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他人事の長文置き場です。

推しの結婚

注:推しの結婚にまつわるブログですので、相当に遠慮のない表現を駆使しております。
町田啓太の結婚についてセンシティブな感情を抱いてる方にはお勧め出来ない内容である事を御承知おき下さい。


推しが結婚した。
私は正気を失い損ねた。



あけましておめでとうございます!とか、今現在忸怩たる気持ちで新年のご挨拶をさせて貰っているわけである。
タイトルから察せられる通り、めでてぇんだけどオタクが書くからにはめでてぇ気持ちを綴るつもりはないんだろうなぁと察せられるブログを令和4年に書き上げ損ねた女が、旧年中に吐き出し損ねたお気持ちをまさかの年明け初日に披露する事になるなんて2022年の私のなんと筆の遅い事よ!と他人を眺める眼差しを送ってもいるのである。

まぁ、事の次第としては令和4年のクリスマスに「いつも応援してくださる皆様へ」といった穏やかでないタイトルのブログで自身の入籍を知らせてくれたのは皆さま御存じ町田啓太だったというわけで。
以前からオタクを徐々に、しかし確実に仕留める!の決意があったのかなかったのかは知らないが、入籍に向けて次々と繰り出される「匂わせ」などと騒がれた数々のはしゃいでる写真や、事務所公認なんだろうなと分かるセブンの面白画像満載(ぶっちぎりで面白かったのは推しの服装と、劇団最年少ちゃんの隠し撮りの体を為さなくする堂々たる写されっぷり)の記事やらで覚悟完了を決めさせても貰っており、私個人としてはさていざ結婚報告をされた時に、どうやって正気を失ってやろうかしら?と楽しみに(?)備えていたところもあった。

何しろ、発狂とポエムはオタクの花。
※諸説あります。

推しの結婚などというオタク三大正気を失いチャンスを前にして、ツイッター在住オタクに散見される自分自身エンタメコンテンツ化欲望を抱えて生きる私としては「逃すまい! このビッグウェーブ」とすら意気込んでいたのである。
あと三大チャンスとか書いてるけど、他の二つについては全く思いついてもいないのである。

これまで数多くの名作が生まれた「推しが結婚した」オタク達の長文ブログに倣い「もし私が過去に戻れたなら、ITTOKANを抱え松明を掲げながら二人の出会いの切っ掛けとされている短編映画の撮影現場に乗り込み『ここでお前達が始まる前に私が全部終わらせる!!! つまりここが二人の関係の【終着の場所】ってことよ!!!』と大暴れしてやるんだから!」という決意をクソデカ誇張表現満載でブログに書き散かしてやろうか。

それとも人より猿の数が多い田舎が隣接する地方都市住まいの地の利を生かし、故あって夏に沢山人から貰う事になったけど一緒に遊んでくれる人がいないので倉庫に眠ったままになってる「徳用花火セット」の中でも特に派手なヤツらを厳選して、母方実家近くにある荒れ地になってる元・畑で「これがぁ! 結婚爆破ぁ! セレモニーじゃあああ!!」と点火しまくった挙句最後は自分自身が火達磨になりかけるオチまでついた動画を撮ってツイッターに流そうか。

いや、いっそ「推しの結婚なんて、勿論スペシャルハッピー過ぎますし! 推しの幸せ=あーしの幸せですしおすし!」なテンション側に自分の感情を振り切らせて都内を「啓太♡結婚おめでと♡お幸せに♡」とデカデカと描かれたラッピングカーを走らせる計画でも立案するのもありなのか?

とりとめもなく考えて、考えて、年の瀬も押し迫った25日にいよいよそのお報せを受けた瞬間私が放った渾身のお気持ちツイートは以下の通りとなったのであった。

 

御覧の通り当たりもしなけりゃ、障りもしねぇ!!
つまんねぇの見本みてぇな事を、つまんねぇの呼吸で飄々とツイートして私は吐き出しきれなかった靄のような物を身の内に抱えてしまったものだから、何とか足掻くようにしたり顔で呟いた。

 


うるせぇ! 傷付いてる人に寄り添おうとすんな! 推しの結婚で息してない人間に届く言葉なんかこの世にあるか!

激怒である。
思い返しても、つまらん自分への怒りが抑えきれなくなる。

結局のところ上記ツイートの通り、備えに備えた結果いざその時を迎えた私に去来した感情と言えばもう純粋なまでの「虚無」でしかなかったという事だ。
なんもねぇの。
なんも感じねぇの。

他の人はどうかは知らないが、私は文章を書くという事については勿論素人なので心が動かないと狂ったリリックを刻む事なんか出来ん訳で。
狂えない以上、私に出来る事は何もない。
推しは着々と準備をし、情報を出し、心構えを否応なくファンに強いて正気を失いたかった私の息の根を完璧に止めたのだと白旗を振るしかなかったのだった。

あーあー、狂いたかったなぁ!
呪詛をまき散らす事になるのか、自宅に勝手に近所のケーキ屋に発注掛けたウェディングケーキを自宅に搬入させて一人で踊り食いをするハッピーウェディングフェスティバルを開催する事になるのか分からなかったけど、私はちゃんと狂いたかった。
狂って、奇態な振る舞いをツイッターに記録して、そんなに町田啓太を推してる人間がいたのかと爪痕を残して、推しが結婚した現実を受け止めたかった。

ごめんね、推し。 狂えなくて。

たかだか付き合ってる事を隠すつもりのない沢山の写真と、結婚間近である事を表明する為の週刊誌とウィンウィン協定を結んで世に出した自分が主演の現場の打ち上げに彼女参加させてる熱愛写真と、クリスマスというタイミングで結婚報告を行う浮かれ方を目の前にして、いよいよ虚無しか得られない心境まで追いやられた根性なしでごめんね。

うん、まぁ、いやむしろ改めて羅列すっとオタク相当な仕打ちを受けているというか虚無になるのもやむなしでは?と自分自身の感情に納得を覚えそうにもなるのだが、推しの幸せを前にして「狂いたい」だの「正気を失いたい」だと推しの人生を何だと思ってんだ!というのも、もっともな話で。
そもそも、リアコ勢ではない私が推しの結婚に対して「おめでとう」以外の言葉を述べるのも不誠実な話ではあるのだ。
彼の人生にとって重要な決断に対し、承服しかねる感情を述べる立場にあるのは推しに失恋をした人間だけだろうし、推しと結婚したいと本気で思ってる人間以外は推しが結婚する事に対して寂しさを覚える事はあっても「結婚してくれるな」とは述べる立場にないのだと思う。

だから、私は報告を受けた瞬間の虚無感を決して悪しき感情ではないのだと納得をして、それからの日々を過ごす事にした。
何しろ、年の瀬ですし?
仕事は「多忙」の一言に尽きていて、私は何とか仕事納めが出来るよう奔走する事で推しの結婚について考える事を意識的にやめていた。
やめていた筈だった。

年内最終出勤日の前日、私は仕事をいつ切り上げて帰るか残業中に思案していて。
ひと段落したところで、もう少し粘るか? それとも、ここでよしとするか迷いながらふと思ったのだ。

「もうちょっと、残ろうか。 帰っても楽しいことがあるわけでなし」


それは心からの気持だった。
素直に湧き上がった偽らざる気持ちだった。
私はこんなに仕事で忙しい最中に、推しの結婚によって自分の日常が少し退屈になったのだと知った。

推しが結婚した時に推してる側が得る感情なんか人それぞれだろうから、共感を得たいとかではなく私事として書き残したいだけなんだが、私は今回初めて全力で推してる最中に推しに結婚をされたオタクで、これまで推してきた推しの中にも当然結婚されてる人はいらっしゃるが、気持ちがゆるやかに落ち着いてる時期に結婚されたりしていたので私は私がどうなるか一切判断がついていなかった。
そして、いざ報告を受けた際には「虚無」しか得られずなんてつまらんオタクだと自分で自分にがっかりした。
だが、その虚無は一時的な感情に終わらなかった。
激情を伴う事もなく、厭世に苛まれる事もなく、ただ曖昧模糊とした退屈を抱える事になった私が私は不思議でしょうがない。
5年も同棲をしてきた相手である以上、推しは何も変わらないのだ。

既婚者になったという以外は目に見える範囲では何も。

では、この虚無感の正体は何だ?
少し考えて、この「虚無感」が生まれた理由は町田啓太という人の「余白」を私は随分と狭められてしまった事に起因するのだと気付いた。
「余白」は言い換えると「想像の余地」としてもいい。
町田啓太のオタクの棲み分けを私は、己の観測範囲においてざっくりと「町田啓太個人推し」「劇団箱推し、町田啓太最推し」「出演作品由来の町田啓太推し」と分類しており、劇団推し・個人推しと出演作由来の推しは兼任の人もよくお見かけするといった印象を抱いていた。
私もハイローのノボルで入水した劇団推しの人間だ。
ツイッターで「町田 結婚」等と検索すると「町田くんは〇〇と結婚するんじゃなかったの? ぴえん」みたいな、私にとってクソ虫唾の走る失礼ツイートを見る事になるので大変精神衛生に悪いのだが、結局のところ彼らが嘆いているのも私が虚無を抱える事になったのと同じ理由なのだろう。
結婚によって自身が推しに夢を見ていたかった余白は失われてしまったのだ。

私が失った余白は劇団推し故の他愛もない、そうだったらいいのになっていう夢だ。
町田啓太にとって劇団EXILEこそがホームであって欲しいという可哀想な思い込みだ。
他の場所では優等生極まりない振る舞いと言動が板についている推しが劇団といる時は相当弛んだり、子供っぽくなったり、適当な扱いを受けて嬉し気であったりする様を特別視し、彼にとって最も寛げる場所は劇団なのだと思い込んでいたかった。
勿論、地元の人間関係なり御実家なりが推しにとって安らげる場所であろう事は分かっていたが、地元を離れた場所で気負わず飾らない自分でいられる場として劇団EXILEが在る事を夢見ている事が私の町田啓太を推すモチベーションに繋がっていた。

勿論、正気の私は「そんな事はないだろうな」って理解ってもいた。
所詮ファンでしかない私が知ってる事はごくわずかだ。
私の知らない大事な人間関係を当然推しは構築しているのだろう。
ほっとする場所は仕事と無関係な場所に持っているのかも知れない。
それは当たり前の話だ。
だけど知らないでいれば、それは「ある」のか「ない」のか可能性でしか語れない話になる。
可能性があるうちは、自由に夢をみていられた。

結婚するという事は、最愛の相手を持つという事だ。
一番大事な人がいるという事だ。
私が推している私の好きな町田啓太像は家族を何より大事にし、自身の伴侶と支え合い心から想い合える、そういう誠実な男性でこの私の中の町田啓太像は「夢を見ている」というよりは「信じている」というより強い感情から形成されている。
だから私は私によって自分勝手な夢を完全に諦めるしかなくなった。
町田啓太にとって一番は劇団EXILEじゃないという現実を受け止める他なかった。

私の虚無の理由はお相手が誰であろうが関係ないし、報告のタイミングも、報告に至る過程も無関係だ。
私は劇団EXILEの町田啓太が本当に好きで、とにかく大好きで、宝物みたいに好きだった。
彼の帰る場所は劇団EXILEなんだと夢を見られてる間の幸福感と高揚感が彼を推す理由の相当な割合を占めていた。
別に彼は退団した訳でなし、これから先も劇団EXILEなわけだし、私の目に見える彼に変化はないのだろう。
それでも、彼の立場は変わってしまった。
彼の帰る場所は彼女なのだと推しは私にきちんと教えてくれた。
結果、私はぽっかりと虚無の穴を抱えてしまって、今その真っ暗闇を結構持て余している。
この虚無の原因は私にしかなくて、だから当然だけど推しも推しのお相手に対しても悪心の一つとて抱きはしていない。
虚無を何とか埋めるべく両腕を回しても指先が触れ合えない位の大きさの虚無をぎゅうぎゅうに抱えながら、ふと思い至るのは「お町田さん、それだけ相手の事が好きなんだな」って事だったりして。
人気は高まり続けていて、今が大事な時期なのは間違いなくて、沢山の女性ファンに支えられている事は自覚しているだろう彼が、それでも結婚したい気持ちを抑えられない程に好きな相手に出会えたのならそれはとても素敵な事で。
推しにとってこれ以上ない幸せな事で。

だったら、もう仕方ないね…とかはまぁ、全然思わんのやけど。

いやいやいやいや、思わんよ。
知らんよ。
ていうか、そんだけ惚れた相手だから結婚しましたっていうんじゃなきゃ、こっちも納得できないよってだけの話で。
幸せでええですなぁ!じゃあ今度はファンである私達の事を幸せにしてくれや、いい仕事をしてな!とか、鬼の現場監督みたいな顔で言うし。
推しの幸せと私の幸せが一致する訳ないじゃんとか全然真顔で述べる人間性の持ち主なので、役者仕事で私の虚無を埋めてくれよって我が儘も述べるし。
これから先、町田啓太という人間に対して見ていた夢の大事な部分を結婚によってぽっかりと失った分だけ、町田啓太と言う役者が芝居で埋めてくれるのを期待だってしてるし。

だから私はこれからも見てるから、応援もするから、そして私の中に今だってしっかりと居座ってる虚無を自分で何とか始末するつもりでいるから、推しもどうか良い芝居で、私の好きなあなたにしか出来ないお芝居で、私の虚無を埋めてくれという祈りを今日地元の神社で初詣がてら捧げてくるつもりの、そういう決意表明のブログでした。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。





劇団EXILEのオタクが、ランペのETERNALを無料配信で見た感想

どうも、劇団EXILEのオタク他人事です。
あと、この感想文を書くにあたり前提として有用かと思うので劇団☆新感線のオタクである事も最初に書いておきます。
THE RAMPAGEについては、申しわけない程に解像度が低いです。
全メンバーの名前を把握はしていません。
劇団EXILEと絡みがあったり、繋がりのある方は存じ上げてます程度の人間です。

そんな私が、感想書こうとブログを立ち上げた理由はネガティブな出だしで申し訳ないんですけど、ぶっちゃけ劇団EXILEのオタクCLのコストパフォーマンスが良くないんですって愚痴から始まります。
全然番組が更新されなくて、何も見ないまま月額料金払う月とかも全然あって、月額千円マジで惜しい~!と思ってたところ、今回の無料配信があったんですよね。
で、これでちょっとでも元取りたいなって思ったんです。
一応、舞台クラスタの端くれでもあるし、評判良いのは知っていたので、じゃあ見てみるかってなりまして、見まして、その日の夜、私はレンブラント様の夢を見ました。

素直~!! 脳味噌がスポンジボブ位吸収率がいい!!!
スカスカだから、すぐ刷り込まれちゃうのかなぁ~???

殆ど知らんグループの、全く知らんゲームの2.5次元舞台をこの速度で夢に見ちゃう?とか自分の事が怖くなったのですが、なんか覚悟してた面白さとは違う方向の面白さに満ち溢れてて、THE RAMPAGEという「若くて」「踊れて」「動ける」ダンサーとボーカルが舞台に立つという事の魅力と醍醐味を、TV画面から享受してしまって、感想をどうしても書きたくなっちゃったんで、書きますね。
あ、こっから先はネタバレです。


何しろ、まず慄いたのが出演者が滅茶苦茶動きよる!って事ですよ。
ていうか、メインキャスト6名が正気の沙汰じゃない運動量を強いられてる事に私はずっと半笑いで「人間のやることか?」と疑問を抱き続けていたのですが、本公演終えた後にライブパートまであるのを見て、口の端から泡が吹きこぼれました。
私がオタクしてる劇団☆新感線って段取りと立ち回りが尋常でなく多い地獄演目を常に打ち続けてる劇団なのですが、それを可能にしてるのはそもそも出演者が多い事や、装置、熟練のスタッフワークを駆使してるからであって、ETERNALは明らかに小規模興行でありながら役者の身体能力と体力に全乗っかりで、回遊魚位止まったら死ぬんか?な芝居を打ってのけた訳ですよ。
私の中で「出来る筈がない」と思い込んでいた事を、ETERNALで「え? 可能ですけど? そう、THE RAMPAGEならね!!」と見せつけられ続けたし、途中から「もうやめて! 一回じっとして! 甘い物とか食べて! それから、その場で横になって! 目を瞑って、ちょっと寝て!!」とそのカロリーの高さに、見てるだけで体力を消耗するという領域に到達していました。
大体、場面転換がダンスとか前代未聞だぜ?
普通は暗転とかさ、役者にその場で足踏みさせて映像を背景に流して「場所」が移動した事を示したり、回転盤とか装置使ってセット移動させたり、そういう感じよ?
場面転換ってやつはさ。
なのに、踊ってんの。
しかもバッキバキに。
散々、立ち回りして、台詞喋って、段取り片付けて、立ち回りして、そんで場面転換がダンス(絶望)
何食べて生きてたら、そんな事出来るのかが全然分からん。

私は、2.5次元舞台はたまに推しがお呼ばれした時に観に行く位で詳しくないながらも、断言できちゃうもの。
少人数舞台で、こんなに手数と運動量の多い舞台って、多分ないんじゃない?
しかも、ダンスとアクションがどっちもこれだけレベルの高いものを観られるのって稀有な作品なんじゃない?
正直、悔しい位に夢中で見てしまいました。
ライブでない分、集中力が削がれるとこがあるかな?と思いきや、話はぐんぐん進むし、それぞれのキャラが魅力的で目が離せないし、これを劇場で観劇した人はさぞかし楽しかったろうなって心から思えるような1時間半。
私は、ランペの解像度が低いから致命傷を負わずに済んでますが、中の人達の関係性を把握した上で、この舞台を浴びたら心臓に穴が開くやつやな!とは察していて、劇場を後にする多くの人がETERNALに空けられた穴を心臓に抱えたまま生きているのでは?と想像せずにはいられません。
 
しかし、千秋楽カテコ曰く四か月も稽古して、こんだけ高いレベルの事をやってのけて、さぞかしロングラン公演なのであろうと思えば、いくらハコがガーデンシアターとはいえたったの3回公演とか。
コロナで一度全12公演が中止になってるという悲劇を踏まえても、あんまりにも少なすぎやしねぇかい?
もう、私はその事を知った瞬間から笑いが止まらんくなって、ひたすら「バカじゃないの?」とか、純粋な悪口しか言えんくなってしまったのでした。
ていうか、自分達が凄い事やってるの分かってる?って全員に聞いて回りたい。
特に、ランペの子ら一人一人に言って聞かせたい。
凄い事やってんのよ?
あなた達がやった事を出来る役者なんて、そうそういないのよ?
頑張ったね。
素晴らしかったね。
ファンは誇りに思うだろうね。
自分の役に真摯に取り組んで、客前で見せるという事がどんなに特別な事かを理解して、ファンを大事に思って、少しも手を抜かずに、誠実に稽古し、胸を張って演じた事が画面越しでも伝わってきて、多分私は素直に感動してしまっているのです。

じゃ、最後にメイン6人の感想を述べて終わりたいと思います。
ゲストについては省きます。
立ち回りについても、脇支えと言う意味においてもきちんと仕事をされていたなと思うのですが、何しろこの舞台は私の知る限りの舞台と諸々違っていて、捉え方も違っていて、ETERNALの感想を書くという事はランペの6人の感想を書くという事と殆どイコールで結ばれるものだというのが私の実感です。
ただ、何度も書いてるようにマジでランペ解像度低い低いの民なので、そもそもの印象が劇団と絡んでる時のものしかありません。
前提知識がない人間が書いてる感想である事は御承知おきください。

RIKUちゃん(レンブラント)
ETERNAL前の印象は、ランペの中でも特に劇団と仲良くしてくれる子!という感じで、まぁ、好感しかないですよね?
劇団沼住んでで、RIKUちゃんの事可愛くない人いなくない?
主語クソデカとか思わない位、色々と劇団と交流してくれてありがとう!の気持を常に持っています。
小澤さんに溺愛されていて、秋真さんのチェロ演奏会にも来てくれて、青柳さんとおのちゃとはジム仲間だし、JAM the リサイタルではキャスでリポートまでしてくれて。
RIKUちゃんを見る度に「いつも、ありがとうね! 劇団EXILEの事をこれからもよろしくね!」と勝手に心の中で呟いている私ではありますが、がっつり映像でとはいえお芝居見せて貰いまして、しかも王子様役を演じてる姿を見て今まで全然気付かなかったんだけど、なんて品の良い佇まいの人なんだろうって新鮮に驚きました。
なんか、滅茶苦茶育ちの良い感じがする!
王子様役の説得力があるというか、とにかく真っ直ぐで真面目で優しく責任感が強く、今自分に出来る最善の事を、自分にとって大事なものの為に必死に取り組み続ける役柄が凄く似合っていて、この人の事を命懸けで大事に思う人がいる事への説得力よ!と慄きました。
レンブラント様の持つ圧倒的光って、この優しく、清く、稀なる人をお守りしたいという忠誠心と余りに輝きが過ぎるからこそ、傍にいる人間が濃い影を心の中に作ってしまう危うさもあって、まぁ、こういうポエム入った語りをオタクが滔々と書き出すと、ちょっとやべぇなって感じがするので、ここら辺でやめておきたいのですが、冒頭にも述べた通り、既に夢にまで出てこられている以上、私手遅れなのでは?と恐怖を覚えている事も、正直に書き残しておきますね?
まだ、大丈夫ですよね? ね?

