他人事倉庫

他人事の長文置き場です。

西荻窪 三ツ星洋酒堂 最終話 感想文

世代じゃないので、中山美穂さんに対する思い入れとかがない私です。
なので、ゲスト加点はなくって、お話は原作ベースにしてゲストに合わせた脚色とにしぼし三人組の物語を兎に角まとめようとした結果「詰め込んでるなぁ」という印象を受けた最終話ではありました。
と、同時に「空虚だなぁ」と思う私もいて。
何しろ、山も谷もないお話なので(それはにしぼしドラマで見た殆どのお話に対して言えるのですが)わたがしみたいに、微かに甘くはあるけどふわふわと実体のないお話に一カ月半付き合い続けたなという、そんな感慨を得てしまっていたのでした。
でもね、よかったなぁって素直に思えたラストだったので、私としてはそれでいいかなって感じてて。

何しろ、たった六回。

1話30分。
その短すぎるお話の中において、たった一つだけ丁寧に雨宮が伝えてくれた事は、彼がお店を大好きだという事だけでした。
他は、もう何も分からんだのよ。
小林の葛藤の正体も、中内の味覚障害が治った理由も、彼が考えている自分の将来の姿も、雨宮という男は結局どういう素性の男だったのかさえ、全く分かりませんでした。
雨宮の兄との確執や、洋酒堂というお店が三人にどういう変化をもたらしたのかとか、多分ドラマのメインテーマになるべき柱も置き去りになっていて、カタルシスのない大団円において、それでも「雨宮の大事な場所は残される事になった」というただそれだけは間違っていないだろう私の認識を「まぁ、とりあえずは良かった」と私は思うしかないというのが、正しい現実なのかもしれません。
但し、にしぼし三人組のモラトリアム期間の続行という終わり方は、ハッピーエンドと位置づけるには適当ではないのかもしれないなって私は思ってるんです。
一番いいのは雨宮がやりたい事を見つける事なんだろうし、そのやりたい事が「お店を続ける事」ならば、その決意に相応しい言動と覚悟を示して然るべきだったと私は思う。
だから、ドラマ見てる時にここだぞ!って私は意気込んじゃってて。
缶詰をつつく手も、この時ばかりは止まっちゃってて。

いつも弱ってる客に対して「どこから目線?」な無神経な発言をキめてんだから、ここでこそ言ってやれ! 小林! 今回ばかりは何を言っても良い正当な権利があるぞ! 店続けたいって事は、期間限定だったこれまでと違って、これから相応の責任を負う覚悟があるんだろうな?って言ってやれ!とか思ってたのに、小林は雨宮に激甘だから~!
秒速で嬉しそうにOK出しちゃってさぁ~!
あんなに「いいか? 缶詰なくなったら店はおしまいだぞ!」ムーブ決めてた癖に、あれなんだったの?
雨宮に「やだやだ! お店一緒にやろ?」って言わせたいだけだったの?
何、それ羨ましい!(咄嗟の本音)どういう贅沢なプレイ?
一か月半、何見せられてたの?と、困惑を隠せない私に何の罪もないはず!


雨宮は終始ドラマと同じく空虚で、お店と小林と中内、そして日々訪れるゲストの面々に依存して生きてる実感を得ている人間で、その変化のない有様の善し悪しについてはもう深く考えないでおこうと思います。
私自身は、依存上等というか自立を尊ぶ気持ちがとても薄くて、本人の幸福こそを何よりも重んじるべきと考えてるものですから、これからも雨宮は他者に依存し続けます!と表明してるかのようなラストに対する釈然としない気持ちは薄いという事も深く考えないでいられる要素の一つなんだろうとは分かってます。
ただ、私のこうした「自立」に対する考えは多数派に属してない事も自覚していて、古いなと思えど然程突飛な倫理観を提示してはこなかったにしぼしドラマにおいては「主人公が自立しない(もしくは自立を延期する)」ラストって本当にハッピーエンド?ってやっぱり感じてしまう最終回だった事は否めないのです。
時間ないから取り敢えず風呂敷畳んで、続編の芽を摘まずに、三人の笑顔で終わらせればハッピーエンドでしょ!とか安易に考えた気がしてならんのよな。

何しろ雨宮という見るからに恵まれている人間が、ラストにナレーションにて述べる人間が生きてくだけで被る辛さなんてのは、如何にも実感がこもってなくて、そんな彼が「生きてく事の辛さ」の存在を認知する事が出来る場所っていうのが三ツ星洋酒堂だったのだとしたらと考えると、これは中々悪趣味だぞ?とも感じてしまうんですよね。
私の大好きな芸術家ソフィ カルが「限局性激痛」という作品にて、自身の失恋による傷心を他人の失恋エピソードを収集する事によって癒していく試みの過程を展示していて「なんて人間らしいグロテスクさなんだ!」と私は感銘を受けたのですが、多少雨宮も他人のエピソードを飲み食らって生きてる実感を得てる印象があるんですよね。

持ち前の美貌も手伝って、自身の生きる目的が見つからないから、人生の苦難に喘ぐ人々を眺め、宥め「人間とはかくある生き物なのか」と学んでいるかのような天上人感が否めないっていうの?
まぁ、更に厄介なのは私がそういう類の人間性は大好きです!っていう嗜癖持ちでもある事なんですけど!
ただ、雨宮は自身の店に対する執着の悪辣な側面に気付いてる様子もなく、疲れ果て、自身の前で己の境遇や、困難、思い出を語る人間に寄り添い、暖め、その心を軽くする事を身上としている優しい人間でもあり、そのキャラクター性が物語の主旋律となっていた訳で、今更なんですけど、そういう一見欠けたる所のない、立ち向かうべき壁がない人間が抱える内面の問題を解決しようとするには全六話じゃ足りないんだなって改めて述べるしかないなって思います。
ほんと今更だけど。
こうやって言語化していくと全6話を通じて雨宮のキャラクターに複雑な捻じれが生じている事が分かるんですけど、ラストにおいて、兎に角終わらせる為に三人の物語を極端に単純化させてしまった事により物語に矛盾が生じてしまっている事も同時に判明する訳で。
こうなってくると「この最終回って何某かの示唆が隠されてる訳でもなく、制作者側がちゃんと考えずにドラマを作ったら至った結果だろうなぁ」とか結論が出ちゃって、やっぱり私は「もう、深く考えないでいっか!」って両手を万歳してしまうのです。

浅野いにおが「ソラニン」で描いた「ゆるいしあわせが続く事の不穏にさよならと手を振る」勇気を主人公が持つ結末に至れなった、にしぼし最終回。
でも、色々書いてるくせに制作者側が意図してない感慨の得かたかもしれませんが、素直によかったと思う私の気持ちにも嘘はないんです。

 

本当ですよ?

この目を見て下さいよ!

 

私はきちんと「この店がなくなったら雨宮はどうしたらいいんだろう」という不安を抱けていましたし、どうか彼に居場所が見つかりますようにって祈る気持ちも得られていましたので、あの場所が彼に残された事、棚一杯の缶詰を幸福な風景として私が眺められた事はやっぱり良い事だよなって思ってます。


やりたい事はなくて。
欲望も持たなくて。
恵まれた境遇なので、必死になる事だってなかっただろう雨宮が三ツ星洋酒堂で初めて守りたいと思える場所を得る事が出来た。

 

美しい佇まいで、優雅な振る舞いを見せ続けた彼が必死になって縋った場所が三ツ星洋酒堂だった。
三人に関しては、謎がないから伏線もないし、確執もないから解決すべき問題も無くて、これまで雨宮の我が儘を全部聞いてきたのと同じく、「やりたいんだ! 三人で!」と雨宮が言えば「じゃあ、やろうか」って主体性なく彼の決断に付き合ってくれて、小林は兎も角中内は本当にそれでいいの?って百回位問い質したいんですけど、雨宮に肩を抱かれて笑ってる顔を見たら、「良かったんだね、これで」ってそういう事にしてあげたくもなったのでした。


にしぼしドラマは起伏のない筋書きが真っ白なキャンパスとなりゲストの実力を映す鏡になっていた事を私は結構面白がっていたですが、出演者側にしてみれば「腕が鳴る」と意気込めるのか、それとも「役者の実力を引き上げてくれるような面白い脚本くれよ」と憤るのか?

いずれにせよ、私はあんまりこういう類のドラマを見た事がなかったので一話からずっと「特異なドラマだな」って印象を抱いたまま、その気持ちが変わる事無く最終回を迎える事になりました。

にしぼし三人組のこれからを是非見てみたい、もっと彼らについて掘り下げて欲しいという気持ちは大いにあるので、続編があればいいのに!って心から祈っていますが、今度はもっと丁寧に、見てる人間の納得の得られるようなお話作りをして貰えたらなっていう気持ちも素直に表明しておこうと思います。

何にせよ、ずっと全話通じて推しのビジュアルが最高値を叩き出しており、こんなに綺麗な人が生きて、動いて、カクテルとか作ってて許されるわけ?とか訳の分からん混乱に毎回見舞われた事は確かなので、その点においては心から感謝の念を捧げさせて頂きたいなと思ってます。

 

それでは、結局最終回まで長々と感想ブログを書いてしまったのですが、ここまでお付き合い下さいました方々に深く御礼申し上げます。

他人事でした。

西荻窪 三ツ星洋酒堂 第五話 感想文

どこまでがオリジナルで、何処までが原作通りなのかは私には分からなくて。

だから、私が見る限りにしぼしのドラマにおいてはという前提で書きますけど30分に満たないドラマで「夢を追う事と家庭を持つ事は両立できるか?」とか「血のつながらない子と家族になる決意を固めるまでの説得力」とか多分書けないし、今の時代に即した見てる人にとって優しい価値観を示す事は出来ないのだから、そこは手を出さない方がいいよとは思いました。

 

 ゲストにまつわるお話は、私にとっては今回余り良くなかったです。

すぐに私は一番振り回されてしまう弱い立場の事を考えてしまうし、それは当然私だけじゃないと思うので、作り手側に「難しい事に挑んで、上手に出来なかった」という自覚だけはあって欲しいなぁ、倫理的な意味でという事も考えてしまった次第です。

子供がいる以上あの二人の間だけで家族になる、ならないの可否の決定は出来ないし、主眼を置くべき場所が少しずれてるんですよね。

あの二人の問題じゃなくなってるんだよな。

だから、凄くモヤモヤしちゃった。

いや、分かるやで?

ああいう話になった意図は分かる。

つまりにしぼしの三人組が置かれてる状況、心境にフィードバックされるようなゲストキャラの話を御用意したかったんだろうなって分かってる。

最終回を前にして、小林が頑張るお話が必要で、だから執筆活動に固執する余り家庭が崩壊した小林と境遇が重なる、夢を追う事と家庭を維持していく事を両立させる事の困難さに直面しているゲストキャラを描きたかったのは本当によく分かるんです。

とはいえ、今回のゲストカップルにおいて彼女がプロポーズを断る理由を『男が夢を追っているから』にしてしまうと彼女が彼の作る曲が好きで、音楽活動を応援しているという前提に抵触してしまう為、実はバツイチ子連れだから彼の邪魔になってしまうので自分は身を引くという書き方にしたのだろうという事を察しない訳でもないのですが、それってさぁ!

