゲレンデにしてスキーしたいし、ゲレンデが溶ける程恋したい)(気が狂ってる)、声とか最高に良きだし、普段知的で冷静な佇まいの秋真さんがお馬鹿で優しいんだか悪いんだかよく分かんない粗暴だけど可愛い男を演ってて御覧なさいよ。

ああいうことになるわけよ(好き)
 
いわゆる、ハムレットにおける墓堀の道化な役回りの二人なわけだけど、彼らの出てるシーンは全部好きだったし、ラーメン屋の四人で会話を回すシーンは映画としても劇団で映画を作るという意味におい ても白眉というべきエモーショナルな場面だったのでムビチケまだあるし、また映画館で堪能してこようっと!
 
おざさんの世良は、まぁ好きよね。
ああいうおざさん、まぁ好みだし、爛れた怖さがあって良かったので、主演三人がインタビュー重なりすぎて後半完全に気が狂ってるノリで世良のスピンオフ見たい言うてたのに全力で乗っかりたいなぁ。
私はガチで見たいで?
シャブ中のネジが切れてるヤクザなおざさん。
ウルトラマンで掴んだお子様ファンを全部放流する勢いのエグいやつ。
 
小野塚さんもあの出番で、あんだけの台詞で「どうだ、巧いだろ」っていう打点の高い芝居の巧さ見せてくるのほんと凄いよなって感心する。
単純にシンプルに圧倒的に芝居が巧い。
広島を舞台にした日本酒映画「恋のしずく」の お芝居も素晴らしかったし、準主役だし、良い映画なので、是非そちらもどうぞ(差し挟むダイマ
あと、ピンクゴールドの髪色があんなに似合うのはちゃめちゃに顔が可愛いの証なので、はちゃめちゃに顔が可愛いなと思いました。
 
寛太ちゃんはねぇ、寛太ちゃんは…かぁいいよねぇ…
いや、劇団ちゃん達の良かった探しをする腕前にかけては、そこそこ自信あるけど流石にあの出番だと「顔が物凄く可愛い」以外の語彙を失うしかねぇわ。
あれだけの出番でちゃんと、野替さん除くメンツ全員の飲み会に参加してる事に感嘆するしかねぇわ。
あ、あと将康さんに言葉でやりこめられてる寛太ちゃんというのは役の上で位しか見られないだろうから、貴重なもの見たな!という印象です。
そういや 、jamコールにて語ってくれた隠し設定で元はアウトローの出身言うてたけど、確かにあの若さで店を切り盛りしてんの、どういう資金の稼ぎ方したんだろ?ってなるので納得なんだけど逆にあの若さでアウトローの世界に生きた後に引退してラーメン屋の店主になるとか「どういう人生?!」って興味が尽きないので、続編でちょっとは分かると良いよね。
 
さて、最後に野替さんなんだけど、ここにきて私のMASAKOが騒ぎ出してるのでぶっちゃけてしまえば、この感想文書く間にも何度か引用させて貰ってる彼らの隠し設定をLDH TVのjam callで聞き出したコールセンターみたいな質問の仕方をする女。
 
あいつ、私。
私が犯人。

先日jam callの当選者プレゼントも受け取った。
劇団員全員の私の宛名付きサイン入りのパンフもろた。
額縁入れて、缶バッチと一緒に壁に飾るつもり。
この貴重な経験については、またここのブログに長文でしたためる予定ではあるけど、何が言いたいかっつうとや。
港町とヒロシの関係を聞き出した私に、あの設定が刺さった青柳翔と野替愁平のオンナはファインプレーで賞として、お歳暮を贈ってくれてもええんやで?というそれだけなのです。
地元の名産を送ってくれても嬉しいんやで?と、まぁ、それだけなのです。(両手を差し出しながら)
おねぇっぽいか否かは、言われてみたら程度のニュアンスだった港町。
まあ、妙に色っぽくはあったけど、野替さんいついかなる時も色っぽくて顔が死ぬほ どいい人だから、ニュアンス程度の匂わせだと言われなきゃ気付けないわけで。
あと、エンドロール後の港町はSWAY以外の何者でもないわけで。
まぁ、とどのつまり「お歳暮待ってます!」で総括としておこう。
 
はい、長くなったけど、ここまで読んでくれた人はもうヘトヘトだろうし、とりあえずは感想文これまでにしときます!
いや、全然あと一万字は余裕なのよ。
北九州市の治安の悪さに突っ込みたいとか、類似点の多いタランティーノの話したいなとか、因果応報を主題とした物語から類推されるキャラクターの行動原理や結末の解釈とか、全然書きたい。
衣装とか登場人物のアップのタイミングと割合が絶妙なカメラワークとか、長回しのシーンが孕んでいる熱量と緊迫感の上質具合とか 、ざらついた青味が印象的な画質とか、ヒロシの歌の歌詞とか、文字にしたいことがこんなにある映画も珍しいぜ?って感動してる。
だけど、書きたい私に冷静な私が「読みたくない」って言ってるので、jamについては一旦ここまで!
ほんと、沢山の人に見て欲しいなってそればっかりを純粋に祈ってもいるので、この祈りを届かせる為にも、私もなんかいいこと行って、因果応報活動してみようかしら?