陣さん(キャメロン)
陣さんの事は、Abemaでシブザイルが配信されてた時期に劇団が皆大変お世話になりました!の気持を抱いております。
あと、顔が滅茶苦茶好き。
お読みの人にとって、世界一どうでもいい情報ではありましょうが、ランペの中で一番顔が好きなのは陣さんです。
シブザイルでの司会者っぷりを見る限り、人当たりと頭の良い人だなという印象を抱いていて、ETERNALを見た動機の中に「陣さんのお芝居が見たいな」という気持ちが多分に含まれていた事も申し述べておきます。
キャメロンは、ランペのリーダーにこういう役を振るのか!という純粋な驚きがありました。
新人役で、他のキャラから雑に扱われたり、凄まれたり。
眉毛を下げて、困り果てた表情を浮かべる度に可愛くて、可愛くて、陣さんは困り顔が可愛いからこういう役なんだなと認識する位に可愛かったですね。
陣さんの声のトーンが役にあっていて、何だか見てて凄く応援したくなるような雰囲気作りに成功していたように思います。
特にラストに進むにつれて、陣さんがキャメロンを演じた意味と言うのが伝わってくるような台詞が用意されていて、とても気持ちを持って行かれました。
ただ、まぁ、難を申しますと新人役の割に立ち回りがえげつなく早く、キレが良いので、クロエに守って貰ったり、指導されてる場面に説得力がないって事は気になりましたね!
剣を振るう時、どうしても「強者(つわもの)」感が出ちゃってんのよ。
ランペのリーダー感が隠せてないのよ。
いや、普通に滅茶苦茶強いやんけ!とは思っちゃうよね、どうしてもね。


岩谷さん(ルーク)
将棋の人!ていうのと、シブザイルゲストでおざさんと一緒に出演した健二郎さんから栄えある第一夫人に選ばれた可愛くて優しい子だ!という情報しか持っていませんが、分かる…私には分かるぞ…このルーク役で、岩谷さんはオタクを皆殺しにしたな?と深く頷いてはいます。
なんか、だって、凄い闇が深い役じゃないですか?
ていうか、レンブラント様への闇が深い役じゃないですか?
あんなに顔が可愛いのに闇の深さをちゃんと表現してて、凄くなかったですか?
考えれば考える程「一寸先は闇!!!!」みたいな役の解釈の仕方が、どう述べていいのか「ああ、将棋が好きな人の解釈の仕方だ」って感じがして、登場した瞬間から彼の至った最後の場所までの道筋に整合性が取れていて、ちゃんと流れが見えて、だからこそ私はルークの事を想うと、顔を覆いたくなるような気持ちになってしまうのです。
レンブラントの傍にどんな気持ちで居続けたんでしょうね?
あの剣をどんな気持ちで隠してたんでしょうね?
宗教と忠誠心の板挟みになってた人であるという事。
幼馴染で、親友で、家族みたいと言われながら、ずっと裏切っていた人。
その設定を踏まえても、不思議な事に裏切られていたレンブラントよりもルークの方が遥かに傷を負い続けたように思えるのは、キャラクター性の違いなのでしょうか。
いずれにせよ、レンブラントとルークについて考える事をもう辞めなければ、色々取り返しのつかない場所に辿り着く予感がするので、ここで立ち止まろうと思います。

樹ちゃん(リーフェン)
樹ちゃんの事は、ちゃんと知ってまーーーす!!!
プリレジェに出てるから知ってまーーーーす!!!(勝ち誇ったように)
結城先生のプリンセスなので、先生の生徒については把握してるんです!
あと、寛ちゃんの幼馴染でお互いが空気のような存在という事も知ってるので、もう、これはちゃんと知ってる!の領域にあるなって胸を張っています。
マースの事も知ってるよ!
寛ちゃんに「俺のが樹との付き合いが長い」ってマウント取られてた猫ちゃんでしょ?
なんか、チムネクの子達は全員凄まじく顔が良かったのですが、樹ちゃんは本当に綺麗な顔をしていらして、作り物みたいに綺麗な顔で色素の薄い、闇堕ちした王子の役とかするのは、もう卑怯だなって思ったので、はっきりと「卑怯ですよ!」とは訴えておきたいですね。
マジで二次元かな?って位、非現実的に綺麗だった。
レンブラントの腹違いの兄であり、母と信じていた宗教をある日突然簒奪される、父親を恨むのも止む無しな立場の人ではあるのですが、憂いを帯びた表情の美しさが素晴らしく、憂いてるのがこんなに綺麗なのは、もう一種の業だよなとか感じ入りました。
綺麗でダウナーなヴィランとか割と王道だとは思うんですけど、レンブラントの品行方正な王子様感と相対するとビジュアル的にも相性が良くて、こういう舞台における王道って絶対正義とも言い換えられると思ってるので、的確な配役だし、役作りだなと思ってます。
他のメンバーに比べると、出番が少ない分運動量も比較的少ないのですが、怜悧な存在感に似合った立ち回りの鋭さもあって、印象に強く残る役でもあり、そういう部分においても「卑怯だなぁ」って唸っております。
しかし、生き残ったリーフェンが歩むこれからの人生ってどんな感じなんでしょうかね?
舞台のラストで文字通り彼は何もかもを失って、何も両手の中には残らないまま、どういう風に生きていくのか?
続編の上演が決定しておりますが、一番「どうなってるのかな?」っていうのが気になるのは、リーフェンかもしらん。

まこちゃん(クロエ)
まこちゃんの事は、ちゃんと知ってまーーーーーす!!!!!
プリレジェに…(以下略)
結城先生のプリンセスなので…(以下略)
プリロワ、サ終しちゃって寂しいですねと、私の素直なお気持ち表明しつつクロエは粗暴で乱暴で強引で面倒見がよくて、自分に正直でまぁ、好きになりますよねって気持ちです。
貧民窟出身設定なので、それに相応しい言葉遣いだし態度なのですが、ちょっとまこちゃんに舌足らずなとこがあるせいか幼子が強がってる風情もあって、そこがキャラクターに深みを与えてるように感じられました。
キャメロンとクロエの二人のやり取りとか可愛いかったですよね~!
グループではリーダーと後輩な関係なのに、舞台では強気ちゃんなクロエが弱気ちゃんなキャメロンをガンガンに引っ張ってるのとか、ランペ有識者でない私から見ても「いいな!」って思いました。
まあ、でも、特筆すべきはジーンとの関係性ですよ。
飄々として大人びているジーンと、どこか幼くて突っ張ってるクロエ。
しみじみと思うに、レンブラントとルークといい、クロエとジーンといい、ETERNALにおいて幼馴染コンビはオタクへの殺意が高すぎやしませんか?
あの二人の性格の違いや、仲良く喧嘩する姿の先に、ジーンが手を伸ばしクロエの手を握って意識を失う未来が待ち受けてるの、完全に「観客の息の根絶対止めるピタゴラスイッチ」って感じで震え上がりました。
あの場面には劇場から生きて帰す気はねぇぞ?の心意気を感じましたからね。
あとクロエは、シルエットや立ち回りがスマートで、とてもスタイリッシュなとこも素敵だったし、色んな意味でジーンと並んだ時にお互いを引き立たせるようなビジュアルになってるのが、見た目から仕組んでますよ?って意図を感じて心憎いなって思ってます。

昂秀さん(ジーン)


どうも、推しです。

ETERNALにおける私の推しです。
一目見た時からあなたに決めてました。

ていうかさ、これまではハイローの辻として認識してたのですが、こんなに美しい人だなんて気付いてなかったんよ。
とにかく見た目がめっちゃ好きや…。
鮮やかでゴージャスで大輪の花みたいで、ほんとに美しいですよね。
特に、あの髪色と髪型が大正解過ぎて、立ち回りやダンスの度に毛先が撥ねて踊る姿に溜息が洩れました。
あと、役を完全にものにしていて表情とか私、原作ゲームミリ知らなのに「ジーンが3次元化してる!!!」とか太鼓判を押してましたもの。
何を根拠にその判子押してんの?って冷静になれば首も傾げられますが、舞台観てる間は「そうそう、こんな感じ! こんな感じ!」とか頷いてたので、最早私の中でジーン=昂秀さんになってるっつうか、人は最初に見たジーンが親ジーンになるって言うけど(?)こういう事なんだなって実感してます。
軽薄な表情も、頼りになる冷静さも、色男って呼ばれるだけあるぜ!の貫録で、一番安心して見ていられたというか、キャラクターラインを絶対に崩さない芝居の安定感が素晴らしかったと思います。
あの華やかさや、存在感はライブパフォーマンスを生業にしてる人間としては強い武器になるかと思いますし、舞台でこれ程お芝居が出来るのなら、これから色んなステージに立って欲しいなとも思いました。
この先ランペを見る時は、絶対視線が吸い寄せられるようになっちゃったなって思う位、私にとってインパクトのあるキャラクターとお芝居を見せて貰えた気がします。


そんなこんなで、劇団EXILEのオタクがザザザッとランペの舞台について書き散らかせていただきました。
お目汚し失礼いたしました。



JAM -ザ・リサイタル- 感想

こんちゃす!
劇団箱推し、町田啓太最推しの女が書くJAM -ザ・リサイタルの限界感想文へ、ようこそ!
やぁやぁ、我こそは千秋楽から二ヶ月近く経過して、需要が完全消滅してから感想ブログを書き出す侍であるぞ!とか名乗りをあげる程に今更感がパねぇ事は分かってるんです。
加えて、今日食べた朝ごはんの内容も思い出せないような私は、最早「じゃ…じゃむ…じゃむじゃ…りさ…? え? 何?」みたいなタイトルすら覚束ない状態になってはいますが、まぁ、オタクの感想ブログとか8割思い込みで書いてるものですし(偏見)
大丈夫、大丈夫。
推しについてとか、幻覚書き連ねても大体同じ病気の人に「広義的には合ってる!」と肯定される事は経験則で把握してるもの。
町田啓太が微笑む度にその周囲に花が咲き乱れ、瞬く度に睫の先から煌めく星の欠片が散る様子が劇場最後列からでも確認出来たとか書いても「そういう事が起こってた気がする」ってきっと承服して貰えるので、大体そういう感じです。
総括すると「劇団EXILEてぇてぇ(尊い)…」しか言ってない内容の薄いブログを、勇気一つを友にして一万字位に引き伸ばして書いていきますね?

あと、びっくりする位全ネタバレなので、ネタバレを読むつもりがない人は読まないで下さい。

ドラマの時点で「私は何を見たのか?」と視聴者に熱帯夜に見る悪夢の如き世界観に巻き込んだ劇団EXILEが世に送り出す、知らん国の知らん村で10年に一度開催される奇祭みたいなJAMリサイタルを堪能する為、「勇者のために鐘は鳴る」以来、1年9か月振りの劇団現場に赴いた私なのです。
劇団ちゃん達は定期的なLIVEがお約束されてるグループじゃないし、劇団総出演コンテンツ自体、ある日を境に突然全く供給されなくなったとしてもおかしくない活動の仕方をしている面々なので、やると言われたからには状況が許す限り「行かぬ」という選択肢はないのが現状な訳で。
推しだしてまだ日が浅い私ではありますが、現時点において劇団現場に行く度に「これが最後かも」と悲壮な覚悟を決めてはいるのです。
ただ、正直なところを申せば舞台クラスタの末席に身体を限界まで縮めて体育座りしている身の上なので、多少は「そうか。お芝居ではないのか」という気持ちを抱かない事もなかったのです。
稽古期間が取れない事や、個々のスケジュールを鑑みると芝居が打てない事も得心するしかなくて、客である以上「興行側の事情を察した言動」とかは別に強いられなくてもいいのが道理ではありますが、ファンである以上事情に寄り添った態度を取ってしまうのも人情な訳で、発表を受けてから公演当日までの間の私の心情はずっと複雑であった事は表明しておきます。
つまり「劇団EXILEがリサイタルやるよ!」と言われた瞬間から「リサイタルとは?」ってすぐ呟いたし、その日から毎日「リサイタルとは?」って呟き続けた私がいたって話なんですよ。

だって、考えて?
そもそも論だけど劇団のオタクやってて、リサイタルに連れてかれる事…ある?
やらないよ~?
劇団は、リサイタルやらない。
マジで聞いた事ない。
劇団主催の音楽イベントはあれど、あくまでイベントであって本公演ではない。
おかげさまで劇団員のキャス配信にてリサイタルというタイトルの芝居ではなくてガチでリサイタルをやるぞ!という事を伝えられた私としては、テンションの高度すら定められずにMY初日を迎える事になったのでした。

結果、オタクが推し達が見せてくれるLIVEエンタメを殊更に特別視したいという傾向を鑑みても充分に特異なライブを観たなという実感を得ています。
なんか…ずっと天竺みたいだったね?(同意を得られにくい例え)
その位、想像してたものなんか全く届かない世界を観た。
いや、私の住む世界も見てる界隈も狭いので「そんな事ないぜ?ああいうライブって、結構あるぜ?」という有識者いらっしゃるかもしれませんが、オタクが「私が観た物は特別であったのだ」と思ってる気持ちに、そういった現実は不要ですので、どうぞこの他人事めには「劇団EXILEに特別なものを観せて貰った」という気持ちを抱かせ続けてやって下さい。
知識があればあるほど幸福かというと、オタク界隈においては知らないから幸せって事もね!あるからね!

という事で、各セクションごとに感想述べていきますね。
うん、JAMリサの各セクションとは?とか自分で書いて、既に不安がすごいんですけど、こんな私が無事に書き上げられるよう、どうぞ応援よろしくお願いします!

1.ヒロシ視点のJAMダイジェスト
冒頭30分をこれに費やすという事の大人の事情は分かってて、それでも「JAM観に来たな」って気持ちになりました。
まぁ、だからJAMっていうのはSABU監督の手による「映像」コンテンツである事が必要条件となっており、ライブイベントはあくまで別冊みたいな感覚で間違いないんだって思います。
あと、劇団EXILE御新規を国宝に指定してくれ!という程に大事にしたい私からすると、やっぱり「冒頭説明」が必要だよなって思わざるを得ないわけで。
会場を訪れる全ての人が同じ金額のチケット代払ってる以上、新規の人が「分からない」から楽しくないという状況を避けるのは最低限の誠実さではあるよな…とも思うのです。
あれないと、そらもう新規の人は迷子やで!
ていうか、映画・ドラマ完走しててもJAMに関しては多くの人がずっと迷子だからね?
なんだったら、あのJAMリサダイジェストだけ見た人の方が道に迷わずに済んでるかもしれん。
なので、JAMリサにて、あの冒頭ダイジェストでJAMリサ迷子にならずに済んだ新規の人には、なるはやでJAM完走して貰ってきちんと迷子になって欲しいものですね!(邪悪)
そもそも、ヒロシの目から見たJAMという認知の歪んだ世界観を最初に投げて来るとかJAM君は相変わらずパンクで尖ってんなという感慨も抱いています。
映画でもドラマでも虚無の体現者のような男の心の内を、まさか「語り」という形で覗けるとは思ってもみなかったし、登場人物全員多かれ少なかれ「何考えてんの?」な人達ばかりなのがJAMの特徴なのですが、一番「空っぽ」なヒロシが語る虚栄心と欺瞞と誤魔化しに満ちた語りは、それだけでJAMのサイドストーリーとして成立する確固たる世界観が成立していて、私は「ヒロシはこうやって自分にも嘘ついて生きて来たのか」とヒロシがヒロシである所以を聞いているような心地がしたものでした。
あと、あの映像見てるとヒシヒシと「オレ達はこれからMASAKOにされる」という覚悟も決められて、没入感を得られたのも不思議体験でよきでした。
これから二時間、私はヒロシと一緒に生きる!と思えるというか、ヒロシが心の安定剤にして止まなかった「おばさん」として座席に座れている事を寿ぐ気持ちにもなれて、私はあの冒頭の映像大好きですという気持ちをここに書き残しておきたいと思います。

2.タケルプロEXPO2022の開幕
MASAKOになる覚悟は出来てるけど、タケルプロの支援者になるとは言っとらんのよ。
びっくりしたよね。
久々に生で見る推しが「いや、言っても生きてる人間よ? 現場遠のいてる間に、頭の中で美の人外魔境みたいな扱いしちゃってたけど、美しさにも限度があるでしょ?」と自分の中でハードル抑制して会場に行ったら、やっぱり推しは人外魔境に美しかった事を超えて「タ、タ、タケルプロ支援者のみなさん?! 誰が?! 私が?!」ってびっくりしたよね。

タケルは、あれよ?
自分が決めた事は、世界の決定だと思ってるフシあるよね?
映画の時点でその気配があったけど、JAMリサはその傾向がピークに達した振る舞いを見せられているようで、最早私は「そうか、私はMASAKOでありタケルプロの支援者なのだな」と即時納得の心境に追いやられてしまっていたのでした。

もう、いいじゃない。
タケルに従うがままが楽じゃない。
何しろ御覧なさいよ?
あんなに脚が長くて、顔が見た事ない程よい男が「僕とみなさん、初めての共同作業です」と仰っているのですよ?
何処に逆らう必要がありますか?
タケルプロへの不満があるとしたら「CEOはその顔面で、なんでデビューせんの?」という位なものじゃない?
さぁ、これから宇宙船タケルプロの乗組員となって、イマジネーションの力で銀河の彼方を目指しましょう!(目がぐるぐるしてる顔文字)

うん、怖い、怖い、怖い!