いや、もう「結果」の為に過程を描く余白しか与えられてないドラマに対して述べる事じゃないのかも知れませんけど、それでもそれってさぁ! 子供の存在、あんまりにもないがしろにしてない?!ってなっちゃうのです。

カップルの障壁として書かれてしまう子供の存在は、例え物語の上においてであっても私にとっては承服し難い惨い仕打ちだ。

 

『ママはお付き合いしてる間は彼氏には、私の事を伝えていませんでした。

私が彼氏とのお付き合いには邪魔だったからです。

彼氏は私の事を知らずにプロポーズして、ママは観念して私の存在を伝えて、彼氏と別れる事にしたそうです。

私の存在が彼氏の夢の邪魔をするだろうと考えたから。

だけど、彼氏は私の性別も分かってないうちから私のパーソナリティについて何も把握してない癖に家族になろうと言ってくれて、ママも私との相性についても考慮せずに受け入れて、私の新しいパパになってくれました。

めでたし、めでたし』

 

いや、めでたくねぇし!!

無理じゃね?

普通に酷くね?

新しいパパ余りにも無責任じゃね?

ママは子供にも彼氏にも不誠実じゃね?

子供辛くね?

自分のママと新しいパパにとって「邪魔」だった時代を強制的に付与されちゃう子供辛くね?

 

別に母親全員聖母説とか唱える派閥には属してませんし、これ父子家庭の父親と夢を追ってる女の子のカップルだったとしても、勿論言いますけど、ちょっと諸々乱暴だなって第五話は凄く思いました。

乱暴に取り扱ってはいけない部分を乱暴に取り扱う位なら、書かない方が絶対良いよって思うので、『子供』の存在を例え台詞上だけであったとしても出さないで欲しかったなって私は思ってます。

子供要ったかな?

時代はさ、ちゃんと「生活力がない男が将来の展望を描けないうちからプロポーズする事は無責任だ」と感じる女性の存在を肯定してると思うんだよね。

「夢を追う貴方が好きだけど、支え続ける自信も実力も私にはない」という現実だけで充分だったんじゃないかな?

彼女が彼氏のプロポーズを断る理由としては。

少なくとも、私は彼女が彼氏が結婚を決意するまでの付き合いをしておきながら、その間ずっと子供の事を隠していたという、その一点でちょっと色々拒絶しちゃって。

彼氏が子供の事何も知らんのに彼女と結婚したいという気持ちだけで、子供の父親になる事も決意する姿が怖くなっちゃって。

そこは深夜の30分ドラマだから、色々大目にみないとなって私が思える範疇を超えてしまっていたし、ゲストの事を応援出来ないのは、にしぼしのドラマ構造としては致命的だと思うので、やっぱりあんまり良くなかったなって感想を私は第五話に対して抱いています。

キャラクターを道具にしない方がいいんだと思います。

にしぼし三人組の心に波風を起こす為の道具としてゲストを使おうとすると、こういう具合になっちゃう。

第四話は小久保さんが怪物役者だったので芝居に夢中になる余りに引っかからずに済んだ、物語の軽薄さを今回むき出しで目の当たりにしてしまった気がして、私はちょっと閉口してしまいました。

第二話における育児を理由に夢を諦めようとする母親の話でも感じたけど、ジェンダー感が古い気がすんだよな。

大団円に持ってこうとする道筋が古いステロタイプの枠に沿っちゃってるから、制作者側が「これこそハッピーエンドでしょ?」という提示に、私は頷けないでいるのかも知れない。

私が応援できないエピソード持ちのキャラクターを、にしぼし三人組が応援してるのもね、私の認知が歪んでるのかな?とか、ちょっと落ち込んじゃったりしてね。

 

GYAO君のネット記事で雨に濡れた雨宮が小犬みたいとか書かれてて、私は以前第二話の雨宮が聖母みたいって書かれてた時に「落ち着けってwww町田啓太の身長幾つあるか知ってる?www出身大学は?wwww片手でリンゴ潰す、スケバン刑事麻宮サキみたいな男ぞ?wwww」とか大草原に佇んでたのに、ドラマ見たら明らかに聖母だった事件があるのですが、今回はこんなに認知歪んでる私は、雨宮の事GYAO君みたいに子犬に見えないかもしれない…とか怯えたのですが、びしょ濡れ雨宮はちゃんと子犬に見えたのでよかったです(?)

いや、子犬に見える方が歪んでるのか???(推しの認知に対する混乱)

いずれにせよ!

冒頭、缶詰を眺めてセンチメンタる雨宮の腰の位置は、相変わらず「お腹、存在する?」って場所にありましたし、小林と会話するシーンは小林の表情もさることながら、雨宮がずっと綺麗で。

本当に、今も見返してたのですが「なんて綺麗な人なんだろう」って思う程真っ白に綺麗で、その顔を見せられたら諸々お話の乱暴さを呑み込んじゃう私もいて、出演してる推しが綺麗という加点のデカさを噛みしめてしまいました。

お町田さんは「寂しい」という気持ちを表情で表現するのが本当に巧い人で、「寂しい」気持ちの美しい部分を抽出して表情に乗せる名人で、来週その匠の技を炸裂させまくってくれる予感がするので、来週の最終回を心から楽しみに待とうと思います。

 

西荻窪 三ツ星洋酒堂 第四話 感想文

感想書くぞー!って思う気持ちと、小久保寿人さんという役者さんの感想を書きたい気持ちが殆ど=(イコール)で結ばれちゃう位に、あえての表現を使うと小久保さんの一人勝ち!みたいな、にしぼし第四話でした。

第三話は物語の素敵さと、近藤さんという人の巧さの性質が一緒に演じる人と高め合うような、懐の広い巧さの持ち主だったという事もあり、お町田さんとの台詞のやり取りがとても心地良く観られて「おかげで推しも素敵だった! ありがとう! 近藤さん!」みたいな気分に至れたのですが、小久保さんはもう、これぞ! これこそが! 俗にいう、アレですよ!

「喰われる」つうやつですよ!!!と、私は早々に白旗を振ってしまう程に、小久保さんの事だけが印象に残ってしまったのでした。

化け物だわ。

怪物だわ。

脚本自体30分の中で、原田はころころ心情も立場も佇まいも変化を促されてしまう、難易度が高すぎる役で、正直その難易度に応えられない事が当然というか、あの短い時間の中で感情のスイッチ点すらあやふやなお話において、芝居で自身の変化を表現する事なんて殆ど無理な役なのに、なんであんなに説得力のある。

視聴者が「ああ、洋酒堂でこの人は気持ちを浮上させられたのだ」なんて納得できるような芝居を、どうして?とか考えだすと、もう頭を掻きむしりたくなる位、私はもう、「演劇のお化け」をみたような心地に追いやられてしまうのです。

凄すぎた。

このドラマ私見ててよかった。

見てなかったら、あの芝居を知らないまま生きてかなきゃならなかった。

それって、どれ程の損失だろう?って考えるとゾッとしちゃう。

その位ハイレベルな、ちょっと私からすると奇跡みたいな芝居を見せられた気がします。

 

私が大好きな劇団の看板役者は、古田新太って男でして。

この人は大概怖い物知らずな役者なのですが、大好きな発言に「俺は、つまんねぇホンの芝居に出るのが愉しい」ってのがあるんですよ。

「俺は、つまんないホンの作品を俺の芝居で面白くするのが好きだ」って言っていて、私は「流石、言うねぇ」なんてニヤニヤしたもんですが、「こういう事か」って小久保さんの芝居を目の当たりにして思い知らされました。

名優は食堂のメニューを読み上げるだけで観客を泣かせるなんて逸話を持つように、巧い役者は凡庸な物語に途方もない吸引力を付加する。

ツイッターにも書いたのですが、第四話の内容自体は他愛もないものだと思ってるんです。

芸人さんが、解散した相方の出世にもやもやして、にしぼしで美味しい料理とお酒と店のスタッフの言葉に元気を出すってだけの起伏のない物語。

元・相方の飛躍と自身の停滞により途方もなく損なわれているであろう自尊心とか、見失ってしまった夢への情熱とか、二人で追いかけていた未来を一人で追いかけねばならなくなった孤独とか、その全てを洋酒堂でのほんの一時で癒せるものなのだろうか?って考えて見ると「無理だろう」って思うのに「無理じゃないよ」って小久保さんの芝居が言い聞かせてくる。

説得力しかないみたいな演じ方に私はホタテとマッシュルームの缶詰をつつく手も止まってしまって。

巧い役者の芝居がなだらかな物語に、見応えのある起伏を作る様に絶句しました。

物語に鮮やかな息を呑むような彩りを落とし、作品の質を向上させたのは間違いなく小久保さんのお芝居です。

小久保さんの一挙手一投足全部、あの世界を生きてるリアリティが滲んでいて、私はずっと目が離せなかった。

事程左様にさいたまネクストシアター一期生な刺客、巧過ぎて「なんで、私、この人知らんかったんやろ?」みたいな、自分を憎みすらしましたからね。

シェイクスピアを舞台で観る事にいい加減飽きてるからだよな~!!

いや、そんな本数観てる訳じゃないんだけど、でも色んなハムレットが『生きるべきか、死ぬべきか』言うの見過ぎて「好きにせぇ!」とかいっつも思っちゃうし、リア王も「なんで何度も、じいさんが娘に騙されるの観てイライラしなきゃならんのや!あんた、ラッセンの絵とか買わされちゃうタイプでしょ!」ってうんざりはしているのも本当の話で。

そんなうんざりしてる私は、推しが出演でもしなきゃ、わざわざシェイクスピア観に行かないもの!!

あーあー!小久保さんのオディプス王観たかったな~!とか、床をゴロゴロ転がって悔しがっているし、この先舞台に御出演になる際は是非、観劇したい!と、願うと共に、その為にも一刻も早いコロコロな禍の終息を願う気持ちを新たにさせて貰いました。

 

今回のもう一人のゲスト、相方役の梶さんという方の事は私は存じ上げないのですが、声のお仕事で有名な役者さんのようで、確かによく通る聞き取りやすい良いお声をしてらしたなぁと振り返りつつ、つぶ貝とビールではしゃぐ様子や漫才の練習してる姿を見るに、二人の漫才とかね! きっと面白くないんだろうなあ(辛辣)という気持ちにさせてくれるのもやけにリアルで、ちょっと打ちのめされました。

いかにも売れないコンビっぽさ。

でも、本人達は愉しいんだろうなって。

キラキラ眩しい位に光って見える人生の時期を青春と呼ぶのなら、二人で夢を追える時間が有限なのも仕方のない話で。

小林の言葉に反発して原田が吐き出す相方への気持は、彼と共に過ごした日々がモラトリアム期間であった事を自分自身に知らしめる色も帯びていて、だから雨宮が優しく告げた「好きだったんですね。 相方さんの事」という言葉はシンプルだけど、多分それ以上に原田の今とそして、相方と過ごした過去を言い表す言葉はないのだろうし、その瞬間小久保さんが目玉を彷徨わせ、ゆるゆると首を傾げて照れながら「本心から笑ってる」ようにしか見えない無垢な笑みを見せて「はい」と肯定する全てがね!

ああ、今、彼の青春が終った!!!って私は切なくなっちゃって。

私は小久保さんの芝居に、にしはら団の青春が息絶える瞬間を見てしまって、もう後は追い打ちのように小林が「だから売れねぇんだよ」とか死体蹴りしてくるでしょー???