町田啓太のオタク、すぐにタケルの信奉者なっちゃう! 洗剤とか、水とか、壺とかタケルプロに言われるがままに知り合いに売っちゃうし、タケルプロ所属タレントのCDをケース買いしちゃうし、チケットも大量買いして捌こうとして失敗して路頭に迷うとこまで私はシミュレーション完了しました。
イマジネーションをやたらとこっちに強いてくるあたりは、セサミストリートのエルモと一緒だけど、タケルはエルモと対局をいくからな!
とにかく会場にて、映画時点では予想だにしなかった顔の良さを胡散臭さに全振りしたキャラクターに到達してしまった怪物・西野タケルの真骨頂を初っ端に喰らって、私は息も絶え絶えになっておりました。
いくら名字が西野だからって、あの西野をオマージュしてますか?!位、今の世ならではの「毒」を含んでる芝居を西野タケルに対してお町田さんが組み立てた事に、御本人がよく仰ってる「心の中にある黒い町田啓太」を覗かせて貰ってる気すらしましたからね。
悪意が凄いんよ。
タケルという人物造形を容赦なく無垢なる化け物に追いやる、自分が演じている役への悪意が凄すぎる。
おかげで、この先のお仕事でも定期的に不穏なお町田さんを摂取したいという欲望すら抱かせてくれて、幾度かのメタモルフォーゼの果てに辿り着いた訳の分からん怪物を生で目の当たりにした怖気と喜びが湧き上がってくる事を抑えきれませんでした。
西野タケルはそんじょそこらの「悪い男」なんか相手にならん位、悪意なく関わる人間全員を地獄送りにする男だぞ!という危うさが伝わって来て、こんな男が芸能プロダクションのCEOなんて、絶対就いちゃいけない職業に就いてんじゃないの?と不安を覚えるばかりです。
うっかり支援者なんて形でタケルと共同作業までしてしまった以上、私達は全員人生を狂わされるかないのですね…と、会場を出た瞬間にトラックに跳ねられる覚悟を本編開始してから僅か10分以内の内に味わう事になるなんて。
推しを観てるというのにどうしてこんなに冷や汗をかかかなきゃならないの?と理不尽に対する疑問を抱いた事も併せてお伝えしておこうと思います。

2.爆アゲオープニング
私が死んだら、天国の門を潜った先にこのオープニングセレモニーが待ち受けていて欲しい。
そもそも、オープニングがかっこ良ければ大体のライブイベントは優勝を確定させてしまう私は劇団☆新感線を推してるのもオープニングが格好いいからという理由が大きな割合を占めておりまして、劇団EXILE公演は現体制になってからしか生では見られてないのですが勇鐘もJAMリサもテンションの上がるオープニングが御用意されている時点で、私の推し劇団になるべくしてなった運命すら勝手に感じております。
全員がきちんと役としての表情を浮かべ、役としての姿勢で出てきてくれて、全員役に準じてリサイタルに臨むにしては溌溂さのない、一切気負いのない佇まいなのですがタケルだけが物凄い笑顔で、ていうかリサイタル中ずっと笑顔なんですけど、とにかく張り付いたような笑顔を浮かべていて、この公演に前向きなのはタケルだけなのかな?と察してしまう始まり方に「解釈に合う!ていうか、ちゃんとしてる!」と、リサイタルと銘打たれども、やはり土台には演劇がある事を確認出来て安心を覚える事も出来ました。
逆に、このオープニングを見るまでJAMリサイタルに対して、一切安心出来てなかったという事が明確にもなったので「ちゃんとしてる!」じゃないんだよ。
むしろ、ここに至るまでちゃんとしてるかどうか不安にさせるんじゃないよ!と、今更ながら頭を抱えもしたんですけどね。

3.チャンチャン麺
佐藤寛太のチャイナっ子とかオタクの夢過ぎて、初めて見た日は口に手を当てて驚きと感激を表現する昭和仕草まで炸裂させてしまいました。
赤い生地に金色の模様が散ってるチャイナ服でレスリー優勝決定案件じゃありません?
大正義と書いて、チャイナ服のレスリーなのでグッズ販売にチャンチャン麺がないのなんで?って百万回問いかけたいです。
オリエンタル醤油味喰わせろよ!
たった1分すぐ美味しいとか、カップラーメンとしても「待つ時間短くない?」というハードル高い商品にしてんじゃないよ!
分かった! 今回間に合わなかったのなら、チャンチャン麺を居酒屋EXILEのメニューに加えてくれ!
ていうか、いい加減劇団は居酒屋EXILEで個々のメニューをくれ!
シンさんと金城の黒チャイナ観れたのも嬉しいし、ずっと可愛いが溢れていて、動物動画見てる顔になってしまいました。

4.くず
今回私の目測範囲において、物凄い猛威を振るい人を狂わせまくったせらたきコンビ。
映画版の二人は台詞が少ない事もあって、不穏と剣呑さの塊だったのに、JAMリサに至っては可愛いだけになってる事に感慨すら感じてしまいますね。
劇団EXILEが歌巧集団である(一部除く)事を誇示するかの如くのデュエットと、歌唱中の段取りの多さに目を白黒させている内に、髭ギャル(183㎝)とめちゃきゃわギャル男(181㎝)の高身長カップル通り過ぎ、ひつじぬい抱えて10秒ほどだけ通りすがるタケルまで現れ、後日談としてトイザらスのひつじぬいを完売させる事態まで発生って…情報量が多い!!!!
色々起こり過ぎてるよ!
一曲歌ってる間にこれだけの事が巻き起こるの尋常じゃないよ!
経済まで動いてんだから、一観客である私に受け止めきれたもんじゃないんだよ。
髭ギャルの白黒太目ボーダーワンピにヒョウ柄カーデ併せて黒タイツにムートンブーツとかコーデが完璧過ぎて、青柳さんはギャルやってる時よか後述するサンバでアミーゴなヒロシの時のが露出度高い事に対して、私は一回冷静さを取り戻したいんです。
いや? ギャルは露出度高い等という旧弊的なファッション観念を打破してくれる為にあえての肌見せないファッションだった?(冷静でない事を証明する気付き)
いずれにせよ、「日本丸ごと片付けてやる」をモットーにくず拾いとして全国をまわるせらたきの活動、本当にようつべに上げられたなら、事務所に煽られずとも自発的に再生回数100万回とか目指して毎日再生する事だけは約束できるなって考えております。

5.MASAKO・ザ・ギャラクシー
JAMリサ演目の中でもぶっちぎりで「人にどう説明しても伝わらなさそう」選手権優勝コーナー。
これ、各演目何処まで出演者のディレクション任せなのかは分からないのですが、タカシとタケルのみが、舞台がチンコ一人勝負タイムがあって、ただタケルが狂言回しの役目を負っている側面を加味すると、マジマジのマジで一人ぼっちで自分のコーナーこなして見せたのはSWAYだけなんですよね。
状況に応じて喋る内容変えてるし、ご当地ネタも放り込んでるし、度胸のパロメーターカンストしとるとしか考えられん。
音楽ライブというカテゴリで見れば、他のメンバーよりも頭一つ抜けて踏んでる場数が違うだけあって、勇鐘の時に「ドーベルのライブと比べ物にならない位緊張した」と述べてた時のような気負いもなく、ただひたすらに「凄いギラギラした男前の演歌歌手が、視界を極端に奪われながらも、なんかいい感じに劇団ファンの大半が見慣れぬ機械を操り、ペンラを振らせ、歌ってきっちり場を保たせた」というような、ラッパー職人である姿を拝ませて貰ったなと考えています。

6.山下・金城のマジカル・ブラックバード
出し物感が満載な金城のマジックショーを見ていると「ここは町の小さな公民館かな?」とあたりを見回したくもなったのですが、二人が歌ってるのはラップですし、段取り数はエグいし、タケルは「歌いながら膨大な段取りをこなさせる」仕打ちを自社タレントに強いる事が多すぎる!と詰め寄りたくもなりました。
せらたきコーナーと同じく、情報量が多いのよ。
観客としては、劇団ちゃんを盛り上げる事に全力を尽くしたいモンペタイプが多いのでは?と勝手に思っているのですが、その我々をもってしてもラップの合間にマジックが成功する度にタイミングよく拍手をするという芸当が難しくて困り果てました。
とはいえ、リリックを口ずさみながらマジック見せなきゃならん彼らの大変具合を思うと、小さい檻から出てくるタケルを見た瞬間に何もかも吹き飛んで「小さい檻からでっかいタケルが出て来た!」と見たまんまの事柄で脳内を埋め尽くされた我が身を申し訳なく思うばかりです。

6.テツオていうか鈴木伸之が歌うコーナー
まぁ、だから歌う鈴木伸之でしかなかったのですが、何しろ歌が巧いので「鈴木伸之は歌が巧いなぁ」と普通に聞き入りました。
私という人間は、多分常人に比べて相当に歌を欲さない性質の持ち主なので、あれだけ「タケルプロ所属タレント、歌いながら煩雑な段取りを強いられすぎじゃない?」と述べていたのに、じっくり歌に専念する姿を披露されると「テツオだけ甘やかされてない?」とタケルに詰め寄りたくなるのですが、何しろギターの弾き語りに一生懸命に挑み、手を粉塗れにしたり、水を零したり、床を拭いてくれるスタッフさんに申し訳なさ過ぎてウロウロしようとしてガチ目に制止されたり、汗一杯かいたり、唐突に町田啓太の仕事のプロモーションをぶちかました挙句観客にクソデカ拍手を強要したり、まぁまぁまぁそうね。
甘やかされるに足る可愛さしかなかったので、振り返ってみても「稽古時間ロクに確保出来なかっただろうし、しょうがないか!」と納得しています。(最後に身も蓋もない事を言うスタイル)

7.ヒロシアター

ここまでの演目ぜーーんぶ前座でえええすううう!!!

みたいなやつ、急に喰らわせて来るのは、殆ど暴力なのでは?


JAMリサイタルの奇妙なお祭り感の正体は、大体ヒロシアターのせいです。
出てきた瞬間から面白いしか提供されてないんですけど、横山田ヒロシ、青柳さんが身体を大きくしたせいで相当強そうな事が一番面白くて横隔膜が破れました。
ヒロシに強さはいらんのよ!
普段から焦点が何処にあるのか探り難い眼差しをしている青柳さんですが、目がイっちゃってるせいでヒロシの365日毎日5回公演の説得力凄いし、そういう地獄に堕ちたんだな、この男はとか深く頷いてもしまったのです。
映画での初登場時から地獄へ行く男である風情が漂いまくってたヒロシですが、ヒロシの地獄がタケルだったなんて想像すらしていなかった訳で、JAMリサでタケルが用意した地獄で虚ろに歌う姿がべらぼうに面白いとか、青柳さんが滑稽を突き詰めた時の威力の凄さに舌を巻くしかなかったです。
何しろ、365日毎日5回公演の力こそパワー!みたいな言葉の強さと、ヒロシの佇まいが合わさると文学の香りすらしますからねとか、まぁ、全然言い過ぎだなって分かってるんですけど。
ヒロシアターの乱痴気ショーにおいて我々も「こんばんわ、ありがとう」をコール&レスポンス出来ないの地獄に堕ちる訳ですし、じれった過ぎて「おれをMASAKOにしてくれ!」と座席で暴れたい気持ちにならなかった人などいない筈なので、観客全員でおもろい地獄味わいましたねぇとしみじみすらしている訳です。
立ち姿、振る舞い全部演歌歌手の地方公演感味がライブで目の当たりにすると一際生々しくて、この人は本当に歌も芝居も巧いと絶賛が止みません!(青柳翔相手に余りにも当たり前体操な事をあえて書く)

大体、「龍だ! 龍神だー!!!」って龍が出てくる事自体、もう破綻っていうか不条理な展開なんですけど、何もかもどうでもいいっていうか、この後にアミーゴが控えてる以上、前振りに龍神位はそりゃ必要でしょうよと納得すらさせられる訳で。
クレアちゃんがホイッスル吹きながらBDBを統率し、龍の動き制御してるの可愛さの訳の分からなさの極致だし。
ポンチョなBDB、全員サンリオとのコラボ不可避な可愛さだし。
青柳翔、ミュージカルに出てくれ!って本人に直々に訴えた望みを更に募らせてしまう程に、突然ミュージカル調になった時の声量素晴らしいし。
私がJAMリサ通った理由の相当な割合ヒロシアターが締めてるのは確かではあるのですが、何を見たくてヒロシアターに通い詰めたのかの正体はやっぱり掴めないままで。
毎回、横隔膜がちぎれる予感に怯え、「死ぬ。 酸素の供給が足りなくて死ぬ」と死の瀬戸際まで追い詰められ、ヒロシが「アミーゴ!!!」と朗々と叫ぶ度に寿命の削れる音を聞き続けたあの日々を、私は虚ろな目で「楽しかったナァ」とぼんやり思い返すのみなのです。
総括としては、金色の短パンに銀色の足首ソックス履かせるナカサチさんに天才の仕事だな…と唸るばかりのひとときでした。

8.BDBのバースデーソング

心臓が握りつぶされる音をシンさんを目の当たりにした時に確かに聞いたのです。

MA☆JI☆DE☆ 一生推させて欲しい!!!

だって、あんな…まさか、チンピラ山下が種族でいったらエルフです!!!みたいな男になるなんて聞いてないんですよ??
彼を始めてみた瞬間、咄嗟に脳内を駆け巡ったのは「死ーーーーー!!!!!」みたいな叫び声だけでした。
シンさん見てる間メメントモリがやまなくて、最終ラマーズ法みたいな呼吸しか出来なくなっていたんですけど、本当に私は私を勘弁して欲しい。
シンさん含め、BDBの事をこんなに好きになるつもりは私にはなくて、ライブってマジでこええ、こええ、どこでどんな沼に落ちて死ぬか分からんと、久々の現場で完全に手遅れ状態になった私が実感したのでした。
そもそもBDBの人間関係って、映画とドラマとライブでの合算で、最終的に劇団ちゃん内での人間関係が色濃く反映された間柄に収まったのも可愛くて、リーダーとか確かチャンチャンだった筈なのに完全に仕切りはセーラだし、末っ子甘やかされターンと、叱られターンが最年長二人によってもたらされてたのも「ははーん? 私を殺しにきたな?」って位可愛くて、クレアちゃんの方を自分の腕置き場にしてるチャンチャンとかを眺める度に「もう完全に佐藤寛太なのよ」と呻くしかない私がいたのでした。
クレアがシンさんに圧掛けられて敬語使ってるのも、小野塚勇人秋山真太郎でしかなかったし、どうぞ!劇団五人のきゃわたんなコーナーです!って言われたら「あ、最高ですね」と頷くのですが、あくまでBDBの五人ですよ?というスタンスは崩さずに、ファンに対するバースデーソングプレゼントなんていうアイドル企画まで実行し、にじゅら前の「We are birthday Boys!」の掛け声はこの先も永遠に聴き続けたい!と祈るまでの気持にもさせられたのでした。

・にじゅら
こんなに気持ちのアがる曲この世にある?
時よ停まれ!と祈りながらペンラを振り続けた大名曲。
ずっとシンさんを見てた私を告白します。
好きで、好きで、好きで、弊推しがこの世で一番かっこいいでぇぇぇす~~~!!って心の中で叫びながらペンラ振るのが五億年ぶり位になるものだから、ライブ後は普通に腕が筋肉痛になってましたし、この痛みはシンさんがくれたもの♥とか限界オタクのキショいときめきを得たりもしていました。
BDB、マジで頼む!!!
活動続けてくれ~!!
エクストにもにじゅら登場してくれ~~~!!!!

 

・キャモン
ずっと、目が足りない、目が足りないと苦悩し続けたJAMリサにおいて、目が足りない度最高値を叩き出す「見るとこしかない」パフォーマンスがこちらになります!!!
もう一周まわって「これ以上好きになったら辛いから、何も見たくない…」まで到達しましたし、病んでるね、私!とか今だと冷静に気付けますけど、見れば見るほど好きになる呪いみたいなパフォーマンスでした。(オタク、幸せ過ぎるとすぐ不吉な表現しがち)
JAM君さ~、ドラマで女性ダンサーがセクシーに踊って見せたバックダンスをBDBにお任せするのとか、そういうとこ! そういうとこだよ~~??
もう、スカートを太腿からスススって指先で捲り上げるポーズをBDBにキメられた瞬間新宿にあるストリップ劇場の最前列に陣取るおっさんの顔に私はなっていました(下品が過ぎる表現)
ヒロシとタカシは訳分からん歌のうまさだし、Hu~Hu~♪のとこの振りとか、正気を毎回失くして「破廉恥!!」って心の中で声援がやみませんでしたから。
毎回、毎回、気が狂うし、毎回、毎回、甘く、熱い、赤い唇~♪のとこのシンさんが唇を少し突き出しながら、こちらを振り返りつつ人差し指を唇脇にあてる振りは国を傾ける! 日本が垂直になる!!(?)と恐怖に慄く具合で、思い出すと「今すぐ見たい」ってなっちゃうので、もう出来るだけ思い出したくないし、早く円盤が欲しいし、私の情緒はタケルプロのせいで滅茶苦茶です。
責任を取ってくれ!
シンさんの隣で踊るチャンチャンも小悪魔ちゃんとは私の事ですけど?な可愛さで、美人と可愛いが並んで踊ってる姿に、JAM映画にて寛ちゃん、秋真さん、お町田さんトリオで舞台挨拶巡りしてた時「劇団のキャッツアイ」と三人の事を呼び続けた気持ちを思い出しました。
セーラの王道・完璧アイドル感も一生胸に刺さって抜けない棘にされちゃうし、金城の太陽みたいな笑みを浮かべながら踊る姿にハンバーグ師匠と呼ばれてた男の変遷を想って胸が熱くなる私もいて、フィナーレとして最高の一曲だったと思います。
そもそも論、LDH所属のグループを推す女として致命的な欠陥なのですが、私は踊るという行為に健全さよりも、如何わしさを見出して感銘を受ける性質の持ち主なので、キャモンに感じる婀娜花めいた艶やかさは全部私が男が踊るという事に求めてやまないものばかりを見せて貰ってる心地がして、夢みたいな時間だったなって思い出しては溜息を吐くばかりなのです。

・飛ぶタケル
ラスト、1から10まで「こんなものが待ち受けてるとは思わなかった!」なものを見せられ続けた果てに、推しが目を光らせながら空を飛ぶ姿を観た私の気持ちが分かりますか?
確かに、勇鐘で飛んだまさやすに続き自分が飛ぶかも?と懸念を口にされていたお町田さんは知ってますよ?
劇団EXILE専属のぶプロデューサーに「僕が考えます!」とばかりに、その提案を保留にされた事も知ってます。
ただ、飛び方が…なんだろ…想像と違ったっていうか、ワイヤーに吊られるとかやないやん?
映像撮りして、もう人間じゃないやつにされてるやん?
jamに関しては、突飛なもの見せられ過ぎて飛ぶタケルも平然と呑み込んでしまいましたけど、映画のJAMでプレジデント転がしてた狂気的独善お兄ちゃんなタケルには、まだ人間の気配があった筈。
思い出して欲しい。
ドラマのJAMだって、ちょっと怪しくなってはきたけど、最低限人間ではあった。
でもさ、でもさ、舞台の最後に目が光って飛ぶの、もう投げっ放しジャーマンみたいなキャラ付けじゃない?
どーーにでもなーれっ☆彡っていう、劇団EXILE及び成さんの声が聞こえたの、あれ幻聴だとは思えないんですけど、多分劇場にいる人間の相当数町田啓太目当ての人間だったろう事や、それを制作側が把握してない訳ない事実を鑑みると、劇団EXILEの時々見せる尖り具合にもう私は笑う事しか出来なくなっているのです。
だって、沼落ち直後に初めて生で町田啓太観に劇場行く人、最後目が光って飛んでく姿で公演が締められる覚悟は誰も決めてねぇぜ? 絶対にな!
そんな能力あるなら、タケルってば美咲が撃たれた時にジェノサイド巻き起こす事だって出来たじゃないのよさ!とかまで追求するのは野暮ってもんですし、そもそも美咲という存在自体、タケルの全知全能の力を持って作り上げられた幻想かもしれないとか思い出すと、完全にjamのジャンルが変わってしまうので、もう何も考えない顔をして「タケル、空も飛べるんだぁ。 すごぉい」と小さく拍手する事位しか、観客に出来る事はないのです。

・カテコ

色んな嬉しいお報せを貰ったり、劇中のあれやこれやをお互い揶揄しあったり、劇団EXILEはこんなにも仲良しです!を見せつけて貰えて、最後の最後まで幸せな時間でした。
SNSライブ配信して、各地とこのカテコを共有できたのも楽しかったですね。
私にとっては劇団写真下手糞選手権会場はこちらです!な時間でもあって、こんなに毎回下手糞な写真、よく撮れるね? 私は優勝候補としてエントリー致します!の心意気を抱く事も出来ました。
どの回も最後の最後まで私達を楽しませてくれようとしていて、千秋楽なんてマイクが使えない時間帯になっても、生声で気持ちを伝えようとしてくれて、なんや知らんけど劇団EXILEが応援してくれる人間の事をとても大事に思ってくれる人達である確信は得られたし、これからも推すぜ!という気持ちで私は胸が一杯になりました。
円盤には、全カテコのご様子を収録して欲しいのですが、同時にアベマTVで行われた、まさやすの天才司会っぷりが光る座談会も収録して欲しいし、稽古場の様子も入れて欲しいし、強欲さが募るばかりです。

チケットは最初三回分押さえていて、演劇じゃないみたいだし、まぁファンとしてはそれで充分通ったと言えるだろうと思ってたのに、結局東京の再追加公演含めて7回通うという全通した人とかに比べたらアレですが、私的には相当な回数追いかけさせて貰う羽目に陥って私は、JAMリサの何をそんなに愛してしまったのだろう?と首を傾げるばかりです。
正直、勇鐘のが満足度は高いです。
やっぱ、芝居が見たいし、JAMリサは突貫工事の印象だって否めなかった。
完成度の高いものだったか?と聞かれたら首を傾げつつ「ファン以外には、お薦めできません」と真顔で答えるしかないでしょう。
でも、筆舌にし難いような、訳の分からん中毒性があって私はこの先ずっと、「何に自分は熱狂したんだろう?」って首を傾げたまま、それでもjamリサを追いかけた日々を幸福な思い出として大事に抱えて生きていくのだと思います。

それでは、長々とここまでありがとうございました。
今更な、Jamリサ感想はこれにて終了です。
次回は、シンさんの沼人(ぬまんちゅ)になったオタクが、中の人が主催する盆栽ツアーに参加して断末魔を上げるご様子を、ここで克明リポート出来ればと思っています。
再見!

 

 

 

劇団にまつわる他人事の妄想(人生狂わされ編)

年も明けてから、既に一か月弱。
光陰矢の如しとはこの事さ!と目を瞠ろう程には、私はこの記事を「新年ブログ」の側面を強く打ち出して更新したかったのですが、書くのに時間が掛かってしまったのだから、仕方がありません! 私は悪くありません! 明けましておめでとうございます!!!(当初のコンセプトを強引に貫く事にした、強い決意を秘めた瞳で)
2022年は、よい年になりますように…の祈りを込めて、今年最初のブログはいっちょめでたい内容でもぶちあげてやりますか!と意気込んだ私は、以前「劇団にまつわる他人事の妄想(殺され編)」というウルトラハッピー(?)な夢系妄想記事を書いた事を窓辺で頬杖などつきつつ思い起こしてしまったので、まるでそもそも、そういうシリーズですけど?という感じのナチュラル感でまた書いてもいいですか?と、一応お伺いして返事を待たずに書き出そうと思います。
JAMリサ感想すら、まだ書けてない私だけど(書きます、書きます。 千秋楽終わったし、COMING SOON書きます)オタクの罪のない妄想ブログとか、富士山、鷹、茄子に次ぐ位、(書いてる人間の頭が)おめでたい印象あるじゃないですか?
まぁ、とはいえ2022年最初のブログが「殺され妄想」とか物騒ですし(理性の生存を主張して読んで下さる人の安心を得ようとする姿勢)ここは順当に「人生狂わされ妄想」とか、マイルドな方向に舵をきってみようかな?と頭を巡らせてみたのでした(やっぱり理性は死んでいた事を他人事がお知らせいたします)

前回のブログ同様、ついてこれる人だけを本題にご案内してメンバー別・年齢順に書いていきます。
あと、いちいち注意文として書くのもかったるいので簡潔にお伝えすると、アタオカ内容な、アタオカブログ書く人間なので、文章も文脈も滅茶苦茶です。
正しく読み易い文章をお求めなら、ここには一つも御座いません。
そこら辺も含めて気が狂ってんなぁと御笑覧いただけないなら、心からバックスペースキーを押すか、ブラウザを閉じて下さるようお願い致します。
以降、この前提を御承知おきいただけたものとして書き進めさせて頂きます。

あとね、前回も書いたけど物凄い長いので(今回、文字数見たら胃袋が裏返りそうになる位長くなった)推しメンだけ読む!とか全然ありだと思うのですが、鈴町はセットで読んで下さい(鈴町コンビ業火担の圧、再び)


秋山真太郎
あなたは旅行者です。
仕事の繁忙期を乗り越え、小休止を得たのをいい機会にB県のM村へと一人旅にやってきました。
その村には特段の観光資源もないのですが、村おこしの為に空き家になった古民家を旅行者の宿泊施設として貸し出す農泊を行っており、美しい農村風景を心行くまで堪能する何もしない休日に憧れを抱いたあなたは、辺鄙な山奥の村へと足を伸ばす事にしたのでした。
あなたが借りた瓦屋根の古民家は、よく手入れがされていて清潔で過ごしやすく、縁側にごろりと寝転び太い梁を眺めて望んでいた「何もしない」時間を満喫していたあなたの耳に『チリン』と微かな鈴の音が聞こえてきました。
何処かの家で飼われている猫の首につけられた鈴の音でも聞こえてきたのだろうか?と首を傾げ、あなたは横たえていた身体を起こします。
『チリン』
再び澄んだ音色が、空中に波紋を広げるように部屋の中に響きました。
音は部屋の奥から聞こえてくるようでした。
あなたは鈴の音に導かれるように、家の中を探ります。
音の鳴る方へ、鳴る方へ。
田舎の広い家の奥の奥。
薄暗い物置の中に、急角度の二階へと上がる階段を見つけたあなたは再び首を傾げました。
村民に、最初にこの古民家を案内された時には、こんな階段見かけなかったのに。
『チリン』
鈴の音は二階から降るように聞こえてきて、あなたは不思議を頭の片隅に放置したままギシギシと軋む音を建てつつ二階へと登るのでした。

二階は壁のない広い一間になっていて、村ではかって蚕産業が盛んだったという事を聞き及んでいたあなたは、蚕部屋としてここは使われていたのかもしれないと考えながら見渡します。
小さな灯り取りの窓から差し込む微かな光だけを頼りに、あなたが部屋の様子に目を凝らしていると誘うようにまた『チリン』と音が鳴ってあなたは恐る恐る足を踏み出しました。
暗闇に目が慣れた頃、ソレはやっとあなたの目に入ってきました。
部屋の真ん中に置かれた座敷牢
薄闇の中眩しくすら見える白い着物を着た男性(秋山)が座敷牢の中からこちらを眺めています。
現実とは思えない光景に眩々と視界が揺れて、男が手招くままにあなたは座敷牢の傍へと自分の足が吸い寄せられていくのを止められずにいました。
男が手招きする度に、彼の小指に絡まる赤い飾り紐に提げられた鈴が『チリン』と鳴ります。
「昔、昔…この屋敷の裏の山には…一匹の狐が棲んでおりました」
男が低い優しい声で唐突に昔語りを始めます。
「稲荷狐は五穀豊穣を司る宇迦之御魂神の使い。 屋敷に繁栄をもたらすと、屋敷の人間は毎夜庭に狐の好物を置いては丁重にもてなしておりました」
あなたは、とうとう座敷牢の真ん前に腰を下ろし語る男の顔をまじまじと眺める事となりました。
玲瓏たる容貌の男はあなたにというよりは、ここにいない誰かに語るように薄い唇を動かし続けます。
「ある時、屋敷は新しく町からやってきた主人を迎え入れる事となりました。 村の風習を田舎臭いを馬鹿にしていた主人は、たかだか獣一匹を盛大にもてなした所で何の益もあるものかと迷信扱いし、狐は罠に掛けられ、命を奪われそうになりました」
『チリン』
鈴の音を鳴らし、狐が掌を牢の間から差し出します。
「狐は裏切られたと知るや屋敷の主人に取り憑きました。 そして屋敷に住まう一族郎党をその手で皆殺しにしたのです」
くるりと手首を返せばまるで手品のように鈴が消えて、代わりに一輪の狐花がその指先にありました。
「とはいえ、所詮は宇迦之御魂神の眷属に過ぎぬ身の上。 狐は人を大勢殺めた償いに己の罪を『かたって』聞かせ、人が零した憐憫の涙によって彼が流した血が全て清められるまで屋敷に囚われる事となったのでした」
狐はあなたの目を覗き込み、艶然と笑いかけるとたった一言「私の為に泣け」と囁きます。

否応もなし。

己の心が動いた事すら自覚できず、突如溢れるようにしてあなたの目尻に涙の粒が溜まり、零れたと思った瞬間狐花の茎の先から透明な雫が一滴ぽたりと床に落ち「まだ全然足りない」と狐は残念そうに囁きました。
ぬるりとした感触が突然足の裏に感じられ、あなたがそっと視線を落とせば床一面が血で真っ赤に染まっています。
思わず悲鳴をあげるあなたを興が冷めたかのようにうるさそうに狐が見遣ったのを記憶の最後に、あなたの意識は途切れたのでした。

目を覚ますと、あなたは二階にではなく縁側に寝転んでいました。
日はとっぷり暮れていて、夢を見ていたのだろうか?と思いを巡らせます。
実際、慌てて確かめに行った屋敷の奥にある物置小屋には階段など存在せず、先程までの出来事は夢だと思えればあなたも気が楽になれるのに、縁側には一輪手折られた狐花が転がっていて。
この家には『狐』が囚われている。
そう確信した瞬間、自分も狐に囚われた事を知り絶望して天井を仰ぎます。
人の憐憫を欲しているとは信じがたい程の、婀娜花じみたあの笑みが目に焼き付いて離れなくなってしまったあなたは、畳の上に頭を抱えて蹲りました。
もう一度、あの『狐』に会いたい。
彼の『かたり』を聞きたいと望むあなたを嘲笑うかのように、微かに『チリン』と鈴の音が鳴るのでした。
えーーっと? これ、大丈夫??
前回の妄想ブログから一年以上の時を経て、今回の執筆に際しやっと私が得られた実感として述べますけど書いる人間がずっと「なんて?」と述べ続けなきゃいけない記事とか読んでて怖くないです?(聞いちゃった!)
最初からF1じみたスピードでぶっ飛ばした自覚はあるので、前回同様形だけは尋ねておきますね? 大丈夫ですか? 今回も、徹頭徹尾この調子ですよ?
あと、説明するのも野暮ですが『かたり』ってひらがななのは狐の昔話が「語り」なのか「騙り」なのか、書いてる人間すら判然としないのでひらがなにしてあります。
「あなた」は狐に化かされたのかもね?っていう、そういう話です。
ていうか、私ってば前回に引き続き秋真さんの狐妄想文書いてる辺りが偏執的で、一番怖いポイントだよなって自覚はあるんです。
加えて、秋真さんのお狐様役が見たい余りに「秋真さんお狐様妄想」で永遠に遊べちゃう位妄想レパートリーがあるんですけど、「秋真さんお狐様妄想」って概念をこの世に存在させていいのかどうかの時点で既に迷子なので、劇団員まだ一人目なんですけど、この時点で私の事をめいいっぱい憐れんでくれて大丈夫ですよ?

・青柳翔
あなたは誘拐されました。
出張先の発展途上国は、周囲から散々治安が良くないとは聞かされていましたが、まさか空港からホテルへの移動途中に攫われるなんて予想もしておらず、生まれて初めてライフルの銃口をこめかみに突き付けられるシチュエーションに『映画みたいだ』なんて呑気な事にまで考えが及びます。
移動の為に利用したバスがジャックされ、誘拐犯達に引きずり降ろされたのは、身なりの良い夫婦と背の高い若い男性。 それにあなたでした。
全員が日本人である事から嫌な予感はしていたのですが、少しばかり現地の言葉を勉強したあなたは聞こえてくる断片的な単語からどうも、誘拐犯達が自分達を人質にして企業や国を相手に身代金を引っ張ろうとしている事に気付いてしまいます。
目隠しをされ、男達が乗っていた古ぼけたバンに荷物のように詰め込まれ、生きて帰れる確率が極めて低い旅路に無理矢理連れ出されたあなたは、ただただ震えながらじっとしている事しか出来ないのでした。
「ふはっ…これマジなんすかね?」
もう一人、自分と同じく詰め込まれた男(青柳)が笑い声を混じらせながら誰に尋ねるともなく問いかけて来ました。
誘拐犯達に聞こえぬよう舗装されてない悪路を走る騒音に紛れさせるように、彼は言葉を発します。
「なんか映画みてぇ」
一切の怯えを感じさせない態度に呆れて、怖くないのか?と尋ねれば「いや、めっちゃこえぇっす。 もう、手とかブルブル震えてるもん。 まぁ、なんか俺だけやけに手首ぎゅうぎゅうに縛られてるから、痺れてるだけかもしらんけど」と、男は平坦な声で言いそれから「奥さん、妊娠中なんすよね? バスから降ろされる時、お腹庇ってたから」となだらかな声のまま、修羅場の最中によくそんな事に気付いたな?というような問いかけを夫婦に行いました。
その声を聞いていると、なんだか訳もなく落ち着く気がして、夫婦もそうだったのか夫側が海外出向の命を受け妻を帯同して現地入りしたばかりであるという事や、男の言う通り妻が妊娠中である事をポツポツと教えてくれました。
涙声で、自分はともかく妻とお腹の子供を何としても無事に生きて帰らせたいと語る夫の声に重なるように妻のすすり泣く声が聞こえてきます。
「じゃあ、優先順位高くなるのはしゃぁねぇか」とまた、誰にともなく言う声で男は呟くと「こっちの言葉って喋れます?」と今度は明確にあなたに問いかけてきました。
咄嗟に首を横に振り、見えないのかと気付くと喋れない事を伝えます。
すると「以前、こっちに1年程滞在してましたから日常会話程度なら喋れます」と夫婦の夫側が言うのを聞いて「んじゃ、あいつらと交渉して貰えますか? 俺があなたが勤めてる企業の社長の息子だって言ってやって下さい」と飄々とした声でとんでもない事を言いだしました。
「多分、あなた方夫婦と、そちらさんは狙って誘拐されてるけど、俺は偶々日本人だったから正体も分からず攫われたおまけっす。 誰も俺の事を知らない。 だったら、俺の事を社長の息子って事にして、自分達を解放してくれたら社長に身代金を払うよう自分達が責任を持って交渉するって言ってやって下さい。 息子の為だったら社長は幾らでも金を払うから、自分達を連れ歩く意味はないって言えば、きっと解放されますよ」
持ちかけられた内容に全員が絶句して、それからそんな巧くいくわけないと諌めるあなたを遮るみたいに「俺、スクラッチが当たったもんで、とりあえず海外行ってみてぇなって思って適当に旅行先に選んだ国がここなんです。 だから俺の財布にはそれなりの大金が入ってて、一生に一度乗ってみたかったけど、乗ってみたら居心地が悪いだけだったファーストクラスの使用済み航空チケットも鞄の中に突っ込んである。 こんな雑な計画実行するような切羽詰まってる連中にはある程度目くらまし材料になるだろうし、あとは俺がはったりで何とかしますんで。 このままだと全滅ですよ。 俺達」と男は皆を説得し「ヤベ。 一気にしゃべったら喉渇いちった」と緊張感のない声で呟いたのでした。

荒野に夫婦がバンから降ろされる音をあなたは呆然と聞くしかありませんでした。
誘拐犯達を逆上させるだけではないかと思われた計画は、本当に男の言った通りに巧くいってしまったのです。
男のはったりがどんなものだったのか、耳でしか確認出来ないのがもどかしい位、彼は殆ど言葉を発しないままに佇まいのみで誘拐犯達に自身が「社長令息」である事を納得させ、夫婦を解放させたのでした。
「ま、こっちの土着宗教の戒律で妊婦は大事にしないと地獄行きみたいなのがあるらしいから、そもそも妊婦を攫う事に抵抗がある連中ではあったんだろ」
そう男が述べるのを聞いて、あらかじめそこまで把握していて立てた計画なのか聞けば「いや? 飛行機の中で読んでたガイドブックにそんな事が書いてあったのを今思い出した」とまたしても気の抜けた声で言い「ごめんな。 助けてやれなくて」と何一つ悪いとは思ってなさそうな声で謝ってきたのでした。
あなたは正直、彼の大胆な言動や行動に恐怖心を忘れ始めていて、なんなら映画の主人公の相棒になったような気持ちにすらなっていて、何処までも彼について行きたいような気持を抱き始めてしまいます。
高揚感すら覚え出したあなたを他所に、男は見えずとも分かる飄々とした様子のまま、何も言わずに車に揺られているのでした。

あなた達を乗せたバンが急停車し、再び荷物を運ぶかのように引きずり降ろされると今度は別の乗り物へと乗せ換えられます。
湿気を含んだ風が全身を撫ぜます。
滔々と水が流れる音がして、潮の匂いが全くしない事から河辺に停泊している船に乗せられたのだと気付いた時でした。
突如誘拐犯達の喚き声や、何かが暴れる音が聞こえ、自分の身体が乱暴に投げおろされたかと思うと、突然目隠しを外されました。
見れば、あなたを運び込んでいただろう誘拐犯達の一人が背後で昏倒しています。
ぎゅうぎゅうに縛られてると言っていた手首を何らかの方法で自由にしたらしい男が乱闘の末、自分を助けようとしている事にあなたは気付きました。
思った以上に小さな船はすでに出航しており、あなたが事態を掴みかねているうちに手枷を外してくれつつ焦りのない声で男は「泳げる?」と聞いてきます。

わたしのヒーローはこんな顔をしているのか。

夢を見るのに充分相応しい顔立ちに見惚れ、目元を飾る二つの黒い星に吸い寄せられるように指を伸ばしかけるも、男はあなたの返事を待たずして「じゃあな」と一言別れの挨拶を気負いなく口にすると、長い脚であなたを蹴り飛ばしてきました。
勢いよく蹴ってくれたおかげで、モーターに巻き込まれる事なく落水したあなたは、水に沈み際、誘拐犯達に取り押さえられる男の姿を目にし、絶望的な気持ちに陥ります。
そして幼少期にスイミングスクールに通わせてくれた親に感謝しつつ、河岸へと泳ぎつくと、ほんの数秒の間だけ迷いました。
どうせ先に解放された夫婦が、何らかの方法で通報してくれているのだろうし、自分に出来る事なんてなにもない。
折角逃がして貰えたのだから、このまま自分は近くの人里に何とか辿り着いて助けを求め、何事もなかったかのようにこれからの平穏を手に入れるべきではないか?と。
しかし、触れようとした瞬間に遠のいた男の目元を飾っていた二つの黒い星の残像が消えてくれなくて、どうしてもあの星に触れてみたくって。
だから、あなたが迷ったのはその数秒だけで、あとは誘拐犯達とあなたのヒーローを乗せた船を追って、河岸を一目散に駆け出すのでした。
私は青柳さんの事を、どうしたいんでしょうね?
私は青柳さんの妄想をする時に世界観を作り込みすぎる病気なのだという事だけは辛うじて正気を失いながらも把握は出来たのですが、これ病名何にしよっか!と誰彼構わず問い掛けてまわりたい心境です。
大体「あなたは誘拐されました」と書き出してから、二の句が継げずに「こんなに妄想を文章化するのに困る書き出しある?!」とか何度も自分に問いかけたのですが、一応夢妄想という体ではありますので、誘拐されたのを推しに助けられるのは基本フォーマットだからやっておかないとな!と、だったら青柳さんの話で間違いないな!と、使命感を抱いて書き上げました。(この論旨について説明する気はないし、出来る筈もありません!)
あと、誘拐されて推しに救われるのが夢系コンテンツの基本フォーマットとか、聞いた事ないんですけど?って言われても「私もです」としか答えられないので、是非、言わないで下さいね!(予防線)