こーばーやーしーー!! ほんと、そういうとこ!

本人が一番分かってる事を言っちゃうとこと、それを自分に向けても言っちゃってるとこが、ほんとにおーまーえー!!って感じするけど、書けなくて苦しんでる姿がスペシャルセクシーだったから、許してやるよ!(私の立場とは?)ってなっちゃって、つぶ貝の後に出て来た中内作のリゾットも本当に美味しそうだし、完全に小林と中内で飴と鞭コンビのコンビ芸成立しちゃってるし、何だかんだ見終わった時には「いいドラマ見たな」って気分にさせられていたので、総じてそこまで感情を持ってってくれた「小久保寿人さん、すげぇ」という結論に達してしまうのでした。

 

とまあ、先刻述べました通り、小久保さんの感想を述べるばかりの今回の記事なのですが、物語の終盤に小林と雨宮が二人で向かい合って中内の料理を口にしながら、彼らもまさにモラトリアム期間の真っただ中にある事を自覚するやりとりをしているシーンに妙に私はドキドキしてしまってもいまして。

閉店後の店内の薄暗闇の中で二人が言葉を交わす様子とか、オープンしてる間は雨宮が小林の棘のある言動を諌めてばかりなのに、一転閉店後は二人の立場がぐるりと入れ替わって、頑是ない様子を見せる雨宮を見透かし、諌め、宥める小林の振る舞いにも「ヒェッ」と心臓が縮みました。

これ、小林が雨宮相手の時しか見せない態度じゃないかしら?とか思っちゃったんです。

そして、雨宮が小林や中内が「次に行く」事を見据えている事に対し、まるで取り残される子供みたいに嘘をついて、取り繕おうとして取り繕えなくて、長い睫を何度も何度も上下させながらじっと小林を眺めている様も、きっと小林にしか見せない態度なのだろうなと思うと、もう心臓どころか寿命も縮む思いも致しまして。

この二人が如何にして、店を二人で切り盛りしていく決心をし、砂時計を引っくり返して光る砂粒が徐々に落ちていく様子を二人で眺めているような、そんな時間を過ごす事に決めたのか?

きっと最終回までには明らかになるかと思いますし、その時私の心臓はまた、ぎゅうぎゅうと絞られたり、寿命を縮められたりする予感が致しますので、何卒!

にしぼし三人組全員が幸福な道を歩めますように!

小林と雨宮が、お互いにかけがえのない存在であり続けられますように!と祈ってしまうのでした。


西荻窪 三ツ星洋酒堂 第三話 感想文

笑の大学というお芝居に出演している姿を映像で観て以来、最早御尊敬しておりますと申し上げたい程に、近藤芳正さんは私にとって絶大なる信頼を寄せる役者さんの一人となっています。

今回のにしぼし第三話ゲストで来られるとの事で、もうね、身構えてすらいましたし、身構えている以上に「あー…」みたいな「巧ぇなぁ…」ってしみじみ感じ入ってしまうような、そういう実力を見せつけて頂いて、巧い役者って巧いよなぁ(語彙)って改めて実感している次第です。

チョコレートケーキにお酒を合わせるだなんて、お酒のアテで一番好きなのは油揚げを焼いてネギとかつおぶしを山ほど乗せてお醤油垂らしたヤツです!!と大声で自己紹介する私からすれば、そういうシステムでも搭載されてるかのように「へっ!」と半笑いの声が自動的に漏れ出そうなものですが、そのお洒落の権化の如き組み合わせを口にするのが定年退職を迎えた壮年の男性というギャップと、あまりに切ないエピソードに加え、夫婦で過ごしてきた長い年月を背景に感じさせてくれるような近藤さんの絶品芝居があわさって、三話目にして多分、今回のお話が私にしぼしにおいて一番好きな話になるんじゃなかろうか?と確信させる程に素敵な時間を過ごさせて貰いました。

こういうの!

深夜にお酒と缶詰を用意して見たいのは、こういう話!

あえて誤解を招きそうな表現をしてしまうんですけど、深夜帯に見る30分ドラマって視聴後に深く考えさせられたくないんですよね。

あくまで、私は!ですけどね?

穏やかに眠らせてくれ。

なんかいい気分でベッドに入らせてくれ。

見た後にすぐ忘れちゃう位のコメディとか、テレ東の専売特許である食べ物ドラマとか、今回みたいに静かにそっと見てる人間の気持に寄り添ってくれるような切ないけど優しいお話なんかが寝る前にお酒なんか飲みながら見るドラマには適してるように私は思うんです。

心を激しく揺さぶって欲しいんじゃなくて、ゆりかごに入れてそっと揺らしてくれるみたいな、今回はそういう話だったように思えて「いいもん見たな」って満足しながら、私は眠りにつけました。

 

とはいえ!!

 

推しのビジュアルは今回も唸りに唸っておりまして。

雨宮役やってると衣装が身体のライン如実に出る仕様のせいか、腰の位置の高さが「肋骨の本数、一般的な本数よか少なくないとその位置成立しなくない?」って震え上がるし「そんなに細い腰で自立出来てるのウェアラブルな仕組みに補助して貰ってるの?」とか不思議に思っちゃうんですけど、どの瞬間に見ても「時よとまれ! 汝は美しい!」ってファウストになっちゃうような状態を維持してくれていて、奇跡みたいに綺麗な人だなって手放しでこんなに容姿を褒められる人、私他に知らんな…って見惚れるしか出来なくなりましたね。

 

特に、前半のサプライズバースデーの準備にニコニコうきうきしてる雨宮が、古本屋の御主人に声を潜めるように指示されて戸惑ったように唇の前に人差し指を翳す仕草とか「フォトブックのポスターのポーズはこれがいいです! もしくは特典のポストカードにしてくれてもいいです! いっそのこと額縁にいれて飾りたいです!! LDHはいい加減、劇団のカレンダーを売ってくれ下さい!!!(脱線強欲)」と懇願したくなる『美!』具合だったと思いませんか?

 笑みを含んだ声で勝手に中内と小林を手伝いに巻き込み、用意するものまで指定する柔らか強引な手腕を発揮する雨宮と、雨宮に言われると不満を顔に浮かべつつも従ってくれる甘やかし中内&小林のトリオな関係性も三話目にして確立されてきましたし、えーーん!六話で終わるとか言わないでくれよー!!とか、大人なのにその場で地団駄踏んで口惜しがりつつ、それでも推しが溜息を吐く程に美しく、にしぼし三人組が今回もとても可愛くても、やはり第3話の白眉は近藤さんの一連の芝居全てにあったなって私は思うのです。

 

若い彼らのやり取りに心を解されて、缶詰のケーキを前にぽつりぽつりと雨だれのように妻との思い出を零す近藤さんの静かで、優しい口調は「ああ、奥さんの事をこの人は、本当に大事に想ってるんだな」って確信させてくれて。

チョコケーキの缶詰を手にして、甘いものが好きな奥さんの事を語る時に緩む顔が本当に素晴らしいんですよね。

思わず笑うってこういう顔だなって表情してて。

こんな風に、その人について語ってる時に思わず笑ってしまう相手がいるって素晴らしいことだなって思わせてくれて。

そして、この近藤さんの芝居に相対する私の推し!

私の推しもね! 良かった! 近藤さんは決して人を「喰う」芝居をしない人だという事もあって(そういうとこも信用がおける役者さんだと私は思う)、見劣りの心配なぞはしてなかったのですが、それにしたってよくぞ!と称賛したくなる程に、私の推しの町田啓太とて、素晴らしかったよねー!!って私は訴えたいのですよ!!

フンスフンス!と鼻息を荒くしてるのですよ!

相手の言葉をスルスルと引き出すような、困惑する相手の手を引いて相手の望むように、相手の希望を最大限叶えるように相槌を打ち、提案を行い、暖かくて優しい方へ導くその態度や、口調がね、私にとっては理想のバーテンダーって感じでして。

こういう人に、私も話を聞いて貰いたいし、お酒の提案もして貰いたいとは思うんだけど、いかんせん顔がな~!

顔が町田啓太だもんな~!!

私が喋ってる時間が勿体ないっていうか、顔を見るのに全集中しないといけなくなるのが雨宮のバーテンとしての欠点っちゃあ欠点だよな…と、洋酒堂が本当にあったなら?なんて本気で考え込んでしまう程に、近藤さんと雨宮の遣り取りに感じ入っているのでした。

 

私は、今回のお話では入院した奥さんが大好きなチョコケーキを一口も呑み込めなかった話をした後に「悲しかった。 死んでしまった日よりもずっと」と語る台詞が、とても印象に残っていて。

なんて、寂しくて、悲しくて、本当にそうだよな…って思える台詞なんだろうって胸を突かれてしまって。

失ってしまった時よりも「この人を失ってしまうのだ」と分かりたくないのに理解せざるを得ない瞬間の方が、喪失感はより深いのかもしれないって納得してしまって、だからこそ忘れかけていた奥さんとの優しい約束を思い出せて良かったなぁって心から思えるラストに辿り着けた事、そうやって視てる私の気持も雨宮に導いて貰えた事が、本当に嬉しくてならないのです。

 

ラストも雨宮だけが三人の思い出に一人はしゃぐ姿も可愛かったのですが、お迎えの車に乗り込んで「お坊ちゃま」と呼ばれる雨宮を見て、30歳でお坊ちゃま呼ばわりされる推し、最高では?!と思わずテンションが上がってしまったり。

雨宮の出自とかまで描く気あるなら、やっぱ六話短いよね~!

四話の予告でもう、中内の味覚障害が治りつつあるとか言い出しちゃうしさ!と石ころ蹴って唇を尖らせつつ、次回放送を楽しみに待ちたいと思います。

 

 

西荻窪 三ツ星洋酒堂 第二話 感想文

なんか、本編見る前にGYAOのトレンドニュースがツイッターに流れてまして、見出しがね「赤子にほほ笑む町田啓太が聖母のごとし…」ってあったんですよ。

 

もう、言うよね? 「ちょ、まてよ」って推してる私が言うよね?

正気か?って話ですよ。

目を覚ませ!って雪山なら往復ビンタ不可避案件ですよ。

いや、もうドラマ見る前から分かる。

そんな訳wwwないってwww

いや町田啓太と言えば、そりゃ見た目こそ「神様の依怙贔屓大炸裂」「ていうか、あの造形に神様は完徹何夜重ねたんだ?」「翻って、私の造形は完成までに1分掛かってないだろ? どういう事だ、説明してくれ」と天に向かって訴えたくなるような特別製の美を誇っていますが、言うても身長181㎝(公称)の男やで?

しかも日体大出身、林檎を握りつぶして生絞りジュースを作れる、名前を検索しようとすればサジェストに「町田啓太 ゴリラ」と表記される、そんな劇団EXILEな彼がですよ? 聖母てwwwウけまくりんぐwwww

まったく、私なんか相手にならん位、世間は狂ってやがるぜ!!!とか考えていた私が確かにおりました。

 

ドラマ、見まして。

第二話、見まして。

名探偵・私、すぐ察しました。

 

ははーん、これはガブリエル…うっかり来ちゃうぞ…とね?(訳知り顔で)

第五話…とか、六話辺りに天使来ちゃうぞ?

「主があなたと共におられる」とか告知されちゃうぞ?

雨宮、完全にマリアってたね。 青柳さんが「どこにいるのMaria」って歌った瞬間「はい、ここに」って手を挙げる合いの手いれてもいいレベルでマリアってたね?と、認めるしかない慈愛の微笑。

う、う、美し~~~!!!!

ハイハイハイハイ!!! 聖母でした!!!! 認めりゃあええんでしょうよ!!!(逆ギレ)

私、雨宮の事精神的動揺を露わにしない人間離れキャラだと思い込んでた節もあったので、赤ちゃんに振り回されて、シェイカーをガラガラのように振りながら、元・ジェネやぞ?!と肩を揺さぶりたくなるような不思議な踊りまで見せて、可愛いよ〜!

お前こそ可愛いの擬人化!

可愛いの1人ねぶた祭り!と、見事メダパニるあまり「雨宮は、可愛い人間~! 聖母マリアな可愛い人間~!!」と私も動揺してしまったのでした。

ほんとに、可愛かったですよね。

VS赤ちゃんにおいては、にしぼし三人衆が三人共可愛かった。

 

今回のゲストは村川絵梨さんで、とりあえず彼女を見ると「明日、今日よりも好きになれる~♪」とGReeeeNによる「ROOKIES」の主題歌が頭の中に流れる世代なのですが、今回は相当にしんどい状況にあるしんどい女性の役でして、見てるこっちも「しんどいよぉ」という気持ちになっちゃって、癒しのドラマ言うてたやんけ!とか、とりあえずACジャパンにでも訴えてやろうかしら?!という気持ちになりました。

いや、赤ちゃんは可愛いぜ?

そんで、にしぼしの三人も可愛かった。

だけど、育児と仕事どっち?みたいな地獄のどっちの料理ショーを強いられてる浅田さんの追い詰められたご様子には「深夜に、雨宿りのような一時を求めて」という気持ちにはそぐわない深刻さがあったように思います。

だってさ、語弊のある言い方をしちゃうけど、今回のお話ってあまりにも現実じゃないですか?

彼女みたいな人、沢山いるんだろうなって考えこんじゃう。

 

誰も頼れない。

手を抜けない。

目の前に降って湧いたチャンスにも飛び付けず、腕に抱え込んでる最愛である筈の存在を持て余して、追いつめられて。

 

私は芝居コンテンツ視聴の際には全く共感を欲しない人間だからというのもあるのですが、独身で子供のいない身としては何一つ、どれ一つ「分かる」なんて彼女に言ってあげられないんですよね。

彼女が直面してる苦しみ、ひいては彼女と同じ立場にある母親達の苦しみに寄り添える材料が私の中に一つもない。

それでもね? 少なくとも小林のバッキャロー!!! おめーはそこで歯を食いしばれー!!!という事だけは分かりました(右手をぐーにしながら)

神経ないの? どっかで抜いちゃった? そっか、だったら仕方がないね☆じゃ、ね・ぇ・ん・だ・よ!!!

「それを言っちゃあおしめぇよ」のド芯を捉えたストレート球ばっか投げやがって!

顔が森崎ウィンだから、顔加点でこの程度で済んでるけど、ほんとだったらもう、あれだぞ! ガスバーナーで炙るからな!(具体的な拷問方法の提示)

私、原作は第一話しか読んでないので今回の内容が原作に準じたものなのかどうかも分からんちんなのですが、この物語を作った人がにしぼし三人組に三者三様、それぞれのキャラクターに即した優しさの示し方をさせるつもりでいたとして、小林にあの場所で一番弱い立場の存在である赤ちゃんに寄り添った発言をさせる事が小林なりの優しさだと思ってんのなら、そもそも大間違いだかんな!とだけは言っておきます。

あの発言に追いつめられる人がいてはいけないと、とても思うので。

覚悟って未来の自分が瀕した呑み込み難い現実に対して、諦念を促す意味において他人が使っていい言葉ではないと思うんですよ。

命を『そこら辺の道端にでも捨てて来い』だなんて、浅田さんがあの言葉で子供を棄てるかもしれない可能性を考慮せずに言っていけないし、棄てた子供の人生まるごと面倒見る気がないなら言ってはいけないし、それこそ覚悟してんのか?って問い質したい位、小林のあの一連の台詞は全部が危うくて、間違ってた。

子供育てた事ないから、ここまでしか私は言えないのが悔しいんですけどね。

悔しいんですけど、もし私があのBARの客で、あの場に居合わせたなら「赤ちゃん可愛くて、ここまで生きてて、育って、あなたも無事で、よくここまで頑張りました! 百点満点中百兆点! 花丸! 自分で自分を褒められないなら、私が褒めちゃう! 赤ちゃんはここにいる間は私が抱っこの刑に処しますので、好きな事してよし! 話も聞くよ? そんで、これから自分がやりたい事を出来る時間を確保するために、どうしたらいいかも一緒に考えよう」って言うので、私が出来る事はそれだけなんですけど、本当にね。

何回も言うけど、小林の言ってる事は私は大間違いだと思ってるので。

大丈夫ですからね。 

誰も傷付いたりしてませんようにって、なんか勝手に私が右往左往してしまってます。

 

とはいえ! あの入れ込み方といい、小林は小林なりに自身の経験からフィードバックされた感情があったのかな?という気配もしましたし、中内の料理で一気に浅田さんの表情の角が取れて丸みを帯びるくだりも素敵でした。

食いしん坊なので、美味しいもの食べたらどれだけ怒ってても嬉しくなっちゃうの、凄い分かる~!ってなっちゃったよね~。

私は「欲しいものは全部手に入れるのだ!」みたいなストロングな女像を物語の結末としてご提示されると「蜷川実花作かよ! Followersかよ!!」とすぐに苦い顔をしちゃうし、見た事ないドラマの悪口とか性格悪いぞ!と、内省もするのですが今回の結末としては、二杯のカクテルの比喩の回収を含めて、これが一番綺麗なのかな?と大納得。

浅田さんがアルコール度数の高いカクテルを一気に飲み干す姿にカタルシスを覚えたので、いいぞ! いけいけ!という応援する気持ちも高まったのでした。

個人的には迎えに来た夫を「誰の子供だと思ってんだよ!」とか言いながら、彼女が女優業に復帰できる程度の育児の分担を了承するまでタコ殴りにして(ついでに小林にもニ、三発イイのを入れて)意気揚々と店を後にする姿が見たかったな~!というのが本音中の本音なのですが、それこそ雨宿りのようなドラマからかけ離れてしまうので、これから二人がちゃんと話し合って、お互いの荷物を分け合い、お互いに納得出来る結論を得られたらいいなって願ってます。

 

ラストはお店の棚も素敵になって、はしゃぐ中内と予算の少なさをやんわり指摘されて「悪かったな」ってふてくされる小林も可愛いし、何より白いタートルネックの雨宮、肌の方が白いんじゃね?って位に真っ白で綺麗で、こんなシーンでこんなに綺麗な必要ある?とか慄いてしまってたので、色々書き連ねましたが「私の推し、今週も目が沸騰する位に綺麗でした」という感想で締めますね!(結局)

雨宮が他人の望むままな振る舞いを行えても、自分の望むものが何かが全く分かってない、ほんわか空虚さんな風情も今回伺えて、あのキャラクターの成り立ちにも断然興味が湧いてきましたし、来週も楽しみにしたいです。

 

西荻窪 三ツ星洋酒堂 第一話 感想文

寛ちゃんの舞台「銀河鉄道の夜」を観に行った時に(言葉にすると陳腐になっちゃいそうな位、繊細なニュアンスを孕んだ美しい舞台でした。 映像で観る機会があったら、心から視聴をお薦めします)夜はホテルニューグランドに泊まりました。

ホテルニューグラウンドといえば、BARの名店シ―ガーディアン。

池波正太郎先生も通っていらしたとか言われると、ミーハーの星に生まれし戦士・私としては、是非カウンターにでも腰掛けて、ドライマティーニの一杯でも嗜んでみたいものなのですが、ホテルのBARって一杯のお酒がびっくりする位高いんですよね。

あと、ドライマティーニとか飲めん。

辛い味がするんでしょ?

無理。 砂糖をドバドバ入れてくれないと無理(そもそもBAR行くな)

その上なんだか敷居も高いし、BARとか若い頃に偶々某ワークショップを一緒に受講した15歳年上の大学助教授に連れていかれて、こちとらビタ一そんな素振りも見せていやぁしねぇのに「俺、君の気持には応えられない。 友達でいよう」と好きでもない相手からフられるという最悪な思い出しか残っていない為、その文字を頭に思い浮かべるだけで梅干しを食べた直後みたいな表情を浮かべてしまう、そんないけ好かねぇ場所。

咄嗟に「くそがっ!!」と寛太ちゃんお得意の罵り文句が口をついて出てしまう場所。

それが私にとってのBARだったりした訳です(そもそもBAR行くな)(230文字目ぶり、二度目の登板)

とはいえ、GOTOトラベルを利用したので私のお財布の中には数千円分の地域振興券が入っていて、横浜トリエンナーレで美術館巡りをした私の足は疲れ果てておりました。

疲労の余り、イイ感じに頭も回ってないし、今の私ならイけんじゃね?というヤったれ精神で、お店の中から聞こえてくる暖かな騒めきに吸い寄せられるみたいに入店を果たした私は、姿勢・仕草共に美しいボーイさんに窓際のライトアップされたホテルの庭が見える席に案内されて、そこで名店に勤めているバーテンダーの手捌きを眺める事が出来たのでした。

薄暗い店内と、まるで床へと潜っていくかのように低く響くジャズの音色。

私は、カウンターに身体ごと向けたまま口を開けて見入ってしまって。

手元に花が咲いているみたいに華やかな手捌き。

磨き上げられた銀色の器具を鮮やかに使いこなして、動作の全て何一つ乱れもしないまま巨峰のカクテルを作って下さったバーテンダーは美しいボーイにカクテルを託し、阿呆のような顔をして自分を凝視していた私に、美しく一礼して下さったのでした。

あんまりお酒が得意じゃないんですって事前に申し伝えていたので、多分殆どジュースみたいなその飲み物はお店の雰囲気と、先程眺めた素晴らしいパフォーマンス、横浜の夜景全部が混ざり合って、ちょっと夢見てるんじゃないかな?って位に美味しかった。

バーテンダーが、ジャズのBGMとセッションしてるみたいな低く優しい声で「いかがですか?」って問いかけてくれて、上擦った声で「おいしいです。 とても」って答えるしか出来なくて。

中年と称される年齢の癖に生まれも育ちも地方都市!な私にとっては縁のない世界が過ぎて「大人の世界だ」って舞い上がってしまった、その夜が私にとってのBARに対するイメージの全てになっています。

 

ま! え! お! き! 長いねっ!!!!

 

そんな訳で、BARのドラマやるよー!つって、推しの町田啓太がバーテンだよー!とかって、咄嗟に頭に浮かんだのが多分、超一級の部類に属するであろうバーテンさんの動作であった訳で、大丈夫?って密かにドキドキしていた事をお伝えしたいが故の前置きだった訳ですが、まぁ、ドラマだしねとか思ってて。

ある程度出来てたらえいやんとかはちゃんと私も理解してたんです。

段取り間違えずに、それっぽく出来たらいいねって考えてたけど、本人はプロ中のプロに教えて貰ってたせいもあるのか、実際に動画でも度々口にする位「中々、時間がなくて」「練習してるけど、緊張する」とか、もっともっと自信を持って披露できる位に修練したかったんだろうなぁと感じさせる事を、懸案事項として述べていたのでした。

真面目! そういうプロ意識、私大好き!