小澤雄太
あなたは人を殺しました。
死体をトランクに積んだ車に揺られつつ、どうしてこんな事に?と何度も自分に問いかけます。
切っ掛けは些細な事でした。
信号のない横断歩道。
途切れぬ車の往来を前に中々道を渡れずにいたおばあさんの手を引いて歩く姿を見たのが最初でした。
その男性(小澤)は車の流れを大きな身振りで止めて、大汗をかきながらおばあさんを道の向こうに渡してあげていたのでした。
次に見かけたのが、近所のスーパーで。
迷子になった子供に肩車をしてあげて、保護者を一緒に探していました。
コンタクトを落としたらしい女性の為に公園で地面に這いつくばって捜し物をしている姿を見た事もあります。
ホームレスの老人の隣に座り込んで「うんうん」と相槌を打ちながら一緒にワンカップのお酒を傾けている姿だって見かけたし、ガラの悪い連中に絡まれている学生を助けたり、路上で弾き語りをしている若者の前に胡坐をかいて座り込み曲が終わる毎に大きな拍手を送っている姿だって見ました。
あなたが彼について知っているのは、彼が近所に住んでいるだろう事。 とびきり面倒見のよい人間である事。 それから懸命な姿に紛れて気付かずにいたけれど、よく見ると、とても様子がよい人であるという事だけでした。
あんなに他人の困ってる姿には敏感なのにね。
まったく彼って人は自分には無頓着で。
助けた女性が頻りに連絡先を交換したがっても「危ないから知らない人に教えちゃだめだよ」と注意していたり、子供に「かっこいい!」って言われても「まぁな! 顔はイケメンじゃないけどな!」って返事していたり、今すぐにだって走りよって「イケメンですけど!」って言い聞かせてあげたくなる衝動を抑えるのに必死になる事もある位、自分の事を分かっていない人でした。
ある寒い夜。
あなたは公園のベンチに腰掛けて白い息を吐き出しながら空を一人で見上げていました。
迷う心をそのまま表しているような足音がして、それから「風邪ひくぞ?」と声を掛けられます。
視線を降ろせば、缶コーヒーを目の前に差し出してくる困ったような表情の彼がいて「あ、とうとう」とあなたは思うのでした。
「とうとう、自分が親切にされる順番が回って来た」と嬉しさを覚えながら、あなたは彼から缶コーヒーを受けとります。
「ここの近所住んでる? 俺もなんだけど。 結構見かけるから」
問い掛けに頷けば「そっか、そっか」と返事を寄越し「どしたの?」とまた、短く問うてきました。
「結構長くいるよね?」
そう聞かれて、彼の顔を見れば鼻の頭が寒さで赤くなっていて。
確かに随分長い間ここにいるけど、彼だってそんな自分を長い間見守ってくれていたのかと気付き、少し笑うと今日仕事をクビになった事。
実家を頼ろうにも折り合いが悪い事。
行き場所をなくしたような気持ちになって、一人の部屋に帰るのが辛いので気持ちが落ち着くまでここで時間を潰していた事をあなたは素直に話すのでした。
すると彼から「前の仕事は何やってたの?」「今度も同じような仕事がいい? それともやってみたい仕事とかあんの?」「待遇に希望とかある?」と矢継ぎ早に聞かれ、まるで面接みたいだと思いながら聞かれるがままに答えていると「じゃ、駅ビルにある〇〇ってショップで働くとかどう? 多分、前の仕事の経験が活かせる感じっぽいんだけど」と提案され、駅ビル内の一番目立つ場所に居を構える憧れのお店の名前が突然提示された事に驚きを隠せず、口を開けたまま何度も頷き、そこで働きたい気持ちを伝えます。
彼はあなたの必死な様子に嬉し気な笑い声をあげ「ちょっと待ってて」といってスマホを取り出すと、何処かに電話を掛け出しました。
まさか…と期待に胸を膨らませつつ話す内容に耳を澄ませば、電話の向こうには先程話題に上がっていた店の店主がいるようで、あれよあれよという間にあなたは来週からその店で働く事が決定したのでした。
魔法のような出来事に言葉を失っていると「俺、無駄に顔だけは広いからさぁ」と事も無げに言います。
「ちょうど向こうも、これから忙しくなる時期らしいし頑張れば社員登用だってあるらしいから、しっかりやれよ」と言いつつ拳を突き出してくる彼にふらふらと自分の握りこぶしを合わせると、お礼の言葉を口にして、どうして今日初めて言葉を交わしただけの自分にこんなに親切にしてくれるのか?とあなたはと聞かずにはいられなくなりました。
「え? なんで? だって困ってんでしょ?」
心底不思議そうな顔をして、そう問われればあなたは頷くしかなくて。
「それに、俺が親切なんじゃなくて実際にあんたの事を雇う店長が親切なわけだから、礼はそっちに言ってくれよ。 俺はただ、他人の親切にいっちょ噛みしてイイ気分になりたかっただけだからな」

そんな筈はないのに。

面接もなしに彼からの紹介だけで採用されたという事は、当然自分が信用されたからではなく「彼の紹介」だからという事が大きいのは自明の理で。
これから自分の働き如何によっては、彼の評判に関わるのだと思うと身の引き締まる思いがして、何があっても懸命に働く事をあなたは彼に約束します。
すると、顔の前で手を振って「いいよ。 仕事って合う合わないあるしさ。 辛かったら無理すんな」とあなたの気持を軽くするための言葉を口にして「これからも行き場所なくなったって、居場所がなくなる訳じゃねぇからな? こんな寒いトコでじっとしてる位なら俺のとこ来い。 ほら、連絡先交換しようぜ? 相談だけなら幾らでも乗るから」と言って笑顔を浮かべて見せてくれるのでした。
その笑顔があんまり綺麗で。
心臓が痛くなる程に綺麗で。

この人の為だったら、何だってやろうってあなたは決心したのです。

「ここね、あの人に世話になったお巡りさんが『絶対見つからないようにする』って約束してくれてる場所だから安心して埋めたらいいよ」
「穴掘り、私達も手伝うからね」
「大丈夫。 みんな『やってる』事だから」
シャベルを持参して口々にあなたを励ましてくれる人々に、あなたは一々頷き返します。
罪悪感も不安もみるみるうちに溶けていって、自分は間違ってなかったのだと安堵を覚えてすらいました。
仕事帰りに立ち寄った定食屋で後ろの席を陣取っていた、如何にもガラの悪い連中が酒に酔った勢いで声高に語っていたのです。
「この前女をナンパしてたら、訳分かんない男に邪魔されてムカついた」と。
「かっこつけやがって。 前に駅で見かけた後、後つけて自宅は突き止めてあるから、この後待ち伏せしてシバきまわしてやる」つもりだと。
「骨の一本位は折ってやって、二度と調子に乗れねぇようにしてやるんだ」と。
見覚えのある連中だったので、標的となっているのが彼である事は間違いない訳ですし、あなたは然程躊躇いもなく彼の自宅に向かう男の後をつけ、人気のない場所で「やってのけた」のでした。
ただ、困ったのはその後で暫しの逡巡の後あなたは「自首すべきか?」という相談の為に雇い主に連絡を入れました。
すると店主は然程慌てた様子もなく車の手配をしてくれて、ここまで死体と一緒に運んでくれたのです。
そしてあなたは今、郊外にある雑木林に来ています。
驚く程多くの人達が笑顔で地面を掘っています。
老若男女問わず談笑しながら和気あいあいと穴を掘り、あなたに「あんなに好い人なのにね、運がとびきり悪いんだよ」と彼の事を語ります。
「だから、時々あるんだ。 こういう事が。 ここに埋めるのは、もう何人目だっけ? お人好しの度が過ぎるとね、恨みを買う事も多くなるんだよ。 いやな世の中だけど。 まぁ、そもそも彼みたいな人を傷付けようとする相手に遠慮なんかしてられないでしょう? 彼みたいな人はね、みんなで守ってあげないといけないからね」
あなたは全ての言葉に深く頷いて、穴の底に蹴り落とされる死体を何の感慨も抱かずに見送りました。
彼を守る為なら仕方がない。
そう思うと誇らしい気持ちにすらなって、月明かりに照らされた穴を取り囲む人々の穏やかな表情を見回すと、居心地の良さを覚える余りに彼のお蔭で自分の居場所を見つけられた事を改めて実感するのでした。
※なるだけ気付かないように、気付かないようにしていたのですがこれ、もう短編小説みたいになってません?
なんか、妄想記事ってもっと好きな部分だけを抽出して書くもんだからさぁ!とそもそもの解釈が間違ってる事を自分に伝えてはいるのですが、おざさんの場合この文字数費やした内容に対し「いや、これ全部がサビなんで」と言い張る自分もいるので「短編小説とかじゃなくて、夢系妄想です」って頑固に言い張ろうと思います。
ご本人の性質が面倒見よく、無防備で、すぐに自宅に招いたり招かれたり、誰彼なしに親身になったりするご様子をみていると「こういうタイプの魔性もいるよな」と感銘を受けるばかりで、その気持ちを丸ごとぶつけてみたらこういう感じになりました。
総じて「だからといって、こういう妄想に至る自分は怖い」という実感は得てますので、そこら辺は大丈夫です!(?)
まだ、正気です!(??)

・SWAY
あなたは大使公邸内闇カジノで遊んでいます。
吹き抜け天井からシャンデリアが下がる煌びやかなフロアには一通りのカードゲームは勿論の事ルーレット、スロットまで取り揃えてあって、いくら外交特権を悪用しているとはいえ随分と大胆な営業をしているものだと呆れつつ、あなたはディーラー達の中でも一際見栄えよく、手入れの行き届いた男(SWAY)が仕切るカード台の前に腰を下ろしました。
上等な男を眺めながら飲む酒は巧かろうと、フロアレディにウィスキーを運んできて貰い、暫くディーラーのゴツイ指輪で盛大に飾られているのにスマートな手捌きを見学した後にゲームに参加します。
賭け事にはそこそこ自信を持っていたあなたですが、今日は特に調子がいいのか小さな勝ちを繰り返し、だんだん気分がよくなってきて賭ける金額もどんどん大きくなっていくのでした。
するとディーラーがあなたのテーブルに積み上がるコインの高さに目を瞠り「お強いですね」と声をかけてきました。
その称賛の声音が心地よく、鷹揚に頷けばディーラーはフロアスタッフを呼び止め何事かを耳打ちします。
そして「宜しければ、あちらの台に移って私とブラックジャックで遊びませんか?」と屈託のない笑みを浮かべて見せてくるのでした。
普段のあなたなら「ここで潮時」と理解出来たのです。
勝っているうちに立ち去るのが賢いやり方で、ディーラーから勝負を挑まれて乗るなんて馬鹿な事しでかす筈もなかったのに。
「だめですか? 二人きりなら、俺はあなたの事もっと楽しくさせてあげられるのに」と、茶目っ気たっぷりにウィンクまで喰らわされて、あなたは言われるがままに別のテーブルへと移る事になったのでした。

それからの戦績といったら散々だった事は言うまでもありません。
ディーラーはとても上手なやり方であなたから理性を徐々に奪っていきましたし、あなたは彼の為すがままに財布の中身を全て差し出す事になったのでした。
彼があなたから取り上げたコインの山を歯ぎしりしながら眺めていると、ツイと顔を寄せたディーラーが茶目っ気たっぷりの笑みを浮かべて「最後の大勝負しませんか?」と聞いてきます。
「その勝負に俺が負けたら、このコインを全部お客様にお返しします」
突然の申し出に、あなたが胡乱気にディーラーを眺め、そちらが勝ったら何が欲しいのか尋ねれば、こちらを指差して「あなたの全てを下さい」と告げてくるのでした。
口説き文句じみた言葉に赤面しながら絶句すれば「ネットの記事でみました。 そちらをサザビーズで落札された時にインタビューに答えられてましたよね? 『自分自身全てと引き換えにしても惜しくない品だ』って。 写真で見た時に一目惚れしちゃって、欲しくなっちゃったんですよね」と言葉を重ねてくる。
ディーラーの言葉を真に受けてしまった自分が恥ずかしくて、咳ばらいをして赤面を誤魔化しつつ、彼の狙いがあなたの腕を飾っている美術品であり、宝飾品でもある高額な腕時計である事を悟ると冷や水を浴びせられたみたいに冷静さを取り戻しました。
投資が思いの外うまくいった時に、清水の舞台から飛び降りるどころではない覚悟をして購入したこの腕時計は、比喩ではなく「人生全てと引き換えにして」も惜しくない程の品でした。
おいそれと、ギャンブルの景品になんてしていいような代物ではないのです。
首を振り、席を立とうとするあなたの手首をディーラーの掌が捕まえて、ぐいっと自分に引き寄せると「じゃあ、俺も全部あげます」とディーラーは己が差し出す物の「額」を釣り上げてきました。
「このコインと、俺。 悪くない賭けじゃないです?」
カジノテーブルを間に挟んだまま顔を寄せ「お客様が勝って俺を手に入れたら、一生退屈させないって約束します」と笑顔で囁かれ、あなたは溜息と共に再び理性を手放したのでした。

口にする台詞はロマンチックなのに、極めてリアリストでもあるらしいディーラーは雇用契約書という形で自身の自由を全てあなたに明け渡す書面にサインを施すと、にっこり笑ってコインの山の上にヒラリと置きました。
あなたはぶるりと身を震わせ、それからカードを切ろうとするディーラーを制止してコテンパンにされたブラックジャックで勝負をするつもりはない事を告げます。
それからフロアの出入り口をあなたは指差して、次にあの扉から入って来る人物が「男性」か「女性」かを賭けようと提案するのでした。
「心の性別は考慮しなくていいんですか?」なんて軽口を叩いてくるディーラーに「外見のみ」の性別を賭けの対象とする事を念押しするあなた。
「結構ですよ」なんて自信ありげに微笑むものですから、まるで扉の向こう側が見えているのだろうか?と妄想じみた不安を抱き、ディーラーが「俺は女性にします」と言うや否や、自分も女性だと思うと訴えます。
するとディーラーは欲のない声で「じゃあ、俺は男でいいですよ」と譲ってくれて、あなたは益々言いようのない不安を胸に抱く事になったのでした。
果たして、二人が見つめるフロア入り口扉を開けて現れた運命の人物は立派な髭を蓄えた恰幅のいい紳士であり、グウの音も出ない程に「外見上」は男性であった事にあなたはガクリと項垂れます。
ディーラーは「俺って、運命の女神に愛されてるみたいで。 ここぞって時は絶対に負けないんです」と嘯きつつ、ひらりと自身の雇用契約書を摘まみ上げ、ビリビリと音を立てて破くと紙吹雪のようにテーブルの上に散らしました。
そして、恭しい手付きであなたの手を取り、その手首を飾る腕時計を官能的な手付きでするりと抜き取ると、気紛れを起こした声で「コインはお返しします」と述べるのでした。
慈悲のつもりなのかと力なく問うあなたに「いいえ」と首を振り「どうせ、全て無意味になるものですから」と意味ありげに答えるので、どういう意味か問うより早く「お客様がどういう経緯で、ここへの招待を受けたかは知らないんですけど、きっと大使公邸だから摘発されないって誘い文句に乗って遊びに来てますよね? 確かに借主は現職大使ですし、玄関には『駐日大使』と実名が掲げられてはいますが、仕切ってるのは非合法団体なんですよ。 外務省に届け出も出されてませんからウィーン条約の外交特権適用範囲外。 つまりね?」と、血の気のひくような事をつらつらと述べるとまるで、タイミングを計ったかのように先程賭けの対象にしていたフロアの扉が開け放たれ、令状を掲げ大勢の警察官が雪崩れ込んできます。
「ほら、手入れだってありますよね。 ま、通報したの俺なんですけど」
その一言に慌てて振り返れば、すでにディーラーの姿は忽然と消えていて。
呆然としてる間に、あなたは身柄を拘束されてしまうのでした。
SWAYにカモられたい。 そう訴えて「分かりみ!」以外の言葉が返ってくる筈ないだろうという自信に満ちたまま書き上げた妄想です。
コレクター気質のある人なので、偶々彼の収集癖にHITする物を手に入れたせいで散々な目に遭う…とか、理想の人生の狂わされ方ですよね(同意しか認めない強い目で)
訳の分からん精神状態に追い込まれて、気付いたら全部失った挙句、その先の人生を真っ暗にされたい!と賛同の意しか聞こえない精神状態に自らを追いやりつつ、SWAYの恵まれた体格はディーラーの格好をすると更に映えますよ!!の訴えも、強く行っていきたい所存です。

八木将康
あなたは鬼です。
年中濃い霧が立ち込める山間の集落で、人目を避けて同族と生きてきました。
ある嵐の夜、一人の男(八木)が迷い込んできました。
鬼たちは、自分たちの棲家を知ってしまった男の処遇を合議にて決める事にしました。
人間には酷い目に遭わされてきた者も多いからか、血気盛んな連中は合議なぞまどろっこしい、殺せ、殺せと大騒ぎです。
集落を見下ろす高台にある、岩肌に掘った洞穴の牢に男を閉じ込め、次の満月の晩にどうするのかを決める事にしたのですが、あなたはただ迷い込んで来ただけだというのに鬼達に殺される事になるかもしれない男が不憫で、世話役を任された事もあり、せめてもの慰めにと精魂込めて作った料理を彼に運んであげるのでした。
男は、自分の立場を分かっているのか、いないのか。
あなたの運ぶ料理を「うまい、うまい」と喜んでは岩肌を寝床にするには背中が痛いから敷く物が欲しいだの、甘いものが食べたいだの、退屈だから話し相手になって欲しいだの呑気な我が儘を口にします。
呆れながらも、哀れを誘う様子を見せられるよりはいいかと乞われるままに出来る限りに欲しがった物を用意してやり、問われるままに集落での暮らしについて話しました。

「鬼の角が万病に効く霊薬だなんて、一体誰が言いだしたんだろうな?」
洞穴の中に差し込む月明かりが、殊更に優しい夜。
男は鉄格子を挟んだ向こう側に座るあなたの姿を眺めてしみじみと口にします。
「俺と君の違いなんて角のあるなし位しかないのにな」
いつの時代からかまことしやかに人間の間で噂されるようになってしまった、鬼達にとっては迷惑極まりないその言説こそが鬼達が人の訪れられぬような厳しい環境の地で隠れ住むようになった理由でもありました。
角狩りと称して鬼の命を狙う人間が絶えなくなり、個体差で見れば遥かに鬼の方が体力・腕力共に優れているものの数の力は圧倒的に勝る人らに追いやられたこの地での暮らしは、あなたに不自由ばかりを強いていました。
もっと広い世界を見たい。
この里を出て、好きな場所で生きたい。
男の余りに気安い様子に、そう望んで止まない気持ちをつい口にしてしまうあなた。
すると男は「だろうな」なんて分かった風な口を利き、それから何か書く物と紙が欲しいと要求してくるのでした。

満月の夜が間近に迫る頃にはもう、あなたは男に夢中でした。
彼はあなたが差し入れた紙に筆であなたの知らない世界の事をたくさん書いて教えてくれました。
「もうじき、こうやって会えなくなるからな。 出来る限り、君の知らない世界の事をこうやって書き残しておいてやるよ」
そう言いながら妙に味のある絵まで描き添えつつ、あなたの見た事ない物、食べた事ない物、触れた事のない物が次々と書き記されていく紙はあなたにとって宝物で、いよいよ人の世界への憧れを募らせつつ、男の元に通い詰めます。
当然、男の命を助けたいとも考えるようになり、集落の鬼達に男が決して自分達を狩ろうとしていた人間達のように非道な存在ではない事。
むしろ、同情的であるから、巧くすれば人間と自分達の間を取り持ち、こんな不自由な生活を強いられずに済む助けになってくれるかも知れない事を訴えて回って、彼の助命嘆願に勤しみました。
あなたの努力が実り、男のところに話を聞きに行く者達が現れ、徐々に集落の雰囲気が、男を生かしておこうか…という流れになり始めた頃でした。
若い鬼が人間に殺されました。
男の話に触発され、好奇心の赴くままに集落を出て人里にこっそり近付いた所を見つかり、あっという間に命を奪われ、角を折られてしまったのです。

その日を境に集落の雰囲気は一変しました。
男が伝える人の世の魅力は、鬼達には余りにも危険だと鬼達は見做したのです。
同胞の命を奪った人間への恨みも手伝って、満月の夜に男が処刑される事はもう動かしようのない決定事項となりました。
あなたは嘆き悲しみ、男に自分のせいだと詫びますが男は笑って「大丈夫。 こうなるだろう事は分かってたんだよ」と答えるのでした。

満月の夜。

最期の挨拶がしたいと男に呼び出されて、あなたは洞穴の牢の前で泣きながら自分はどうなってもいいから男を逃がすつもりである事を伝えました。
集落にはもう戻らないつもりで、男が人間の世界について書いてくれた紙束だけを懐に入れ、長老の住まいから盗み出した鍵を使って牢の扉を開けるあなた。
すると男は、牢から何だか困ったような顔をしつつ出て「そっか、そっか、そうなるか」と誰にともなく語りかけるように呟き、そして「じゃあ、こうしようか」と述べるや否や、あなたの頭上に手を伸ばし、そしてあっという間に「ポキン」と音を立ててあなたの角を折ってしまうのでした。
あなたが悲鳴をあげるより早く、背後の集落に火の手があがりました。
雪崩をうつように人間が集落を襲いだします。
鬼達が逃げ惑う姿を呆然と見下ろしているあなたに優しい、子供に騙りかけるような声をして男は教えてくれるのでした。
「あいつらは都のお偉いさんの私兵だ。 俺の住んでる村が飢饉に見舞われていて、助けを求めたところ、鬼の棲家を見つけたら村を救ってやると約束してくれた。 いやなやつだろ? でも、しょうがないから何度か鬼を見かけた事があると伝え聞いていたこの山で、君達の事を捜して運よくこうやって集落に辿り着けた。 捕まりはしたけど、一緒に山に入った伝書鳩を使って、君が用意してくれた紙と筆でここの場所を伝えたんだ。 君のおかげで、俺達の村は助かるよ。 本当にありがとう」
こんな優しい声をして、今男はどんな顔をしてるのだろう?
あなたは怖くて振り返る事も出来ないままに考えます。
「君は俺に随分親切にしてくれたから助けるつもりでいたんだ。 あいつらの襲撃前にここに呼び出したのも、その為だ。 でも、牢から出してまでくれるなんて考えてもみなかった」
男はそして、あなたを力づけるように言うのでした。

「逃げな。 角がなきゃ、人間と変わんないんだ。 憧れてたみたいに好きな場所で生きると良い」
まるで、親切心から述べているかのような声音で。
「これで君は自由だ。 生きたいように生きればいい」
あなたの故郷も、仲間も、鬼としての証も全部奪って。
「君の角は、人間の世界では高値で買ってもらえるから持って行くと良い。 その金を元手に人間として生きるんだ」
勝手な事を。

人の世では、非道な者を「鬼」呼ばわりするという。
だったら、お前こそが鬼だ。
優しい人の顔をした鬼だ。

傲慢で身勝手な男の言動を怒鳴りつけようとあなたが口を開いた瞬間でした。

「全部君が望んだ通りだ。 よかったな」

男の言葉にあなたは息を呑んだのです。
指で自分の唇に触ってみれば、確かに口の両端が持ち上がっていて、嗚呼、私嗤ってると気付いた瞬間、あなたは振り返りました。
男の顔を見る為に。
笑ってるのか確かめる為に。
いや、むしろ。
男の笑顔が見たくて、あなたは振り返ったのです。
だけど、既にそこには男の姿はなく。
あなたの故郷が燃える炎と、満月の光に照らされてあなたの折られた角が落ちているのみなのでした。
あなたが人外パターン、今回の担当者はまさやすです~! イエー! しかも、村焼き担でもある盛りだくさん具合!(村焼き担とは、説明するまでもないんですけど、人生狂わされパターンの超王道である「故郷の村を焼いてくる」推しを指しての名称です)
まさやす夢って、本人の性質のせいか「悪意」とか「恣意的な意図」とかなく、よかれと思って行っている彼の言動に打ちのめされたいという欲の具現となってしまうところがあって、親切心で簒奪する姿を見てみたいなとう気持ちをこれでもか!と籠めてみました。
まぁ、こういう夢主人外妄想に対して「いや、人生狂わされって言ってるのに、夢主が人外だと成立しないじゃん」とか冷静な事言ってくる人、先生嫌いですからね!とは言っておきますし、ここまでこのブログを読める人が冷静な筈ないので(直球失礼)大丈夫ですね。

・町田啓太
あなたは教会の告解室で罪を告白しています。
小窓の向こうには息を呑む程に美しい神父(町田)がいました。
以前の神父にかわって、新しく来たのだとの自己紹介を受けてはいましたが、ひざまづき台に膝を付き、背が高いせいか随分遠くに感じる美貌を眺め上げているとあなたは神自身からゆるしの秘跡を受けているかのような心地になります。
町外れにある森の中の小さな教会は、普段にも増して静かで昨日からずっと降り続いている雨の音しか聞こえません。
あえかな笑みを浮かべながら、何も言わずにあなたの罪を聞く神父。
白い肌は薄暗闇で所々銀色に光ってさえ見えて。
長い睫を伏せ、あなたの話を聞く姿は、この瞬間にファウストが叫んだみたいに時を止めてしまいたい程に美しく、慈愛に満ちた佇まいに、あなたは夢見心地になってしまって、自分の犯した罪の数の少なさに舌打ちしたいような心地になるのでした。

ずっとこの時が続けばいい。
ずっとあのお顔を拝見していたい。
ずっと自分の罪を聞いていて欲しい。

そして、この世にも美しい人にゆるされたい。

上擦る声で許しを乞うあなたに、以前の神父がそうであったように助言を述べる為に開いたのであろう唇から出た言葉は思いも寄らないものでした。
「あなたのやった事って、本当に罪なんですかね?」
その言葉の意味を掴みかね、混乱の表情を浮かべるあなたを楽しそうに眺めながら神父は穏やかな声で続けます。
「他人を妬んだ。 悪意で足を引っ張った。 悪態をついて相手を傷つけてしまった」
指折り数え軽やかに、神父はあなたが告白した罪を並べ立て「値しない」と言い放ちます。
「俺が聞くに値しない」
神父は輝く月のような笑みを浮かべ「俺が聞くに値しないんだから罪じゃないです。 俺は貴方をゆるしません」と言って、まるであなたなんてお呼びでないかのように小窓を閉じてしまうのでした。
その時あなたが感じた喪失感の壮絶さたるや!
もう一度小窓を開けて欲しくって。
神父のゆるしが欲しくって。
あなたは思わず告解室のあなたと神父を隔てる壁に取り縋り、申し上げます!と更なる罪を口にします。
過去に行った盗み。 他人を出し抜く為についた嘘。 友人を裏切った事。
墓場まで持って行くつもりだった罪を全部洗いざらい吐き出して、それでも小窓は開きません。
ただ、あなたが罪を一つ告白し終える度に「値しない」と静かに宣告されるばかりになって、あなたはとうとう悲鳴のような声でお顔を見せて欲しいと乞うてしまうのでした。
一目美貌を拝む為に千両かかる美女の民話がありますが、神父が欲しているのはあなたの罪です。
あなたはもう一度神父の顔を見る為にありったけの罪を捧げ、それでも「値しない」とにべなく切り捨てられる現実に、自分の犯した罪など罪と呼べるほどのものなどないのだと打ちのめされずにはいられないのでした。
罪深くなければ、神父は自分をゆるしてくれない。
本末転倒ともいうべき思考に辿り着いてしまったあなたを、神父は優しく導きます。
「ゆるされたくば、殺しなさい」
天から降るような声を聞き、あなたは膝まづいたまま言葉を顔で浴びるかのように仰向きます。
「殺せば罪です。 それも相手は聖なる職に従事する人がいいですね。 神に仕える者を殺すなんておぞましい罪は、私がゆるすしか贖われない罪です」
あなたは壁に耳をつけ、雨の音すら煩わしく思いながら、神父の声に聞き入る為に息を潜めました。
「さぁ、よく聞いて下さいね? 俺があなたを許す為には『あいつ』を殺す必要があります。 『あいつ』はずっと俺を追っかけてきてるんです。 世界の果てまでだって、俺のいるところならやってくるでしょう。 元気があって可愛いのだけど、そろそろ決着をつけてあげなきゃ可哀想。 俺にゆるして欲しければ、『あいつ』を殺して下さい。 大丈夫。 『あいつ』は、人には滅法甘いから、きっとあなたならやれる筈。 神に仕え、人類に仇なす脅威を狩り続けた救世主。 『あいつ』を殺せば、あなたの気が済むまで俺はあなたをゆるします。 あなたを天の国へ導く事を約束します」
『あいつ』の正体を聞くより先に、あなたは神父に問いかけました。

あなたは、誰?と。
神父は答えました。
「神ですよ」と。

「神に仕える『あいつ』が、ずっと追い求めているんです。 だから、俺が神です」
あなたが言葉を失った次の瞬間でした。
「ほら、もうやって来ましたよ?」とやけに嬉し気な声を神様の声がした直後、耳をつんざく破壊音と共に告解室の上部が吹き飛びました。
バラバラと降り注ぐ木片に頭を抱えて身体を丸めるあなたの襟首がひょいと掴まれて、まるで猫の子を放り投げるみたいに後方へと転がされます。
床に伏せた状態では首が痛くなる程に見上げなければ、その全身を視界に収める事も難しい程背の高い男が黒いロングコートの裾をはためかせ「人を誑かすやり方が、よっぽど好きみたいだな!」と大声をあげていました。
不意に背後に誰かが立つ気配がしました。
へたり込むあなたの耳元にかがみ込み、息がかかる程の距離で神様が言いました。
「『あいつ』です。 ゆるされたければ、俺がゆるすに足る罪をください」
そして背後から腕をまわし、あなたを抱きしめるみたいにその手に銀色に鈍く光るナイフを握らせてきました。

あなたは、神様にゆるして貰う為に。

罪深い人になる為に立ち上がり、一歩、二歩と大きな背中に向かって歩き出します。
『あいつ』は、自身が破壊したであろう告解室から立ち上る白煙を振り払うように大きく手を振り回し首を巡らせ、神様の姿を探してるみたいでした。
あなたは、『あいつ』なんかに神様は姿を見せるまいと優越感を抱きます。
罪深き者にしか、神様は姿をお見せにならないのだ。
自分はこれから『あいつ』を殺して、神様のゆるしを直接賜る特別になるのだ。
そう決心するや前のめりにあなたは駆け出して、躊躇いなく『あいつ』の腰の辺りにナイフを突き立てました。
驚いたように振り返り、あなたを見下ろす『あいつ』。
あなたは笑い声をあげます。

神様! 神様! 見て下さい! そして、お顔を見せて下さい! 罪深きわたしをお許し下さい!

そう祈るあなたの事なんて、神様はちっとも気にしてないだろう声で。
あなたなんて見てもいないんだろう声で。
「じゃあ、またね。 可愛い子」
そう『あいつ』に向かって軽やかな別れの言葉を口にして。
あなたが振り返れば、もうその御姿は何処にもなく。
あなたは二度と、この世にまたとない神様の美貌を目にする機会を得る事はなくなってしまったのでした。

鈴木伸之
あなたは『あいつ』の腰にナイフを突き立てたまま、床に膝まづいています。
立ち上がる気力もないままに額を『あいつ』の背中に預ければ、『あいつ』は「また、逃げられた」と溜息混じりに吐き出して、それから身体を捩じる様にこちらを見下ろし「怪我ないか?」と気遣ってきました。
刺されてる最中に、刺している人間に対して掛ける言葉としては余りに不適当で、あなたが疲れた顔を上げれば「えらい目にあったな」と声をかけつつ、腰に刺さったままのナイフの柄を掴みぐいっと引き抜くのでした。
血が溢れるのを気にしない様子で、立てないあなたの脇に手を入れて立ち上がらせ周りを見回した後、木片だらけの小さな教会の中で爆心地となったからこそ、上部こそ粉砕されているものの床部は比較的無事な告解室へと運ばれます。
何が起こったかも分らず、ただいなくなってしまった『神様』に思いを馳せて呆然としているあなたに『あいつ』は自己紹介を始めました。
曰く教会所属の悪魔狩り専門神父である彼は、人類にとって最大の脅威となり得る神様を追って世界中を飛び回っているとの事で、この教会を管理していた神父も既に『神様』に殺されて森の中に遺体が打ち捨てられていたと言います。
悪魔狩りなんて、まるで少年漫画の世界みたいだとぼんやり整った彼の顔を眺めていると「忘れな」と悪魔狩りは突き放すようにあなたに言いました。
「無理だって分かってんだけどな。 でも、忘れな。 あんたが出会った魔物は、今はまだ遊んでるんだ。 この世界がどうなってるか。 人間がどういう生き物なのか。 好奇心の赴くままに、玩具にして遊んでる。 でも、そのうち飽きる。 気紛れに終わりを始めて、全部を滅ぼして、何もかもなくなったこの星で、また次にどんな世界が始まるかを楽しみにしながら眠るんだ」
もう、わたしは『神様』に会えないのか?と聞くあなたに、それはそれは優しい顔をして。
多分、悪魔狩りに出来る最大限に優しい顔をして「そうだ」と答えて来るのであなたはもう、堪え切れずに大きな声で泣き出してしまいます。
世界の終りなんてどうでもよくて、あなたはもう『神様』に会えない事だけがこの先どうやって生きていけばいいのかを見失う位に悲しくて仕方なかったのです。
悪魔狩りは困り果てた顔をして、大きな身体を小さく丸めるみたいに膝を抱えてあなたの隣でじっとしていてくれました。
「ごめんな」
謝る声に子供のようにしゃくりあげながら、どうして謝るのか問えば「助けてやれなかった」と悪魔狩りは言うのでした。
「間に合わなくて、ごめん」
あなたは、そんな事を言われたら泣き止むしかなくて、悪魔狩りが「時々思う。 俺はあの魔物を倒す為じゃなくて、退屈させない為に、滅びの時を先延ばしにする為だけに追いかけてんじゃないだろうかって。 あいつが潜伏した先々で、あんたみたいな犠牲者が生まれてるんだ。 俺は、いつだって間に合わない。 あいつは、俺が間に合わない事まで楽しんでる。 早く決着を着けなきゃなんないんだけどな」と語る言葉に耳を傾けます。
そして「なぁ、俺ちゃんと顔を見た事がないんだけど、口を揃えてみんなが言うんだ。 見た事ない位に綺麗だったって。 アレってそんなに綺麗なのか?」と、声を潜めて、まるで罪深い問い掛けであるかのように悪魔狩りがあなたに聞いてきました。
あなたも思わず声を潜めて、あんなに綺麗な生き物はこの世には他にいないだろう事を伝えると、悪魔狩りは両手で顔を覆い「そうかぁ。 マジかぁ。 参ったなぁ」と呻き、「俺、今なんか困ってるんだけど、なんで困ってるのかも分かんねぇんだよな」と言って小さく笑って見せるのでした。
その余りに無防備な、人間臭い言動にあなたは漸く気まずい気持ちを抱いて暫く口を噤むと、それからやっと刺してしまった事に対するお詫びの言葉を口にします。
「んあ? あー、全然大丈夫。 かすり傷だし」
そう返事されるも、そんな馬鹿なと悪魔狩りの脇腹に目を向ければ既に出血は止まっていてコートの裂け目から見える傷跡も塞がりかけており、あなたが唖然とすれば「特異体質なんだよ」と、いとも簡単な説明をされてしまうのでした。

世界を滅ぼす美しい『神様』と、たった一撃で告解室を粉砕し、深い刺し傷もあっという間に治ってしまう体質の悪魔狩り

住む世界が全く違う事は明確で、あなたは別世界に間違って触れてしまったのだと不意に諦めを覚えました。
自分はそもそも彼らの世界に一瞬だけ触れて、行き過ぎるだけの存在に過ぎないのだと。
それなのに、知ってしまった。
この世界には人間を玩具にして遊ぶ世にも綺麗な神様と、その神様の多分一番の玩具であろう悪魔狩りがいる事を。
きっと、今を最後に二度と触れられない。 永遠に知る事のない世界を垣間見てしまった絶望にあなたは長々とした溜息を吐き出します。
助けが間に合わなかったという事の意味をひしひしと感じながら、あなたは悪魔狩りに乞いました。

せめて、ゆるしが欲しいと。

悪魔狩りを刺してしまった事。 世界を滅ぼす『神様』の事をこれからも忘れられずに焦がれながら生きていく事。 あの『神様』になら、世界が滅ぼされたって構わないと思ってしまっている罪深い自分をゆるして欲しいと。

悪魔狩りは頷いて、それからあなたは彼に膝まづきました。
「一応俺だって神父だからな。 ゆるしの秘蹟は出来んだよ」とちょっと胸を張ると、決まり文句を口にします。
「神のゆるしを求め、心から悔い改めの祈りを唱えて下さい」
悪魔狩りに促されるように、あなたが悪に染まった自分を洗い清めてくれる事を望む祈りを口にすれば悪魔狩りは「あなたの罪をゆるします」と告げてくれました。
あなたは、悪魔狩りの事も忘れずにいたいと乞えば、少し驚いた顔をして、それから「ゆるします」と言ってくれたので、あなたはもうそれ以上は何も望めずに「罪をゆるされた人は幸せです。 ご安心ください」という告解室からの退室を促す言葉が、何も心に刺さらなくなってしまった自分を自覚しつつトボトボと教会を後にするのでした。 
続編を書かないとは言ってないからな! 油断するな!!
何故、読んでくれている人達の油断を許さないのか? 妄想文章なんか気軽に読んで貰いなさいよ!と自分を諌めつつ、鈴町は続編書きたかったので続編なのです。
前回の「殺され妄想」を読んでない人には何が何やらでしょうから、気になった方は「殺され編」を読んでくれ下さい(不親切な案内)
やはり、最推しには世界を滅ぼす位の器のデカい(?)男であって欲しいし、2TOPである以上その相方には、ライバル的立場でいて欲しい。
シンプル極まりない夢を追い求めた結果、いよいよ世界観の壮大さが手に負えなくなってきていて、「スケールの大きい気の狂い方をしてるなぁ」って他人事の声で述べるしか出来なくなっています。
これ、もう私は私が鈴町に何を求めているのか一切分からなくなってるよ!
モチのロンで、この話の前後とか、詳細とか何にも考えてないのでそれっぽい妄想の好きな部分だけを書いてるんだなと思ってくれたら正解です。
あと、ゼロ年代の小説ばっか読んでた人の文章になってる事は本人も分かってるので「ゼロ年代の小説、沢山読んだでしょ!」って共感してくれる人がいると、とても嬉しいです。

小野塚勇人
あなたはデスゲームの参加者です。
莫大な賞金をどうしても必要としていたあなたは、金持ちの娯楽の為に開催された広大な敷地を舞台としたデスゲームで、様々な試練や難関を他の参加者達と協力し合い、時には蹴落とし合いながら最終ステージまで生き残る事が出来ました。
「結局さ、いくら欲しいの?」
そう問いかけてくる青年(小野塚)に、うっかり引き起こしてしまった自動車事故の賠償金の為にゲームに参加していたあなたはサラリーマンの生涯年収程を口にして、これだけあれば賠償金を支払えて、人生もやり直せると展望を語りました。
青年は、聞けば友達の借金の保証人になったところ、まんまと逃げられて債権を被る事になったらしく、ゲームが始まった当初から妙に話し易くって、疑心暗鬼に陥る状況が続く中でも何となく助け合ってこれた相手でした。
こんな危険な真似をしなくても、充分稼ぐ手段がありそうな容姿と能力を持っていたのですが、如何せん背負う事になった借金の金額が一朝一夕で返せるような額ではなかったらしく、「俺もその位あったら、マグロ漁船に乗せられるのは回避出来っかなぁ」と思案する声で呟くと「じゃあさ、最終ステージはお互い協力し合わねぇ?」と持ち掛けてきます。
「二人で山分けすれば、お互い欲しいだけの金額は手に入るし、生き残れる確率が上がる。 悪い話じゃないだろ?」
青年の言葉に頷けど、彼のように特段優れた運動能力も知能も愛嬌だってないあなたはどうして自分のような人間と組もうとするのか分からずにいて、青年はあなたをパートナーに選んだ理由を述べる事もなく「ルール説明始まるっぽいな」と仮面をつけた如何にもな司会者が最終ステージについて説明を始める姿を指差すのでした。

結論から言えば、あなたは青年のおかげで最終ステージをクリアする事が出来ました。
最終ステージに相応しい恐ろしく残酷なゲームで敗れた者達は見るも無残な命の奪われ方をして観客を大いに喜ばせましたし、自分はあんな末路を辿らずに済んだ幸運を噛みしめながら、これまで潜り抜けて来た数多の過酷なゲームに思いを馳せます。
青年も同じ気持ちなのでしょう。
よく生き延びて、勝利を手にする事が出来たものだと溢れる高揚感を抑える事が出来ないまま、意気揚々とした表情で共に札束の積まれたゴールの部屋へと辿り着いたあなた達は、そこの部屋で本当の最終ステージの始まりを告げられるのでした。
曰く、今ゲームの主催者は真の勝者は1人である事を望んでいると。