事前に頂戴していたビジュアルとかは、見た瞬間に「ははーん? バーテンの衣装とは町田啓太に着られる為にこの世に生まれたのだな」とか真理を得られていましたし、台詞もまさに『お気に召すまま』。

客に何も強いない、強要しない、ひたすらに優しいばかりの色合いをしていて。

あの佇まいで、そんな事を述べられたなら「私の人生を、狂わせてくれませんか?」とか重めのオーダーをしちゃって、店のオーナーのハリウッド仕込みのアクションで店の外に蹴り出される事間違いなしだった訳ですが、お町田さんの柔らかで丸みを帯びた包み込むような声音はバーテンダーにぴったりなんだなって知る事が出来たし、弱ってる時にあの声を聞いたなら、泣き出してしまいそうになる位、安心できるだろうなって私は感じてしまったのでした。

その後、カクテルを作ってる動画を拝見しまして、私シ―ガーディアンの手元に花が咲いてるみたいに華やかなカクテルを作る動作に見惚れたからこそ、お町田さん大丈夫かしら?とか要らぬ心配をしてしまった訳ですが、何もかも動作は折り目正しく美しく、大きな掌が蝶が舞うみたいに動き、シェイカーを危なげなく振る様子に息を呑みましたし、何より顔がね!!!

顔が花!! 大輪の花!!!

手元に花とか言うてね! そんなん要りもうさん!

あの人、顔が花だから!とか美しい人が美しい動きの全集中してる様に圧倒され、両手を合わせて拝みながら「冥土の土産が出来た」とお迎えが来てるのかな?みたいな声を、老婆の声で絞り出してしまっていたのでした。

 

かくして、期待だけを抱いて缶つまの塩ネギ牛タンを湯煎して「熱いよー! これ、どうやって開けたらいいんだよー!」と四苦八苦しながら開封し、甘いお酒と一緒に楽しみながら見た第一話。

オープニングかっこよすぎだし、お話も原作にいい塩梅にオリジナル要素を混在させていて、脚本をお書きになられている方がインモラルな作風を目指すからこそあえてモラルと名乗ってる等という、「お? どうした? 大丈夫か?」 と問い掛け不可避な、ちょっと心配になるような名付けの経緯をお持ちの脚本家さんだったので、どうにもドキドキしてたのですが、とても見易く、次回に興味を繋いでくれるような内容であった事が、兎に角嬉しかったです。

まぁね! こちっとら、いつでもインモラルな作風に進んでくれても構わんのだよ?

推しのインモラルとか、常に受け入れる準備万端だからな?

ていうか、推しのインモラルは常に口を開けて待っている、そういう私だからな??

ギルティではお町田さんが料理人役だった為に、奥さんの登場回までずっと「店の大きな冷凍庫に奥さんの死体入っててくれ!!」と祈り続けていた私だし、小林と雨宮二人で缶詰置き場の奥に恐ろしい秘密を隠していて、缶詰が徐々に消費されていくに従ってその秘密が中内の目の前に露わになっていくというような不穏な展開に至っても、それはそれで快哉をあげる民だからな?とは事前にお伝えしておきますね。

 

共演の森崎さんも、所謂従来の「BARのヤサグレオーナー」というイメージに寄り添うようでいて、その少し外れたラインに在る、不貞腐れた子供みたいなキャラクターを打ち出してくれていて、「あ、これは見た事ないやつだ」って私は心が浮き立つような心地を覚えました。

ぎゅうって興味を惹かれるような。

この小林と、雨宮の会話を沢山聞きたいぞって思わせる人物造形。

世を拗ねているようで、虚無主義にまでは至れていない、佇まいが羽根を広げた親鳥みたいな雨宮と絶妙なバランスで、ああこの男も雨宮の羽根の下で雨宿りをしている最中なんだなって悟らせてくれて、私はすぐに小林の事を好きになってしまったのでした。

それに中内役の藤原さんも、初回は彼の視点になって物語が展開されていくのですが、単純にまるでずっと、そういう人間であったかのように振舞う事がなんて巧い人なんだろう!って驚嘆したというか。

シェフ仕草が全部様になっていて、料理人時代の味のチェックをしている様子や、料理を出した後、客同士の間柄であった相手だというのに抗いきれずにシェフの顔をして軽く頭を下げてしまう所、美味しいの言葉に綻ぶように顔を緩ませるその自然に湧き上がる感情の発露のやり口とか、ずっとこの役について考えてきた人ならではの誠実さまで滲むような演じ方に好感を抱きましたし、森崎さんと藤原さんが推し一緒に出てるドラマをこれから毎週見られるだなんて、とても幸せな事だなって心から思えたのでした。

 

何より、主演という大役を任された推しがずっと綺麗で。

兎に角、言葉、仕草、心根、全部が綺麗で。

私の情緒の御心配は結構ですからね?と前置きしておいて告白すれば、学生時代の中内と雨宮のやり取りを見ていて私は泣いてしまって。

こういう子がいる世界が本当なら良いなって思ってしまったんですよね。

あんまり学生時代に、教室に居場所のない人間だったものだから。

雨宮にいて欲しかったなって思って泣いてしまって。

勿論、好きになっちゃってたと思うし、何も言えないまま終わってただろうし、でも雨宮と同じ教室で学生時代を過ごせたら、思い出全部がキラキラ輝いてくれただろうなって考えたら泣けてきちゃって。

 

いや、ほんとに私の情緒の御心配は結構ですからね?

 

お町田さんが優しく人に寄り添い、弱ってる人を雨宿りさせてくれる人柄を演じてくれる事自体がとても嬉しいし、ああいうBARがこの世にあってくれたらなって心から祈ってしまったのでした。

しかし、あの柔らかで飄々とした、誰よりも達観した佇まいとか素晴らしいよなぁ。

どういう仕組みで、あいいう風に演じれているんだろ?

お町田さんを何度か生で拝見する機会を得てますが、正直美の圧が凄すぎて接してる間は心臓絶対停まってますし、あの人と1分以上接したら死ぬ以外の結末は得られないって確信してるんですけど、本人は安らぎの対極にいるような美の化身であるにも関わらず、雨宮の役の時は「この人に話を聞いて貰いたい」「この人が作ったカクテルで安らぎを得たい」「笑顔で甘やかして欲しい」って願ってしまったのだもの。

今回のゲストの大友花恋さんとか、もう名前の通り「可憐なお花」みたいな可愛い方で、その幼げな容貌もあって、理不尽な目に遭い凹んでる様子に、うっかり「オッケー! そのクソジジイ共の始末、アタイに任せな!」みたいな、これまで一度たりとも口にした事のない一人称すら口にして殺し屋稼業に身を投じそうになってしまったのですが、そんな彼女が雨宮に解きほぐされていく様子は、視聴者でしかない私ですらほっとするような感慨を得られて、これから毎週こうして、お酒と缶詰をお供にして一息つける時間を頂けるのって、とってもいいなって来週を楽しみに思うのでした。

 

中内を仕事に誘う一連の流れもユーモアと余裕があって良かったなぁ。

まるで「そうするって決まってるでしょ?」みたいな柔らかな強引さ。

自分の羽根の下においでって優しく誘う風情が優美で、上品で、こんな風に勧誘されて突っぱねられる人いる?って中内を羨ましく思ったし、これから先、三人でお店を切り盛りしてく様子に期待しつつ、今回はこれにて!

来週もブログ書きますねとか、全然約束できないのですけど、まぁ、そこら辺はそれこそお気に召すままに。

もし、更新したらまた読んで貰えると、とても嬉しいです。

ここまでお付き合い下さいまして、ありがとうございました。

 

劇団にまつわる他人事の妄想(殺され編)

どうも、他人事です。
今は、クリスマスを過ぎた世界線にいる筈なので、これを読んで下さってるという事は、以前から劇団EXILE沼にお住まいか、引き続き沼にいて下さってる方か、どちらかなのだと思います。
ありがとうございます&引き続きよろしくお願いいたします。

では早速ですが、皆さんがお待ちかねな『メンバー別・あなたの殺され方』の話を始めますね!
 
あ、説明要る?
要りますか?
まぁ、確かに? 皆さん側に立って考えてみると、些か不親切が過ぎるかなと思うので、手短に済ませると、CLの前身であるLDH TVの企画において(多分『TRIBE CALL』だと思う)ファンからの要望聞くよ!のコーナーで「夢系の企画をやって欲しい」って要望を劇団ちゃん達が受けてたんですね。
夢系って言葉、どこまで認知のある言葉なのか私は理解できてないのですが、劇団ちゃん達に至ってはどういうのが夢系なのかさっぱり分からんちんだったようで、みんなして「?」ってなって、その要望は受け流されてしまってたんですよね。
今でこそ、LDH製夢系コンテンツとしてプリレジェ&プリロワがございますが(そして、書きながら、その二つって正しく夢系扱いでいいのかしら? 特にプリレジェとか思いつつ)私としても、全くタイプの違う9人のグッドルッキングガイが取り揃えられているし、全員役者だし、これは夢系コンテンツ向なグループなのでは?と気付きを得たので、彼らに殺されるならどういうシチュがいいのか夢系妄想文章を9人分書いてみる事にしました。
これでもう大丈夫ですね?
論拠はしっかりご確認いただけましたね?
尚、夢系なのに何故殺され妄想かについては、私にとって夢系の究極だからです。
最早「夢系だから」殺され妄想だと断言してもいい。
この時点で宇宙猫顔になる人は、そっとバックスペースキーを連打される事をお勧めします。
正直、自分でもちょっと何書いてるか分からないのは確かなので、私だったら物凄い勢いでバックスペースキー叩いちゃうね!と自分の気持ちをお伝えつつ、ついてこれる人だけを本題にご案内してメンバー別・年齢順に書いていきます。
物凄い長いので、推しメンだけ読む!とか全然ありだと思うのですが、鈴町はセットで読んで下さい(鈴町コンビ業火担の圧)
 
秋山真太郎
あなたは貧しい村に生まれました。
ある飢饉の年。 大祭にて村の守り神である狐様(秋真さん)の生贄に捧げられることになりました。
満月の夜。 森の中の狐様の祠に白装束で連れてこられたあなたは、心細さとこれから自分を見舞う恐ろしい運命に震えています。
やがて、お月様が夜空の頂点に差し掛かるころ、祠の中から現れたのは世にも美しい九尾の狐様でした。
一目で心を奪われるあなた。 いつしか震えも止まり、お狐様は冷たい貌のままあなたの首に手をかけます。
満月の光が祠の中を照らし、夥しい数のこれまでの生贄達と思わしき白骨が浮かび上がりますが、あなたはもう怖くありません。
「最期に望みはあるか?」
狐様の慈悲にあなたは夢見心地で答えました。
笑って欲しいと。
狐様は少し驚いて「変わった子だ」と呟きました。
そして、あなたが今生最期に目にしたものは狐様の月のような笑顔になったのでした。
※大丈夫ですか? 今回、このように様子がおかしい文章が続きますよ?
秋真さんの事、狐様とか言い出しても怯まず、まだ読み進めてる時点で、相当なアタオカ仲間だ!と認定して話進めますけど(大失礼)、言い訳させて貰うと秋真さんが狐なのは劇団公式ですし(リプロ参照)、秋真さんには常々人ならざる者を演じて欲しいと願っていたので、こういう殺され方が理想になるのが自然の摂理ですよね?(狂人の顔)
人間の如き有象無象の命なぞ、奪って糧にしたところで記憶の片隅にも留めぬ秋真さんが私の理想なのですが、ハピエン厨でもあるので『私』を喰い殺した後に気まぐれで『私』を生贄に捧げた村に特別な繁栄をもたらしてくれたらスペシャルハッピーエンドだな!とか思ってます(ハピエンとは?)