かくして、あなたは青年と争う事になりました。
ここで脱落したものは「死ぬより辛い目に遭う場所に行って貰う」と告げられて、二人が入った入り口の真反対に設置されたおどろおどろしい鉄錆だらけの扉の向こうへと連れていかれる事を伝えられます。
扉の向こうの光景を想像もしたくなくて、それでも折角絆めいたものが生まれていた青年をあの扉の向こうに行かせるなんて事したくなくて、現実を受け止めきれずに、茫然と青年に視線を送ると、それは青年も同じようで「マジかよ…」と呻いたまま立ち尽くしているのでした。
急遽用意されたゲームは、簡単なカードゲーム。
わざと負ける事も可能なルールになっていて、それでも山と積まれた大金と、錆びた恐ろしい扉を見ると、とてもここで青年に勝ちを譲ろうなんて気持ちにはなれる筈はありません。
彼が運動神経が良いのみならず、大層賢い事もあなたは分かっていたので、全力で勝ちを取りにいきます。
青年は動揺を隠さないままに、おぼつかない手付きでカードを取り扱っていて、悪手を連発していました。
このゲームに参加してる間だけの関係で、そもそも青年とは縁もゆかりもない。
彼が勝手に自滅するなら、そんなに嬉しい事はないとあなたは考えよう、このまま勝ちを収めようと思うのに、デスゲームに参加している間中ずっと強気な表情を崩さなかった青年が泣きそうな顔をして、自分の真向かいに座っているのを眺め続けていると胸が押しつぶされそうな程、あなたは悲しくなってしまうのでした。
青年に、このまま負けるつもりかと聞けば迷子のような顔をして「あんたに勝つ気にならないんだ」と肩を落とします。
どうして、そこまで自分に肩入れしてくれているのか理由を聞けば、ぐしゃぐしゃと自分の髪を掻き混ぜてそれから吐き捨てるみたいに「そんなの、分かんねぇよ!」と喚くのでした。
「ここに来るまで、あんた以外の連中全員出し抜いて、死なせて、そうやってここまで来たのに、畜生! 仲良くなんて、なるんじゃなかった!!」
吊り上がった眦から、小さな涙の粒を一つ零して「もう、いいよ。 こっからどうやったって、逆転なんか出来ねぇよ」とカードを投げ出すと「ばいばい。 俺の負けでいいや」と青年は両手を上げます。
司会者が合図を送ると、黒い頭巾を被った筋骨隆々の男が二人、青年を立ち上がらせ扉の向こうに連れて行こうとします。
項垂れたまま、抗う事歩き出す青年。
あなたは見送る青年の背中があまりに痛々しくて、瞼に焼き付いた泣き顔が幼気で、このまま彼をあの扉の向こうに送った後の人生に、手放しの幸福があるとは思えなくて、自分でも明確に分かる程に正気を失った瞬間、手札の中で今出してしまうと負けが確定するカードをカード台に投げだしていました。
自分でも信じられないのですが、青年の事を自分自身よりも大事に思ってしまったのです。
あなたの敗北を決定づけるブザー音が鳴り響き、勝利者として青年の名が告げられます。
処刑人たる黒頭巾の男達があなたを拘束し、それでも青年を救えたのだからよかったと恐怖と不安に苛まれながら僅かな安堵を得るあなたの傍へと青年が駆け寄ると、不意に唇を怖気を奮うほどに艶然と持ち上げて「思った通りになった」と彼は囁くのでした。
あなたが呆気に取られていると「なぁ、さっき俺の名前が呼ばれただろ? どう思った?」と聞いてきます。
意味が分からず冷や汗を流しながら瞬きを繰り返すあなたに、がっかりしたように「あんた、自分が車で撥ねた相手の名前も覚えてないんだな」と青年は言いました。
その瞬間、あなたは全部を理解して。
青年が「そういう事だよ。 あいつはもう、まともに歩く事も出来なくなって、夢だって諦めなきゃならなくなった。 金なんかであんたの事を許す気なんて俺にはないからな。 あんたがこれに参加するって知って、俺もエントリーしたんだ。 あんたを『ここ』で蹴落とす為に。 償う為に、これからあの扉の向こうで死ぬより辛い目に遭え」と嘲るように言い放ち、あなたが錆びた扉の向こうへ連れていかれるのを見送りながら、微笑んで「さようなら」と歌うように告げて手を振るのでした。
お待たせしました! 人生狂わせ妄想といえば!!でお馴染みのデスゲームでございます!
デスゲームなしに、人生狂わせ妄想とか言わないでくれる?とその登場を待ちかねていた人生狂わせ妄想ガチ勢の皆様には「おのちゃで満を持して、書かせて貰いました!」と大きめの声でお伝えしたいですし「人生狂わせ妄想勢とか、そういう界隈が実在するかどうかだけでも、とりあえず教えて?」という方々には「いや、それは私が知りたいです」とキョトン顔を晒しておこうかと思います!
アベマの番組で見た「さようなら」と死体を埋める前に微笑んで言うおのちゃの夢妄想を諦める事が出来ない余りに、こういう具合になったのですがデスゲームの詳細一切書かない所から私がデスゲーム物にどれだけ疎いかも察して貰えると幸いです!
凄い自信満々に、人生狂わせ妄想といえばデスゲーム!と断言したは良いけど、知識なさ過ぎて書き出した瞬間に「ところで、デスゲームとは??」と詰んでた私の事は、読んで下さってるあなたと私だけの秘密ですからね?

佐藤寛太
あなたは豪華客船のデッキに用意されているベンチに腰を下ろし、夜の海を眺めています。
傍らには美しいボーイ(佐藤)が一人。
今にも折れそうな程に華奢なシャンパングラスに黄金色の泡を注いでくれたボーイは「信じなくてもいいんだけど」と前置いた上で「人魚の肉を食べると不老不死になるって話は本当なんだよね」と話し出したのでした。

友人の結婚式の二次会で、ビンゴゲームで引き当てた特賞が豪華客船で行く一泊二日の国内旅行ペアチケットだったので、これは慣習にならってと新郎新婦に進呈するつもりが、そういうのを期待して用意した特賞じゃないから行っておいでと促され、あなたは友人を誘って束の間の現実逃避を楽しんでいました。
何しろ、見るもの・食べるもの・耳にするもの全てが煌びやかではありましたが、その中でも一番煌めいていたのは今隣にいてくれるボーイでこんなに垢抜けていて、素敵な男の子なんてテレビの中でしか見た事がなかったので、あなたは手もなく舞い上がってしまいます。
就寝時、ふかふかのベッドとはいえ部屋全体が揺れる事は船である以上どうしようもなくって、不慣れな環境に目が冴えてしまったあなたが夜の散歩に出た所、満天の星が輝く夜空を見上げるのに絶好の場所であるデッキにいたのが、このボーイでした。
まるであなたの事を待ってたみたいに手を振ると「こっちだよ」とあなたを海を眺めるのにはこれ以上ない特等席に案内してくれます。
「飲むでしょ?」
あなたの同意を得ずして栓を開けられたシャンパン。
高そうだけど、支払いはわたしなのだろうか?と一瞬心配になるも、こんな夜に、こんな素敵なボーイと一時が過ごせるのだから安いものかと思い直します。
それからボーイはまるで、ずっと前からの知り合いみたいに「ねぇ、俺がさ、もう千年以上生きてるとか言い出したら、本気にする?」と問い掛けてきて冒頭の人魚の話に繋がるのでした。

ケラケラと軽い笑い声をあげ「長生き、マジで飽きるよ? 文明は進むけど、人間ってマジ変わんね~!って感じで、本当に飽きる」とまくしたて、それから「千年前にね、俺人魚を助けたのよ。 浜に打ち上げられててさ。 可哀想だから、海に帰してやった。 したら、お礼に自分の肉をやるって自分の小指をくれて…なんで食べちゃったんだろうなぁ? 小指だよ? エグぐない? どんな味がするか気になったのが敗因だと思うんだけど、もう千年も前の事だから、その時の俺がどんな気持ちだったか忘れちゃった」と軽い調子で言うのでした。
あなたはシャンパングラスを傾けながら、こういうサービスをするようボーイ達は仕込まれているのだろうか?と考えます。
夜の海。 白波を立てて、月の灯りで淡く光る波を掻き分けて進む船。 美味しいシャンパンを飲みながら聞く、美しいボーイが語る人魚の物語。
出来過ぎな位のシチュエーションにあなたはシャンパン以上に酔わされて、千年も生きているのなら、もうやりたい事は何もないんじゃないか?と問い掛けます。
ボーイは大いに頷いて「その通り! なんのやる気もないね。 したい事も、生きたい場所も、見たい物も何にもなくなっちゃった。 好きな人も、友達も作る気にならないしさ、寂しいもんだよ。 実際のところ」と退屈そうに言い、濃い睫を閃かせるように瞬くと「あとは、死ぬ事位だな。 俺の知らない事なんて」と嘯いて見せるのでした。
その仕草、表情、口調は若者でしかありえない瑞々しさに満ちていて、どれだけ真実味たっぷりに語られようとも千年以上生きている人間には到底見えません。
クスクスと笑ってしまうあなたを横目に見て「まぁ、信じてくれなくてもいいんだけどって言ったしさ、信じられない気持ち分かるけど、失礼だな君は」とわざとらしい憤慨口調で言うと、不意に顔を寄せて「ところで、どう思う?」と問うてくるのでした。
「不老不死。 俺の事を、人魚の肉を食べた男と前提してさ。 羨ましい? それとも、可哀想?」
ボーイの問い掛けにあなたは首を傾げて少し悩んだ後、どちらでもないけど人魚の肉の味だけは教えて欲しいと答えます。
ボーイは声をあげて笑い「やっぱ気になるよね! それ!」と頷いて、それからあなたのシャンパングラスにポトンと「何か」を落としました。
何を入れたのか問い掛けると「俺の、小指」と言って左手を月明かりに翳して見せます。
果たして、彼の小指の先端は確かに欠けていて、しかも生々しい鮮血まで滲んでいて、あなたは思わず小さな悲鳴をあげてしまいます。
ボーイはにっこりと笑うと「もう飽き飽きしたからね、お役御免といこうかと思って」と言いました。
「呪いか祝福か、その境目って結構難しいんだけど君が今の時点においては祝福を思える事でも、月日が経てば呪いと思う時が来るかもしれない。 それだけはちゃんと分かった上で、食べるか食べないかは自由にしなよ。 俺はさ、千年以上生きたから、やっと次のバトンを渡していい身体になった。 君がその肉を食べたなら、俺の永遠が終って君の永遠が始まる。 人魚って、そういう仕組みらしいんだ。 いやならいいよ。 別の人を探す」
あなたは、冗談なのか真実なのか、未だに判断つかないままに何故、自分に?と問い掛ければあっさりと「たまたま」とだけボーイは答えてくるのでした。

「たまたま今夜俺が永遠を手放す気になって、たまたま誰かいないか待ってたら君が来て、たまたまこんな話を今の今まで聞いてくれた。 そんだけっ!」

兎が跳ねるみたいに語尾を跳ね上げニコニコと、あなたの反応を窺ってくるボーイ。
「君がよかったんだ。 俺は君を選んだんだよ」位のロマンチックな台詞が似合う夜空と波音だったので、少しばかり拍子抜けしつつ、あなたはシャンパングラスを月の光に透かすように掲げました
シャンパングラスの中の得体の知れない肉は確かに存在していて、それでもやっぱり「まさか」という気持ちは押さえられないのでした。

まさか、目の前の子が人魚なんて。
まさか、永遠の命が手に入るなんて。
まさか、自分がその選択を委ねられるなんて。

やっぱり、こんな事ありえない。
ボーイは小首を傾げて、白い歯を見せながら笑うと「さ、どーする? どーするぅ?」と如何にも愉しげに聞いてきます。
さっき見せられた、先端の欠けた小指だって一瞬しか見てないし、どうとだって誤魔化せる。
きっと、嘘。
これは、全部嘘。
そう分かっているのに。
キラキラと、彼の背後に広がる満点の星よりも輝く黒々としたその目が、その笑顔があんまりにも魅力的で、可愛いものだから、衝動的にあなたは彼の小指が食べたくなって。
つまり、永遠の命も、肉片の正体が何か?なんて事も全部どうでもよくなって、彼が誰であるかも気にならなくなって、ただ、彼が自分の「小指」だというシャンパングラスに沈む何かの味が知りたくなって、あなたはシャンパングラスを唇に当てるとぐいっと傾けて一気に肉片を口中に招き入れたのでした。
味? あなたは覚えてなんかいません。
だって、あなたが肉片を飲み込むやボーイは高らかな笑い声をあげて手を叩き「サイコー!!」とあなたに親指を立てて見せるや、一気にデッキを駆け出して、海に身を躍らせてしまったのですから。
驚きのあまり、味の記憶も何もかも吹き飛んでしまって、慌てて船縁に駆け寄ればボーイが波間からこちらを振り返り、大きく手を振ってしなやかに身をくねらせると、海の底へと潜っていく姿が見えました。
あなたは呆然としたまま、先程飲み込んだ肉片が食道を下って、もうすぐ収まってしまうであろうお腹に手を当てると、なんてことを!とボーイに唆されてしでかした、取り返しのつかない己の所業を嘆くように、満点の星空を仰ぐ事しか出来なくなってしまったのでした。
※寛ちゃん程、人の人生を恣意的に狂わせる事が似合う男も、そうはおるまいてと思う程に、小悪魔クレイジーな言動で人々及び劇団メンバーを魅了してやまない彼を妄想する以上、まぁ…人魚位にはするよね?
魅惑のマーメイドである以上、関わった人間は否応なしに誑かされますし、誑かされた結果不老不死位にはされるよな…とまで考えて、劇団内では歌下手寄りに属する寛ちゃんに人魚とかいいの?と自問自答する事にはなりました。(あくまで劇団内ですっていうか、DTCでお歌披露してるけど別に下手じゃなくね?)
何しろ、お砂糖とスパイスと素敵な何かで出来てるみたいな寛ちゃんなので、メルヘンな話が似合うよね!という寛ちゃんの可愛さへの絶大なる信頼だけを頼りに書き出して、書き上げた結果、成人男性(181㎝)を人魚扱いする事への狂気に気付かないまま駆け抜けられたので、やっぱ寛ちゃんの可愛さって偉大だわ~と感じ入っております。

そんな訳で、以上「人生狂わされ編」終了です!
おっけ、おっけ! 言わなくていい!
推しへの夢妄想文章だけで三万字とか書ける人間が正気な訳ないし、この妄想ブログをもってして劇団EXILE」に人生狂わされ編な人生を現実に生きてるのはこの私だよ!!!と、証明出来てる事も分かってるので、もう何も言わなくていいです!
まぁ、前の「殺され編」でも総括として述べてた記憶があるんですけど、こんなブログを、こんな末尾まで読んでる時点であなたも正気じゃねぇかんな?
まさか、ブログの記事読み切っただけで「あなたは狂ってます」認定されてるとか、想像すらしてなかったでしょうが、まごう事なき劇団EXILEに人生狂わされメイツですからね? 一蓮托生だかんな! 同じ船の乗組員だからな! 途中下船は許さねぇぞ!と、横暴なルフィみたいな事を述べつつ、これからも共に一つなぎの大秘宝(劇団EXILEのコンテンツ諸々)を求めて、大航海を続けましょうね!と、親指を立てて歯を剥き出しにして笑っておきたいと思います。
そんな感じで、これ以上文字数費やすといよいよ自分自身に対して「怖い」以外の感情が抱けなくなるので今回はこの辺で!
また、来年とかに思い余って妄想ブログを書いた時には、ここまで読んでくれた人は絶対によろしくお願いしますね?という呪いのような約束を、闇金業者の如き強引さでかってに交わしつつ、お別れしたいと思います。
お疲れ様でした! ありがとうございました~!


JAM -the drama-  最終話感想

感想なんて書けないよ!!!!(最初からクライマックス)
基本、自分が書きたければ書くし、書きたくない事は絶対に書かないのスタンスでブログもツイッタもやっております、どうも私です!なのですが、書きたい・書きたくないとかそういう問題じゃなくてマジで書けない!
なんだろうね? なんか、知らん国の、知らん祭りのクライマックスに居合わせた観光客みたいな心境に陥っていて、したり顔で語られてきたドラマのセオリーも、常識も、面白いコンテンツの条件も何もかもお構いなしな作品を見たんだなって、そればっかりを今実感しております。

何しろ直前に見てたのが、「SUPER RICH」だった私です。
あのドラマ御覧になった方なら分かるかと思いますが、お町田さん「ジェットコースターのような展開」という言葉を気に入ったのか、JAMでもよく使われていた表現をSUPER RICH」相手にも使っていますが、いや全然違うぜ?みたいな
ジェットコースターはジェットコースターでも、「SUPER RICH」はちゃんとレールの上を走ってくれるから安心して身を任せられるけど、JAMはなんか…ファイナルデッドコースターっていうか…死の運命は避けられないっていうか…レールとか途中から無くて宇宙?とか?そういうとこに向かって走ってる、気付いたらそこはブラックホールの中でしたみたいな、そういうコンテンツだから。
とにかく、「SUPER RICH」は一種JAMの対局をいくような内容でしたから、JAMを最終回を見終わった後の私の虚脱具合と言ったら、凄くって!
今のドラマの流行を正確に踏襲したコンテンツから、無秩序という概念をドラマにしたらこうなっちゃった!みたいな、ドラマ界の渾沌様みたいなコンテンツをハシゴした私の心境を述べるとしたら「寒暖差で体調が悪くなる」以外の何ものでもなかったのです。

全話思い返してみても、JAMドラって訳の分からん景気の良さがあって「ここをこんなにこだわって作る?」みたいな箇所が点在しているおかげで、深夜の配信ドラマの割に貧乏臭さを嗅ぐ事は殆どなかったし、私はLDHコンテンツには「景気の良さ頂戴よ!」といつでもハンズアップしてる人種ではあるので景気の良い劇団EXILEコンテンツを享受出来たのだと思えば、満足笑顔を浮かべていられる筈なのに、「私は二ヶ月もの間、何を見ていたのだろう?」と首を傾げる角度が真っ直ぐになれないのも、正直な気持ちな訳で。

何しろ数多あるLDHグループの中でも、劇団EXILEは無法地帯担当なわけで(いつのまにか)(事前許可とかファン的に出した覚えもないのに)(しかし、仕事のカラーが劇団であるという特殊性を加味しても、劇団EXILEと他グループは余りにも違い過ぎるのは確かな話で)物語コンテンツで役者が役を演じる以上、推し達に対して「芝居が巧い」とか「気持ちが伝わって来て感動した」とか演技を取沙汰した感想を述べたいものなのですが、全8話に対し律儀に感想書き続けてましたけど、一回も!
そう、ただの一回とて演技に私は言及致しませんでした。
いや、だって、巧いとか巧くないとか、そういう範疇を取沙汰するようなもの、私見せて貰ってないんだもの。
多少なりとも、舞台クラスタを齧ってる私がドラマを見て巧い巧いと褒めそやした感想といったら「ヒロシは歌が本当に巧いなぁ」ばかりでしたからね?
最終話もキャモンを聞いて「確かに超絶パフォーマンスだ!」と事前予告に納得し、タカシとヒロシが抱き合う姿に感動していいのか、笑っていいのか中途半端な表情を浮かべるしかなかったのですが、それ以降に巻き起こった出来事達に対しては本当に、一切分からなくって。
私、JAMに関しては分からないが毎話更新されていってるのですが、最終話の分からなさを目の当たりにするに至って、やっと得た結論としては、SABU監督作品全般にも言えることなんですけど、「JAMのスピード感の正体ってツッコミが存在してないってとこだな」って事なんですよね。
ツッコミって、視聴者に対して「貴方達の世界と地続きの常識が存在してますよ」っていう一種の証左になると思うんですけど、JAMに関しては「貴方達の世界とは一切合切常識が違うんですよ」と言わんばかりに、巻き起こる奇想天外な出来事全て「そういうもの」として登場人物が受け入れていくものだから、そりゃ話が早いし、私達は置いて行かれるしかないって寸法よと納得もしたのでした。

ゴーストシンガーの話とか、もう私の顔「無」でしたもの。
タケルが幽霊とコミュニケーションが取れる事とか、前提以前に「え? 神様にお告げ貰うような男やで? 当然でしょ」って感じになってるし、他の面々もゴーストシンガーって文字通りかよ!!って事すら誰も言わんもんね。
私だとて負けじと(?)ゴーストと契約結んでくれって言われて「やってみます」とか返事しちゃうマネにも「有能マネだなぁ」という感慨しか抱けなくなってたし、ヒロシに予知能力を見出したタケルにラリアちゃんが「裏の世界って大体あのパターンだと思うんだけど」とツッコんだ時に(JAM世界、こういうツッコミはあるのよ。 そこツッコむなら、もっと大事なトコあるよね?っていうツッコミは存在してるのよ)みんながタケルからそっと顔を背ける辺りは、私達にちゃんと判るタイプの面白さを提供してくれていて「なんで、この面白とライフルと金城の超能力が対決して劇団EXILEを宙に浮かせる面白が同居するドラマつくるの?!」って、もう不安すら抱いちゃった。

このドラマの奇想天外さを二ヶ月浴び続けてきた私は、いい台詞風にテツオが発した「仲間の為だったらなんだって出来る」って言葉も不穏に感じるし、タケルに対して皆が掛けた「俺も信じる」って言葉にも「タケルに信じるとか言っちゃうのって、これ全員、ラッセンとかヒロ・ヤマガタの絵を買っちゃうタイプだわ。 もしくは知人がアムウェイに染まって、とりあえず御茶濁しに洗剤とか買ったらずっと厄介な目に遭うタイプ(私の両親の話です)」とか勘付いちゃうし、ラストのアンダー・ザ・アンダーグラウンドについてとかはねぇ! もうねぇ! 何も考える気もしないわけよ!!!
ブラスバンドに追われて、強烈なGが掛かりながら辿り着ける世界のことなんざ、この世に分かる人間なんざ一人もいるわけないでしょうよ! 実際の話!