・青柳翔
あなたは帝国の軍人です。
為政者による圧政が国民を苦しめているディストピアな世界。
今宵も宴会の余興として、悪逆非道な将軍による捕虜達の生き残りゲームが催されています。
今回の目玉は、先日の市街戦でようやく捕縛出来た、長きに渡り帝国への反乱を繰り返してきたレジスタンス同士の殺し合い。
最後まで生き残った者は褒美として自由の身となれる事を約束されています。
貴族達は誰が最後まで生き残るかで賭けを行い、何度も煮え湯を飲まされてきた同僚達はいい酒の肴になると大盛り上がりですが血筋故に軍属の身となってはいるが帝国のやり方に不満を抱いているあなたの心は沈むばかりです。
加えて、賭けにおいて一番人気のレジスタンスのリーダー青柳とあなたの間には因縁がありました。
『不死』の二つ名で恐れられ、レジスタンスにおいて熱狂的な支持を受ける青柳に憧憬の念を抱いていたあなたは、以前捕らえられ処刑寸前だった彼を密かに逃がした事があるのです。
檻の中でめいめい剣を持たされ、命を預け合った仲間達との相対を強いられるレジスタンス達。
光をなくした目で、剣を握りしめたままだらりと両手を下げ、微動だにしない青柳の姿を見てあなたは「『不死』の命運もここまでか」と肩を落とす一方で、狂おしい程に「例え全てを殺し尽くしてでも、彼だけには生き残って欲しい」と死体の山の上に立つ彼の姿を熱望しました。
まるであなたの望みに呼応したかのように、次の瞬間、青柳を除くレジスタンス達は顔を見合わせ、頷き合い、まるで示し合わせたかのように一斉に自らの喉を切り裂きます。
一斉に崩れ落ちる仲間達の姿を目の当たりにして、呆然と立ち尽くす青柳と、殺し合いが見たかったのにと落胆する貴族達。
約束通りの自由を得て檻の中から引きずられるように出された青柳は煌びやかな宴会場を見回し、俯いて笑い声とも泣き言も区別のつかぬ声を漏らしながら肩を揺らし、それから突如、獣のような咆哮をあげ、手にしたままの剣で間近にいた軍人を刺し貫いたのを合図に、一人対多数であるにも関わらず虐殺としか言いようのない殺戮を始めたのでした。
軍人も多く宴会場にいたとはいえ、碌な装備もなく酒も入っている連中はあっという間に切り伏せられ、重たい装飾品を身に着けた貴族達も逃げ惑いながら吸い込まれるように青柳の剣の錆となっていきます。
護衛の兵が会場に雪崩れ込んできますが、青柳の勢いは止まらず、宴会場に敷き詰められた、将軍御自慢の敗戦国の宝物庫から奪ってきた刺繍の絨毯が真っ赤に染まる頃、いよいよあなたに狙いを定め青柳が斬りかかってきます。
あなたは先ほど自分が望んだ死体の山の上に立つ青柳の光景において、自分自身もまた彼が作り出す死体の山の一体に過ぎないのだという事を悟り、罪を償うような気持ちで青柳の一太刀を抗う事無く受け止めました。
倒れ伏すあなたを一瞥し、そして初めてあなたが自分の命の恩人である事に気付く青柳。
慌ててあなたを助け起こしますが、もう手遅れです。
青柳が先ほどまでの獣のような様相からすると信じられない程に幼い、戸惑ったような、迷子の子供のような表情を浮かべました。
あなたは、そんな青柳に笑ってしまって息も絶え絶えに「いきなさい」とだけ伝えます。
青柳は唇を震わせ、黒い小さな星が二つ飾られている方の目から一粒涙を転がり落として微かに頷くと、あなたを残し振り返りもせずまた、殺戮の場へと身を躍らせるのでした。
どうした?(自分に向かって) 
ご覧頂きましたが如く、様子のおかしさを隠せない程に世界観を作りこんでしまいました。
楽しかったー!!(両手万歳ポーズで)
もうね! 悪霊に取りつかれたとしか思えないです(そもそも、この企画自体悪霊に取りつかれでもしないと思いつかない類のものですね)
この直後、各地でタイミングを伺っていた反乱軍が一斉蜂起して城に攻め込み九死に一生を得る青柳さんですが、もう少し時間稼ぎをしていれば仲間は自決せずに済んだ現実に絶望の底まで叩き落される展開まで考えていたのですが、私は青柳さんをなんだと思っているのでしょうね?
望んでいないのに自分の手に余る重い荷物を持たされて、生きる事を強要される青柳さんが性癖な余りにこんな事になってしまったとしか思えないので、多分私は悪くないのです。
 
あなたは常連客で賑わう、知る人ぞ知る絶品洋食店のアルバイトです。
店主(小澤)の作る料理はどれも美味しくて、特にじっくり煮込んだデミグラスソースから作られるハヤシライスの味に惚れ込んだ料理人志望のあなたは募集してないにも関わらず頼み込んで働かせて貰ってます。
店主は豪快な人柄に見えますがとても優しくて、賄いも以前にあなたが好きだといった料理を覚えてくれていて特別に作ってくれたり、「家で食べな」と言って余った食材を持たせてくれたりします。
かっこよくて、優しくて、こんなにいい雇い主は他にはいないと思うのに常連客は皆口を揃えて「あんたは長く働いてやってくれよ」とあなたに言います。
理由を聞けば、ここで働くアルバイトは皆長続きせず、挨拶もせずに姿を消すというではないですか。
憤慨するあなたに店主は肩を竦め「みんなもっとおしゃれな店で働きたいんだよ」と言いますが、あなたからするとこの食堂で出す料理、特にデミグラスソースを使った料理は、どんな三ツ星レストランでも味わえないものだと確信していて、店主にはもっと自信を持って欲しいと強く願うのでした。
そんなある日の店じまい後、店主が深刻な顔をして、もうデミグラスソースを作るのはやめにすると言い出します。
驚いて理由を問いただせば材料が手に入らないから作れないというではないですか。
あなたは、自分に出来る事なら何でもするし、材料だって何とかして手に入れてみせるから、デミグラスソースを作り続けて欲しいと懇願します。
すると店主は、その濃い睫毛に囲まれた真っ黒な目で、じっとあなたの目を覗き込み「なんでも?」と問い返すのでした。
店主曰く「今まで何度だってやめようとした」らしいのです。
でもその度に『材料』が現れた。
だから、やめられなかった。
引導を渡してくれるなら、是非あなたにお願いしたいと言いながら店主がカギ付きの大型冷凍庫の扉を開けると、そこには凍り付いた腕が一本。
取りつけられてるネームタグ書かれた名前は、きっとあなたの前に勤めていたアルバイトのものなのでしょう。
「これで最後。 食べたいなら、一緒に食べよう」
店主がそう申し出るのに酷く驚きますが、あれほど美味しいデミグラスソース。
きっと特別な材料を使ってるに違いないと思っていたあなたは、なんだか納得してしまって店主の言葉に頷くとその代わりに、その賄いを自分の最後の晩餐にさせて欲しいと願い出ます。
他のアルバイトに負けてなんていられないと思ったのです。
店主は「これで終われると思ったのに」と深いため息をつくと、冷凍庫から腕を取り出し、あなたはそんな店主を眺めつつ、他の誰を材料にしたソースよりも自分のソースが美味しければいいのにと願うのでした。
※そもそも、この一連の妄想文は『こういう役をやって欲しい』と『こういう役の推しにこういう風に殺されたい』の歪んだハイブリットなのですが(歪んでる自覚はあるよ!)、おざさんに食材として取り扱われるのって究極の夢じゃない? これ以上ある?とすぐに思い詰められた妄想です。 
食べられるエンドってオーソドックスと言うか、王道ネタだと思うのでおざさんで書けてよかったなと思いつつ、食べられるエンドが王道な世界isどこよ?とちゃんと冷静な私もいるので、安心してくださいね?(何を?)
おざさんなら、『私』の事を丁寧に筋切りしたり、アク抜きをしたり、骨の髄まで無駄にしないように使ってくれるんだろうなぁと考えると自然と笑顔になっちゃいますね!(同意を求めるな)

・SWAY
あなたは、ゾンビに噛まれました。
世界中がゾンビウィルスに侵された世界で、SWAYと二人で頑張って逃げ回ってきたけど、もう限界のようです。
夕日が照らす真っ赤な世界を、SWAYがどこかから見つけてきてくれたオープンカーに乗って、大音量でHIPHOPを流しながら流星みたいに駆け抜けます。
「どこ行きたい?」
金色の鎖のネックレスに派手なシャツ。
どんな状況でも身に着けるものにこだわりをもって、あなたの分まで「気分がアがるから」なんて似合うものを調達してきてくれたファッションモンスター。
にっと笑うむき出しの歯には金のグリルが嵌まっていて、初めて会った時には随分怖く感じたけど、今ではその笑顔に安心感を覚えます。
ゾンビの世界になる前には、一度だって腕を通したことのない類の高価なブランドを着て、ド派手なオープンカーに乗って高速をぶっ飛ばしている。
SWAYとだから、終末を痛快に生きられた。
ごめんね、人類とあなたは詫びます。
終わり行く世界で、SWAYと幸せだったから。
SWAYは黄昏の世界でも、きっとこのまま派手にオシャレに生き抜くのだろう。
隣でずっと見届けたかったと残念に思いつつ、あなたはありきたりだけどと前置きして海を見たいと伝えました。
SWAYが「おっけー!任しといて!」と元気よく答え連れてきてくれた静かな海。
ゾンビ達も見かけなくって、静かな最期を迎えられそうです。
夕日が沈んでいく海を眺め、意識の混濁を感じながら潮時である事をSWAYに伝えるあなた。
オープンカーの後部座席に積んであるマシンガン達は軒並み弾切れで、使い物にはならないけれど、SWAYの履いてるジーンズの後ろポケットに入っているピストルにはまだ、銃弾が残ってる事をあなたは知っています。
完全にゾンビになっちゃった姿なんて、SWAYに見られたくないから、もういいよって笑って告げるのに、こんな時だけSWAYは笑ってくれなくて。
寂しそうに「俺も、ゾンビになっちゃおうかなぁ」なんて言うもんだから、ゾンビになったSWAYなんてダサくて見てらんないよとあなたは突き放すのでした。
「そっか。そうだね」と頷いて、ピストルの銃口をあなたの額に押し付けるSWAY。
夕日が沈みます。 あなたがあなたでいられる時間はもう残り僅かです。
おねがいと言って目を閉じるあなたに、「バイバイ。 次に会う時は…」とまで言って、続きを言うより早くSWASは引き金を引いてしまったので、あなたはSWAYが最後にくれた言葉を聞かず仕舞いで終わるのでした。
※殺され妄想も四人目となれば、世界だって道連れに終わるものです(断言)
終末世界を推しと生き残りたい妄想って誰もが一度はしてると思うんですけど(?)、劇団ちゃんの中で考えるならSWAY一択だよねっていう私の気持ちの全てです。
ゾンビの世界をSWAYと生きるとか、最早楽しそうしか思い浮かばなくないですか?
 
八木将康
あなたは盗賊です。
貧しい出自の為、生きる為に仕方なく盗みを働いてきました。
幼馴染の将康と身を寄せ合うようにして生きていましたが、ある日、商家の蔵に盗みに入ってしくじったあなたは捕り方に追われる事になってしまいました。
絵図面が出回ってしまい、町にいられなくなったあなたを匿うまさやす。
だが、ひょんなことから隠れ家がバレた二人は一目散に山へと逃げ込みます。
折しも季節は春。
満開の桜が咲き誇る中、大規模な山狩りに追い詰められて足にケガを負ったあなたをまさやすが背負い、奥へ奥へと逃げ込んでいきます。
いよいよどうにもならないとなった時、覚悟を決めたあなたはまさやすに自分の首を差し出せと提案します。
まさやすの顔は知られてないのだから、ずっと人質にされていたと言えばいい。
盗賊を打ち取ったとなれば褒美も貰えるだろう。
捕まっても、どうせ処刑されてしまうのだから、まさやすの為に死にたいと言うあなたに大声をあげて泣くまさやす。
この声で見つかりゃしないかしら?とハラハラするも、そんな事は出来ないというまさやすに頼むからと言い聞かせ、手に刀を持たせると、あなたが一人で生きていく為の心得を伝えようとした時でした。
まさやすは、泣きながらそれでも随分と正確にあなたの急所を突き、あなたは別れの挨拶もなしに刺すなんて…と、呆れながらひっくり返ります。
視界一杯に広がる桜と、まさやすの泣き顔。
涙をぬぐったまさやすが立ち上がり、あなたの首を落とすべく刀を振り上げるのをなんだかホッとしながら見上げ、「元気でね」とあなたは見送るのでした。
坂口安吾ですけど何か?(開き直り)
まさやすは絶対に似合うんですよ~! 約束する! 今、もう約束してもいい!
桜の森の満開の下の盗賊とか、耳男とか演ってくれんかのうと望むあまりの狼藉です。
あんなに身体が大きくて、なんでもできる人なのに、どうにもまさやすに殺されシチュってなんだろう?って考えると「守って殺されたいなぁ」と思う私がいて、庇護欲ってどこから湧いてくるのか、何に対して湧くのか分からんもんだなぁってまさやすを見る度に思うのです。
 
・町田啓太
あなたは水族館にいます。
大金を支払ってVIP会員になったからこそ、案内される秘密の地下展示室。
各所に点在する水槽の中には、それぞれ見た事のない生き物が泳いでいました。
中には人魚なんて代物までいて、薄暗い展示室の雰囲気も相まって、夢を見ているような気分。
あなたと同じように大金を支払い、この展示室に招待された客達のさんざめくような密やかな声がそこらかしこから聞こえる中、あなたは一つの水槽の前から動けなくなっていました。
発光してるみたいに白い肌はところどころに滑るように銀色に光る鱗が煌めいて、今自分が何処にいるかなんてちっとも分かってないみたいに瞬く度に、蝶が羽ばたいているかのように長い睫毛が上下します。
信じられない位に整った顔立ちをした彼(町田)は、世間では大っぴらには展示できない飼育生物の中でも一際綺麗で、一際特別にあなたの目に映りました。
色とりどりの珊瑚や水晶で飾られ、水中花が咲き乱れる広い水槽の中で、少し心細げに漂う彼に口を開いてあなたが見入っていると館長がそっと近づいてきて「素晴らしいでしょう?」と聞いてきました。
すっかり魅入られてしまったあなたは頷いて、多少お金を自由に使える事もあり何とか引き取れないか聞きますが、館長は首を振り「彼は此処でしか飼育できないのです」と意味ありげに答えます。
分厚い強化ガラスの向こう側、水槽を満たす水も館長曰く特別な培養液だそうで「彼をこの環境に置いておかなければ生きられないのです」と、持って回った言い方をしました。
館長がスタッフに呼ばれ、水槽の前から去っても身動きできないままでいると、彼は少し辺りを見回して、それからあなたの顔を覗き込むような仕草を見せるとひらひらと手招きしてみせました。
あなたが吸い寄せられるように水槽に近づけば、にこりと優し気に笑って額を水槽にくっつけてきます。
誘うような眼差しに、あなたも思わず額を彼の額に硝子越しに合わせればヒヤリとした感触に身を竦めるあなたに「よくできました」という風に頷いて、彼は「ここから出してくれませんか?」と囁きました。
頭の中に直接響いてくる声。
彼の言葉が分かる事に驚くあなたに「誰にも話しかけた事はないのです。これが初めて。うまく出来てよかった」と安心したように笑みを深めると「お願いします。ここから出して下さい」と眉を下げて懇願してきます。
あなたは困惑して、この水槽の中じゃないと生きられないと館長が言っていた事を伝えるのですが、彼は目を見開いてそれから首を振り心配には及ばない事。自分は陸でも生きていける事。もし出してくれたなら、その恩に見合ったお礼は絶対にするという事を朴訥とした調子で訴えてきました。
すでに彼に夢中になってるあなたは、何とか願いを叶えてあげたくて、どうしたらいいのか尋ねます。
彼は嬉しに気に指を鳴らすと(勿論水中なので音などしないのですが)、左掌を水槽に這わせ、あなたに掌を重ねてくれるよう求めました。
水槽越しに手を合わせると力を込めて押しながら心から彼をこの水槽から解放したいと願って欲しいと請うてきます。
言われた通りに心から彼の自由を願えば、彼は目尻を下げ慈愛に満ちた笑みを浮かべて「その調子」とあなたを励ましてきました。
あなたは、この後どうなるかなんて一つも想像しないまま、彼が求めるままに願い続けます。
掌を当てている部分が熱く熱を持ち始め、ミシミシっと不穏な音が聞こえてきました。
彼いよいよ幸せそうに楽し気に笑っていて、声すら堪え切れないみたいにあげて、肩を震わせていて、それであなたはふと気付きました。
館長は「彼『を』この環境に置いておかなければ生きられないのです」と言っていた。
彼『は』ではなく?
じゃあ、彼がこの水槽から出たら誰が生きられなくなるというのか?
不安を感じて、掌を水槽から引きはがそうとしますが、まるで接着剤でくっつけられたみたいにあなたの掌は離れません。
掌に水槽にヒビが入る感触が伝わってきました。
分厚い硝子の向こう側から培養液が溢れ出します。
ヒビは水槽全体に広がり、もう取り返しがつかない事は誰の目にも明らかでした。轟音を立てて水槽が崩壊しました。
大量の培養液に押し流されそうになるあなたの手首を掴んで引き止めてくれた彼が鼓膜に直接届く声で笑い続けます。
悲鳴をあげて逃げ惑う人々。
館長が頭を抱えてうずくまっているのが目の端に映ります。
「約束通り、お礼をさしあげます」
彼はキラキラと輝くような笑みのまま言いました。
「おめでとうございます。あなたは俺の最初の犠牲者です」
そっと彼が大きな両手であなたの頬を包むように挟みました。
「ありがとう。さようなら」
彼が言い終わるや否や、あっという間に、あなたの命は彼に狩り獲られてしまったのでした。
最推しには、テッペン目指して突き進んで欲しい。
この気持ちはファンとして誰もが同意下さるものだと思ってます。
テッペンを目指すなら、天井など設けないで欲しい。
この気持ちだって、正常の範囲でしょう?
だから、最推しに殺されるのなら人類の脅威位のデカい男であって欲しい。
そして、その最初の犠牲者になりたいという私の願いとて正気の範囲内と見做していいと思うんです!(力説)
オッケー、オッケー、論旨がしっかりとしてるな!
誰も、グウの音も出ないだろう!
あとは単純に私がお町田さん『美術館に所蔵されろ』と言われがちだけど、「水族館の水槽で展示される方が私の性癖に合います」というお気持ち表明をしたかった事も書き添えておきますね。

鈴木伸之
あなたは吸血鬼です。
永い間人の生き血を得る事で生き永らえてきました。
今宵の晩餐には、滅多にみないような美形を攫ってくる事が出来てあなたはご機嫌です。
早速ご馳走を戴こうとした時でした。
意識を失っていた筈の獲物がパチリと目を開けると、ニカッと笑って懐から取り出した銃をあなたに突きつけます。
その銃身に彫り込まれた十字架の意匠を見て、あなたは悲鳴をあげました。
教会所属の悪魔狩り専門神父(鈴木)。
獲物が天敵である事に気付いたあなたは、慌てて逃げようとしますが神父は焦る事なくあなたの肩を銀の銃弾で撃ち抜きました。
立ち上がり、床に倒れるあなたを長身から見下ろす神父。
片手で銃の反動を完全に抑え込み狙い過たず的を撃ち抜く、尋常ならざる筋力と腕前に自分が敵う相手ではない事を悟るあなた。
覚悟を決めて目を閉じるあなたを神父は突然抱え起こすと、丁寧に椅子に座らせて、自分の腕を目の前に突き出してきました。
「ごめんな。俺にしてやれることは、この位しかない」
戸惑うあなたに神父は言います。
自分は出来れば、悪魔と呼ばれるような人ならざる者達と共存していきたいと考えている事。
だけど、吸血鬼が生きる為には人間の血が必要不可欠である以上、共に生きる事はどうしたって無理である事。
生存活動は生きとし生ける者に与えられている当然の権利だが、人間の立場に在る以上、人間を守るためにあなたを狩らざるを得ない事を、申し訳なく思っていること。
せめて最期の晩餐に美味しい血でお腹一杯になって幸せな思い出にしてほしいと考えている事。
その内容は凄腕の悪魔狩りとは思えないほどバカバカしくて、夢見がちで、傲慢ですらあるものでしたが、神父の表情は至って真剣であなたは言葉を失います。
目の前に突きつけられた腕には沢山の穴が空いていて、きっと同じように腕を突き付けられた吸血鬼達が神父の血を最後の食事にしたのだと知ると、愉快にすら思えてくるのでした。
「俺は特異体質で吸血鬼化はしないし、見た目通り丈夫なんだ。ほら、遠慮すんな」
無邪気に勧められ、そういう事ならと神父の腕に噛みつくあなた。
何しろ随分長い間生き続けてきたものですから、生きる事に飽きを覚えていたのも確かですし、最期にこれほど変わり者の悪魔狩りに仕留められる事になるなんて上々の終わり方だと満足感すら覚えます。
自分で言うだけあって、若く健康で美しい神父の血は美味しくて、夢中になって飲むあなたの様子を赤ん坊を見るかのような目で眺めていた神父は、そんなあなたの頭を優しく撫で続けてくれました。
「もういいのか?」
満腹になって唇を離したあなたに神父は問いかけます。
常人なら意識を保っていることなど不可能な位大量の血を吸ったというのに、全く平気な様子で神父は「痛くないようにするからな」と約束すると銃口をあなたの額に押し当て引き金に指を掛けました。
天国の門は、全ての者に開かれる」
安心させようというのか、言い聞かせるように告げる神父に皮肉一杯に吸血鬼にも?と聞けば「俺が頼んでおいてやる」なんていい加減に請け負った神父。
うそつき
笑ってそう告げるあなたにニカッと笑い返して、神父は引き金を引くのでした。
推しが人外妄想があるのなら、『私』が人外パターンもあるからな!
油断するなよ!(?)
殺され妄想において、聖職者はマストオブマスト!というのは説明不要だと思うので、有識者(?)の方々の中では、神父はいつ出るのかな?と待ちかねていた人もいるでしょうが、今でした~! お待たせです!
のぶが常々「ヒーロー物やりたい」と訴えている事と、共感能力の低いサイコパス味がある役を演じがちな現実が合わさって、こういう具合になりました。
正義の味方って、常々他者に寄り添わない優しさを持ってる事が必須条件だと思ってるので(そして寄り添わない優しさっていうのは、世の中には必要だとも思ってます)普段から面倒見の良いのぶに殺されるなら、最期にめいいっぱいあさっての方向で優しくされたいなとか夢見た結果です。
あと、みなさんがお察しの通り、この悪魔狩り神父のぶが前述の人類の脅威であるお町田さんの討伐に向かうのが、この物語の本編となっております。(?)
よろしくお願いします(??)
 