最早、このドラマにおいて最高潮の「分かる!!!」を叩き出せたのが、最後の最後にヒロシがモノローグった「タケルのせいで」という言葉だったというね! JAMドラの最終回には余りにも相応しいオチに見舞われて絶句したまま、テレビの電源を落とした私がいるのですが、いやぁ…ほんとに…私達は何を見ていたのでしょうかね??

全物語を試しにダイジェストにしてみるとですよ?

 


ヒロシがタカシに「MASAKO」をパクられる

やさぐれヒロシをマサコが回収。
毒スープとコネを駆使して、音楽番組に出演させる。

テレビ出演を切っ掛けに、ヒロシがタカシの人生修羅場劇場に相乗り決定

テツオはじいちゃん、まさかの生きてた案件だが、本人自体「映画で死んでなかったのかよ!」という復活を見せていた為、視聴者「血筋だな」としか感じず

泥棒からパクッてきたという、ヤバヤバ大金を元手に祖父母は海外へ
テツオは旅行会社にて運命の恋に落ちるも、ベタすぎる勘違いのせい失恋(仮)してしまい、かって自分を刺したヤクザ(世良)に拾われることに

ヒロシ・タカシの人生修羅場劇場を債権のカタに買い上げた組から仕切りを任された世良・滝口・テツオは、稽古場にて仕事の幅を広げたがっていた元・ラーメン屋、今は香港スターのレスリー・チャン・チャンの付き人となっていた山下・金城と再会する。

理由はよく分からんが、組合員に追われていたテツオの想い人でありヒロシの妹でもあるラリアが劇場に雪崩れ込み、テツオがノして、理由はよく分からんがテツオの恋が成就する。 理由はよく分からんが。

タケルの彼女・美咲は意識を取り戻すも、自分の彼氏と言い張る顔面人間国宝がガチヤバ案件男である事に恐れをなして、顔面人間国宝の額をツボでカチ割って逃亡

美咲、LDH名物車に激突ムーブを再度達成

偶然、飲み会帰りのヒロシ達に美咲は救われる

生死の境を再び彷徨う事になった美咲の為に、亡くなった元・5人組ボーイズグループのメンバーであった美咲の兄からのアドバイスにより、世良・滝口が債権のカタに買い取った演劇興行に首を突っ込む事に決めたタケル


テツオにノされた組合員が稽古場にカチ込んでくるもタケルが追い払い、暴力団トップである正体が明かされ、演劇興行関係者全員の目が泳ぐ

興行は成功するも、初日にタケルの組の組員に刺される世良と滝口
何故、テツオを狙わないのか?
刺した所で平気で生きてるテツオの不死身具合を事前察知したのか?
そもそも、タケルの命令を無視した彼らは、今どこの海に沈んでいるのか?
それとも、そもそも計画の為にタケルが二人を刺させたのか?
そうだとしたら、医者曰く死ぬ寸前まで二人を追いやるとか計画が甘すぎないか?
謎は深まるばかりである

千秋楽後、裏社会から足を洗う事に決めた世良・滝口を目的の為に拾ったタケルは、にこやかに他の面々も誘いタケルプロを設立

稽古場として使用するオレオレ詐欺やってた事務所にみんな大好きピーチ先生登場。 秒で視聴者の心を奪う。

デビューに向けて特訓を積む、BDBとレスリー・チャン・チャン。
ヴィーナスとしてコンビを組まされ純烈と歌うヒロシとタカシ。
MASAKOの悪事がバレそうになる事もあったけど、みんな元気です。

BDBの成長を見て、いよいよ美咲を目覚めさせるためにアンダー・グラウンドでのデビューを計画するタケル。
現地にてヒロシの予知能力が目覚める予兆(?)があり、対立する組と揉めかけるも、憑依体質公務員によって事なきを得て、ピーチ先生の助けもあり(結局ピーチ先生の正体ってなんだったの?タケルに呼び寄せられた霊?霊って、ミシン使って衣装作れるの?)ステージの乗っ取りまで成功。
金城の超能力も開花し、ヴィーナス改めジャッカルも超絶パフォーマンスを披露。

美咲の兄と、タケルの目論見通りゴーストシンガー達の歌声によって美咲も目覚め、絆が強まった皆はバロン(超かっこいい千葉哲也)の導きによって次なるステージ、アンダー・ザ・アンダーグラウンドへと疾走する。


うん、ダイジェスト書いて少しでも自分の中でJAMドラを少しでもまとめようとしたけど、途中から「え? 無理じゃない? 言語化無理じゃない?」という気分になって来まして、ラストの畳みかけるような不条理に対しては「よく、これドラマにしようと思ったね」という心境でキーボードを叩き続けておりましたし、私達はよく、全8話を見届けられましたと、スタオベしたい気持ちにもなりました。
エロも、グロもないのにヤバいは作れる!という一つの光を見たと言いますか、ヤバイと一口にいっても、こういうヤバイも存在するんだなと勉強も出来た気分です。
コンプラ的にも問題ないのに、このドラマに問題がないわけないでしょうよ!と机を叩きたくなるような気分になるのも本当で。
劇団EXILESABU監督のコンビが提供する「ヤバイ」のヤバさは、見た事ない種類ヤバさだぞ!と今は胸を張りたい気分にもなっています。

それにしたって、今年の夏はずっと楽しかったなぁって私は今思い返していて。
JAMリサのおかげで、今年の秋も楽しく過ごせそうだと嬉しくも思っています。
このドラマがあったから、転職決めて右往左往していた私は、それでもずっと楽しく過ごせました。
劇団EXILEが好きでよかったなって心から思ってます。
この先も、彼らとファンが一緒に楽しいといいなと思ってますので、劇団EXILE総出演コンテンツが、もっともっと、私の元に届きますように!と祈りつつ、JAMドラの感想をこれにて完結させて頂こうかと思います。

寂しいなぁ!

JAMリサの感想も楽しく書けますように!

 


JAM -the drama-  第7話感想

感想を書こうとしても「私には何もかも分からなかったのです」と最早、純文学の語り口で述べてしまいそうな第7話。
遊園地とかで夜に観覧車にのって下界を見下ろすと、ピカピカ光る建物がその輪郭を闇に溶かしながら色とりどりの眩さだけ伝えてきて私は綺麗だなって思うより、「何が何だか分かんないなあ」って感じる事の方が多いのですが、まさしくそんな印象で、一個一個特筆すべき事がJAM的には整合性あるっぽいけどこっちからすると「もうちょっと説明頂戴?!?!」みたいな頻度と速度で連発されて、私はもうドラマを全部見終えた時に口に出来た言葉は「徳さんって誰?」の一言しかなかったのです。
いや、ほんと徳さんって誰よ?
あんた、タケルのなんなのよ!

そもそも、私は直人さんが登場する度に「ありがたがりたい!」と願ってもいるんですよね、正直なところ。
何しろ、ナイトヒーローNAOTOに激ハマりして一日で見終えた挙句、最終話で「終わらないで、NAOTO! ずっとヒーローでいて!!!」と号泣した私こと私ですよ?
ちゃんと「劇団EXILEのドラマコンテンツに、あの三代目JSBのNAOTOさんが映画の宣伝の為とはいえ御出演下さるのありがたいなぁ」っていちいち噛みしめたいんです。
NAOTOさんに「若」って呼ばれる町田啓太なんて二度と拝める機会のないだろう僥倖なので、その声音に「耳をすませば」させて頂きたいんです。
きちんと劇団EXILEとNAOTOさんが同じ画面に収まって芝居をしてるの尊い!て喜びたいんです。
第7話とかさぁ!!! ダンス!!! それも、しなやかで色っぽい挑発的で女性的なダンスを作業服で踊りこなしてみせてくれて(ダンスの事一切分からんの民やけん、あれはジャズダンスなのですか?そういうジャンルなのですか?と虚空に問いかけ続けています)、もうありがてぇ! ありがてぇ! 寿命100年延びます! みたいな。
劇団ちゃんらに「お礼言って!!!」とか何様台詞も繰り出しちゃいそうな凄さなのに、正直もう「伝説のダンサー、キング・ザ・ピーチが憑依してるとか、ピーチ先生が幽霊ってこと?!!! じゃあ、バースデーボーイズ達が着てるジャケットって死に装束だから真っ白なの?!!!(ド混乱)」とか毎度の事ながら色んな事が気になり過ぎて、あわあわしてたら劇団EXILEが宙に浮いてるっていう…ね?

金城の超能力の伏線が回収される事を期待してた視聴者この世に一人もいないと思うんですけど(暴論)まさか、ここにきてタイトルにもなる開花する能力の持ち主となるとは思ってもみずに、私は金城とライフルの「こんなに緊張感のない銃口の向けられ方、私見た事ない!」な対決に呆気に取られ、浮く劇団EXILEを見てずっと笑っていました。
いちいちツッコみだしたらキリがないもんだから、いやライフルと超能力の対決を見守る余裕あるなら逃げなさいよ!とか、アンダーグラウンドのショー内容が健全! 殺人ショーとか賭け格闘技とか、そういうのじゃないのね? 明らかに合法ダンスバトルだよね? うん、普通にライブハウスとかでやりなさいよ!とか、もう絶対言いません!
そんなん言い出したら、映画まで遡及して「MASAKOのスープのレシピどうなってんの?」ってとこから追求しないといけなくなるから、もう全部いいのです。
とにかく、幽霊が闊歩し、憑依現象は当然あって、根回しもなしに反社会勢力が市の所有する土地を不法占拠するというハイリスク・ノーリターンな暴挙に出る、LDHの無法地帯劇団EXILEが誇るJAMの世界な訳ですから、もう常識の観点から何か物申すのは野暮なのです(でも、救急車は来るし、警察も存在してるからハイローの世界よりは人間が暮らしやすそうではある)
大事な事は、アンダーグラウンドにはおばさんはいないけど、MASAKOはいる!というそれだけなのです!!(ヒロシが「おばさんがいない」と述べる度に「こんな寄る辺のない声音ある?私も、すぐ言いたい!「私がいるから」ってヒロシにすぐ言ってあげたい! おばさんだからこそ言える資格のある私を寿ぎたい!とまで思い詰めました)

多分、第7話以降一か月位だったら笑顔を失ってしまってもしょうがない位私笑わせて貰った私ですが、JAM名物「このドラマにこの名曲アンバランスじゃない?!」の台詞版「このドラマでこんなイイ台詞必要?!」な「失敗は受け入れます。 でも挑戦しないのは受け入れません」の台詞を、今やJAM界一の怪物と成り果ててしまったタケルが口にして、私は素直に感銘を受けましたし、失敗は許されない家村会よりもタケルの組は優しいぞ!とか見直し(?)ましたし、もう感情が振り回される事にも慣れっこになった私は、大好物の暴力も「テツオとラリアちゃん、テルマ&ルイーズみたい!」と大喜びで享受して「あるがままを受け入れる」事の楽さ加減に浸りきっておりました。
考える意味のないコンテンツを見てるのって、本当に楽なんですよね。
バースデーボーイズのパフォーマンスも最高だったし、これを生で見られる日が楽しみでしかないし、まぁね、うんうんうん。
今回に至るまで、毎回感想文にて全部呑み込むぞ!って決意表明している私でも、昏睡状態の美咲にバースデーボーイズのデビュー戦を音に乗せて届けるタケルの仕打ちには、「え? 何を期待して?? いきなり知らんボーイズグループの、知らん曲聞かされても困惑以外の感情生まれないでしょ? しかも、ダンスは届けられないからゴーストの歌をお聞かせしてるってだけの結果に終わってるし」って、そこはやっぱりタケルの意図不明な恋人への愛情の向け方に戦慄しましたし、それでも開眼しちゃってる美咲には、きちんと一度は「目、覚ますんかい!!!!」とはツッコみました。
うん、そこはね。
最低限の礼儀としてね?

とにかく、来週がいよいよ最終回な訳で。
え? 最終回って、最終の回だから最終回なんですけど、これ最終に…至れる??
JAMドラにてタケルが広げた風呂敷が広いというよりは柄が言語化しにくいせいで「来週、全部畳める?」という心配より、「これ以上何か起こりようある?」みたいな、まさかヒロシが第一話で出会った魔界の住人達がラストから次回予告にかけて姿を見せていて「千葉哲也の伏線の回収だって、多分誰も期待してないよ…」と顔を両手で覆って呻いたりもしたのですが、まぁ、いずれにせよ、こういうテイストのドラマなので、どんな終わり方をしても「そういう話ですが?」ってスンっとした顔をしてられるのも、特権だよなとは思ってますし、ここまで見守ってきたのですから死なば諸共!(ドラマの感想コンテンツで余り見掛けない表現)
リサイタルまでついてくよ!の気持でJAMドラ最終話を待ちたいと思います。

JAM -the drama-  第6話感想

タケルのオコ!表現が、笑顔で裁ちばさみを懐から取り出してヒロシの指をチョッキン!とかいうタイプじゃなくて、本当によかったね、ヒロシ!って胸を撫で下ろしました、な第6話。
もうね、最初に総括しちゃうんですけど第6話は滅茶苦茶好きで!
JAMドラにおいて徹底的に描かれているのはアウトローに生きてきた人間が明るい方へ向かって進もうとした時の滑稽さとか、愛らしさである事は疑いようもないのですが(あまねく作品が更生のしんどさや、世間の厳しさばかりを描いているのに、ウルトラバカハッピーな話にしちゃってるの特異過ぎて、JAMのそういうとこが滅茶苦茶好き)、今回タケルが初めて「怖い」と「可愛い」を両立させている姿を見て、私はたなびく細い煙のような長い悲鳴をあげてしまいました。
まぁ、その悲鳴の名を世間では「断末魔」と呼ぶのでしょうが、首を締め上げられてる鶏みたいな声で「殺される!」と私は呟きましたし、今日までに三回程見返しておりますが毎回「殺される!」って断末魔の声を漏らしてしまっております。
ヤバイ!あたい、タケルのことが好き!好きになっては一番いけないタイプのキャラだし、相変わらず美咲には「逃げて!」のエールを送るしか出来てないのですが、それにしたってオコの表現が「拗ね」である事は全く予想出来ていなくって、ヒロシの慧眼と空気の読めなさに全力で「拗ねる」タケルの姿は、もう寿命を縮めてくる威力過ぎて第6話を見返す度に私の命の終わりを近づけてるんだな…と確信しつつも、見返すのをやめられずにいます。
シャブや…JAMドラ第6話は見るシャブやで…!!

テツオの歌唱シーンも「曲がイイ!!!こんなにイイ必要性ある?!!」とJAMドラ見てる間何度胸中で突っ込んだか分からんツッコミをまたも決めつつ、「君と好きな人が百年続きますように」って心からハナミズキりましたし、寂しさの塊だったテツオが好きな人に出会って、仲間も出来て、穏やかに過ごしている姿を見ると、彼の前から二度と大事な人がいなくなったりしませんようにと祈らずにはいられません。
捻りとかいらんから、ラリアちゃんと幸せになってくれ~!
とはいえ、テツオのふるう暴力は大好きなので、幸せに暴力をふるうお前でいてくれ~!!

それから、チャンチャンとバースデーボーイズのダンスレッスンシーンも圧倒的に好き!です!
可愛さが優勝してる!!私の情緒が壊れてる証左として、ピーチ先生からみんなが卒業するシーンで私は泣きました!
エーーン!!やだよー!!!ピーチ先生から卒業したくないよー!!!
先生は素っ頓狂だけど、美しくて、指導は真剣で、正しくて、いつでもご機嫌で、笑顔が素敵で、厳しいけど、ちゃんと五人の事を愛してくれていたから、もう私もJAMのスピード感に追いついちゃって物凄い速度でピーチ先生を慕ってしまったわい。
ミシンで衣装を作ってくれてるとか、愛するしかなくない?
バースデーボーイズは絶対ビックになって、先生の恩義に報いるしかなくない??
ターンの練習シーンとか、褒められたボーイズ達が素直に嬉しそうで、もう私はニコニコが止まらなくなってしまって、JAMでこんなに正体が明瞭な可愛いを受け取ってしまって良いのかしら?って戸惑いすら覚えちゃってましたからね。
髪を染めるシーンも、セーラだけが黒髪のまんまだった時にピーチ先生が言ってくれた「何色にも染まらなかったのよね」の言葉が嬉しくて、嬉しくて、例えばその言葉を言われたのが私だとしたら、一生思い返しては嬉しくなるような素敵な言葉だと思って、髪色が変わらなかった事に対してそんな素敵な台詞を用意してくれてるピーチ先生は、指導者として素晴らしいし、この先も教育に携わる仕事に就いて欲しいと切望もしております。
きっと、ピーチ先生に育てられた生徒はダンスの技術だけじゃなくて、自己肯定感と自信も得られるから絶対天職だと思うんですよね。
タケルプロのみんなが集合して、それぞれの仕事にはしゃいだり、盛り上がったり、ダンスしたり、和気あいあいとしてるシーンは言わずもがなで、それぞれがそれぞれなりにずっと欲しかったものをタケルプロでやっと手にしているのかな?とか考えだすと、切なさまで覚えてしまって、私は「永遠なれ!タケルプロ!!」とか事務所推しの姿勢を強固にしました。
もうね、何度見返しても好きなシーンしかなかった!
全部好き!!ヒロシが金城の超能力で浮いたのに誰にも伝わらないシーンも好き!
ありがとう!JAM!と第6話で最終回並みのテンションで拍手を送っております。

まぁ、そんな訳で今回も情報量が凄い上に公開前の見た事ない映画の見た事ない場面が差し挟まれて、JAMドラが時系列的には見た事ない映画の後の物語である事まで分かった訳ですが、もう今回のお話はここまでで充分幸せだなって満足していた私に襲い来る「拗ねタケル」、「ヒロシに厭味言っちゃうタケル」、「テツオの拳を片手で引き止めた挙句自分自身が殴り掛かっちゃうタケル」の三連続に私は心肺停止に陥った訳で。
まぁ、タケル獲れ高としては(獲れ高?)テツオに口パクディスク渡して断られてからの一連の「欧米か!」な仕草とか、美咲の枕元に座ってる怖いけど美しい顔や、レッスンに励むバースデーボーイズ達を見守る優しい決意に満ちた表情等で充分得られていたんです。
漁獲量としては(漁獲量?)これ以上望むものはなくて、まさかラストに掛けて「これでも喰らえ!」な激強タケルをこんなに頂けるなんて思ってもおらずに私は言葉を失いました。
ヒロシの具体的な「闇の世界」イメージとか全部見覚え在り過ぎて「あるあるネタにもほどがある!」ってずっと笑ってたんですけど、そこから怒涛のように図星を突かれたタケルが「むううううう」ってなっちゃう顔の可愛さに「ひぃ」って呻いたし、はしゃいでたタケルの無邪気が水を差さされる姿を初めて目撃した側としては「ヒロシさん、パねぇっす!」って思わず尊敬したし、ヒロシの言うてた通りのアンダーグラウンド世界観(概ねダサい)が提供された挙句みんなでタケルのご機嫌取りにいく件は萌えるのと面白いのとがごっちゃになって私は顔を強張らせながら笑う、竹中直人の一歩先行く状態に陥ってしまいました。
もう、充分です!こんなにタケルを沢山貰えてありがとうございます!致死量です!って訴えてるのに、最後に暴力ふるいにかかるタケルが、ちょっと「こんなに顔綺麗な人この世にいる?! 人に殴りかかってる顔ってこんなに綺麗であっていいものなの?」という美しさで、溜息しか出なくなって終話ですよ?
予告も「何がどうなってんの?」な場面ばかりで、とりあえずさんめちゃんのリーダーが劇団EXILEのドラマで踊るありがたい姿を頂戴出来る予感と、チャンチャン&バースデーボーイズの鮮烈デビューが約束されたな!という喜びと、私の大好物な暴力が来週はくるぞー!という期待感ではち切れそうな内容で、今すぐ来週がきて欲しい!!けど、第7話はラス前の話という事になる訳だから、寂しい! 終わらないで、JAMドラ!という嘆きに満ちつつ、第6話の感想を終えようと思います。
本当に、大好き過ぎて終わって欲しくないよ~!!!