小野塚勇人
あなたは入院しています。
病状は重く、回復の見込みはありません。
余命宣告も受けており、静かに最期を待つあなたの傍らに、ある時から一人の青年(小野塚)が立つようになりました。
病室に誰もいないタイミングで、音もなく現れるので、この人は自分にしか見えない存在なのだろうとあなたはすぐに気付くのでした。
綺麗な顔をしているので天使なのかと問いかければ、顔を顰め、着崩した黒いスーツ姿の自分を親指で指すと「んなダサいのじゃないって。この格好見て分からない?死神だよ、死神」とぶっきらぼうに自己紹介する死神。
そして、死神は見舞客用のパイプ椅子に勝手に腰を下ろすと「ところでさ、スマホは持ってるよな? 暇だから対戦ゲームしねぇ?」なんてあっけらかんと持ち掛けてくるのでした。
それから死神はしょっちゅうあなたを訪ねてくるようになりました。
「暇つぶし」と言いながら、外の様子を教えてくれたり、花を一輪摘んできてくれたり、二人でダウンロードしたゲームに夢中になって時には大きな声まで出て、病室を覗きに来た看護師さんから隠れる為に死神が慌ててベッドの下に潜り込み、あなたが独り言を言ってた事にして大慌てで胡麻化した後に、ベッドの下から顔を覗かせた死神と顔を見合わせ笑い合ったり。
おかげで殺風景だった病室での日々が色づいて見えるようになってきた頃、あなたの病状が一気に重くなりました。
病院食が喉を通らなくなり、ゲームの相手も出来なくなって、死神は腕も上がらなくなってしまったあなたの掌を温めるみたいに黙って握ってくれるばかりになりました。
死神のくせに暖かな掌にあなたは、この死神に連れて行かれるのなら行き先が何処だって構わないと心から思いました。
病院近くの広場で花火大会が行われた、ある夏の夜。
病室の窓の向こう側一杯に広がって咲く花火の鮮やかな色した影がリノウム貼りの床に落ちていて、あなたはうつらうつらと揺らぐ意識の中で、こんなに綺麗な夜は二度とないって思えたので、今までありがとうって死神に伝えました。
死神は、その夜は冗談みたいに大きな鎌を背負っていて、まるで死神みたいって掠れた声でからかえば「だから、死神なんだって」と口を尖らせ、そして一際大きな花火が上がると轟音に紛れさせるみたいに「俺こそ、ありがとう」って呟きました。
それから、鎌をあなたに向かって振り上げて泣いてるみたいな笑顔で「迷子にならないように、ちゃんと案内してやるよ」と告げると、天使みたいな死神にあなたは夏の夜空の向こう側へ連れて行かれる事になったのでした。
※おのちゃに殺されシチュ、殺人鬼or死神という、贅沢な二択の狭間で悩んだ私の話聞いてくれます?
あ、返事聞かずに書いちゃうんですけど、おのちゃに殺されるなら?って考えだすと、もう無限に夢が広がりまして!
その無限の夢を、絞って、絞って、リモートシブザイルで見せた、埋める直前に「さよなら」って告げる芝居が良すぎて、殺人鬼エンドと今回のシチュとどちらにするか書き出す直前まで悩んで悩んで、優しい死神のおのちゃに引導渡して欲しすぎてこっちにしました。
妄想する以上、欲望には忠実に死ぬ!(強い覚悟)
うん、聞いてくれます?とか前置きしましたけど、びっくりする位大した話じゃなかった。
反省します!
のぶに寄り添わない優しさが似合うなら、おのちゃは観察眼の鋭さや、役の解釈が巧いところを鑑みても寄り添う優しさが似合う人だと思っていて、こういう死神演じて欲しいし、おのちゃな死神に連れてかれるのマジで夢だな、秒で成仏不可避だなと思ってます。
 
佐藤寛太
あなたは旅行者です。
数奇な運命の導きにより、思わぬ大金を手に入れたあなたは仕事をやめて、世界中を旅していました。
今、あなたは中国の蘇州にいます。
東洋のベネチアと称されるだけあって、水路が至る所に張り巡らされ、舟が移動手段として活用されている風景は初めて見るのに何故だか郷愁を覚え、借りた屋形船の船頭が漕ぐスピードに合わせて、格子が嵌まった丸窓から徐々に移り変わる景色に心を奪われていると、目の前に花のように香るお茶が注がれた器が差し出されました。
「熱いから気を付けて」
目を向ければ、寛太が微笑みながら「僕が淹れたんだよ? 冷めないうちに飲んでよね」と促してきます。
生意気な口調が可愛くて、言われるままにお茶を口に含めば薬草じみた味わいに顔をしかめるあなたにケラケラと明るい笑い声をあげ「身体にいいから我慢して」と言いました。
寛太は、上海で観た京劇の舞台で女形をしていた青年です。
艶やかな流し目と、揚羽蝶のように舞う姿に一目惚れし、興行主に頼み込んで紹介して貰った寛太は舞っている時の蠱惑的な印象とはガラリと変わって無邪気で屈託のない性格をしていました。
食事を共にしている時も、物怖じなく食べたいものを指差し、街を歩けば遠慮のない様子でショーウィンドウに飾られている欲しい物をねだってきます。
可愛い余りに言われるがまま、欲しいがるだけ与えてあげていたあなたに懐いてくれた寛太はあっけらかんとした調子で「僕、こんなに優しくされたの初めて」なんて嬉しい事を言ってくれたのでした。
聞けば幼いころに天涯孤独の身の上になってからは、各地を転々とし、役者になってからも言い尽くせぬような苦労を重ねてきたと明かします。
「今のお仕事だって、いつまで続けられるか分からないし。僕、あなたと過ごした毎日の事、一生の宝物にするね」と健気な事を言われ、呆気なく絆されたあなたはこれからは自分の為だけに舞って欲しいと申し出て、寛太の家族になる事を決めたのでした。
様々な手続きを上海で済ませ、次は二人で何処に行こうか?なんて考えながら過ごす蘇州での日々。
寛太の奔放な言動に振り回されながらも、毎日が楽しくて、こんな日々がずっと続くことに幸せを覚えながら寛太に、どこか行きたい場所はあるか尋ねようとした時でした。
突然、手足が痺れ、ひどい眩暈に襲われました。
たまらず床に倒れれば、舟先で水路に指先を落とし水面にすぐに消えてしまう軌跡を残しながら水の感触を楽しんでいた寛太がこちらを眺めてきます。
助けを求めて手を伸ばせば、寛太は花が咲くみたいに笑って「やっと効いてきた」と言いました。
もう、それだけであなたは充分理解できました。
さっき飲んだお茶には毒が仕込まれていて、この舟を手配してくれたのは寛太なので船頭もきっとグルなのでしょう。
既に書類の手続きは済んで、寛太とは家族である事が公的に認められています。
あなたの財産の大半を、寛太が引き継ぐことになる。
ああ、自分は「用済み」になったのだ。
すんなりと理解出来て、床にパタリと掌を落とせば「ごめんね」と小首を傾げて両手を合わせ、それから不意に掌を閃かせ、あなたを一目で惚れ込ませた舞をひとさし舞ってくれると「これはあなたの為だけの舞い。 約束は守るよ。 他の誰の為にも踊らない」と施しを与えるみたいに告げました。
あなたの意識はもう殆どありません。
蘇州夜曲の鼻歌を調子外れに奏でつつ、寛太があなたに近付いてきます。
舞はあんなに上手なのに…と思いつつ、寛太が歌い終わるのを待たずして、あなたはこの世に別れを告げたのでした。
※これこそ、完璧に夢系妄想だなと自画自賛させて下さい。
オタク、タニマチ気質持ち割合多目だと思うんですが(主語クソデカ前提)唸るような金を手に入れて、放蕩三昧に過ごした挙句、魔性の美青年に貢ぎ、最期に全て奪われて殺されるとか、私の理想の全部だし、寛太ちゃんはそういう手合いの役似合うよね~!と確信をもっております。
寛太ちゃんに全部吸い上げられたい!
土地の権利書とか差し出して、つまらなそうに受け取られたい!
ていうか、マジでそういう役やってくれ!
金持ちマダムとか、じじいを掌の上で転がしてくれ!と業の深い願いを星に捧げてしまっております。
 
 長くなった(絶望)
途中から、エドワードゴ―リーのギャシュリークラム のちびっ子たちを読んでるようなノリで見逃して貰えないだろうかって祈り始めてたんですけど、見逃して貰わなならんような記事そもそも書くな!と自分で自分を叱っておいたので許して下さい。
大体、夢系コンテンツはプリレジェ関連以外はアンジェリークしか知らない人間なのに、どうして夢系と言い張ってこんな正気の沙汰にないコンテンツを書き始めてしまったのか?
書いてる間は、ボンネット乗ってる時の達磨一家・日向紀久位祭りだ、祭りだー!って気持ちで楽しかったのですが(ボンネット乗ってる時の日向が祭りだ、祭りだー!って楽しんでるかどうかは知らんのですけど)書き終わってみると、理性の在処が一切分からない内容に仕上がった事に、怪物を創り出してしまったフランケンシュタイン博士ってこんな気持ちだったのかしら?と、自分の記事を持て余している次第です。
 
とはいえ、夢系の基本として「あなた」にはパーソナルな情報は殆ど付与せず、性別・年齢も不明な状態になるようにして書いてみたので、ご自分を重ねてみたり、自分にとって都合のいい「あなた」を当てはめてみたりして活用いただけると大変嬉しいですし、「ええい、こんな殺され方は全然見当違いだ! 私だったら、こう殺される!」という妄想をお持ちの方は、私が楽しいので、どうか発表してみたりして下さると、私が楽しいです。(いよいよ崩壊してきた文脈)
それでは、読む地獄と言える妄想文に長々とお付き合い下さいまして、ありがとうございました。
他人事でした。