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西荻窪 三ツ星洋酒堂 第五話 感想文

どこまでがオリジナルで、何処までが原作通りなのかは私には分からなくて。

だから、私が見る限りにしぼしのドラマにおいてはという前提で書きますけど30分に満たないドラマで「夢を追う事と家庭を持つ事は両立できるか?」とか「血のつながらない子と家族になる決意を固めるまでの説得力」とか多分書けないし、今の時代に即した見てる人にとって優しい価値観を示す事は出来ないのだから、そこは手を出さない方がいいよとは思いました。

 

 ゲストにまつわるお話は、私にとっては今回余り良くなかったです。

すぐに私は一番振り回されてしまう弱い立場の事を考えてしまうし、それは当然私だけじゃないと思うので、作り手側に「難しい事に挑んで、上手に出来なかった」という自覚だけはあって欲しいなぁ、倫理的な意味でという事も考えてしまった次第です。

子供がいる以上あの二人の間だけで家族になる、ならないの可否の決定は出来ないし、主眼を置くべき場所が少しずれてるんですよね。

あの二人の問題じゃなくなってるんだよな。

だから、凄くモヤモヤしちゃった。

いや、分かるやで?

ああいう話になった意図は分かる。

つまりにしぼしの三人組が置かれてる状況、心境にフィードバックされるようなゲストキャラの話を御用意したかったんだろうなって分かってる。

最終回を前にして、小林が頑張るお話が必要で、だから執筆活動に固執する余り家庭が崩壊した小林と境遇が重なる、夢を追う事と家庭を維持していく事を両立させる事の困難さに直面しているゲストキャラを描きたかったのは本当によく分かるんです。

とはいえ、今回のゲストカップルにおいて彼女がプロポーズを断る理由を『男が夢を追っているから』にしてしまうと彼女が彼の作る曲が好きで、音楽活動を応援しているという前提に抵触してしまう為、実はバツイチ子連れだから彼の邪魔になってしまうので自分は身を引くという書き方にしたのだろうという事を察しない訳でもないのですが、それってさぁ!

いや、もう「結果」の為に過程を描く余白しか与えられてないドラマに対して述べる事じゃないのかも知れませんけど、それでもそれってさぁ! 子供の存在、あんまりにもないがしろにしてない?!ってなっちゃうのです。

カップルの障壁として書かれてしまう子供の存在は、例え物語の上においてであっても私にとっては承服し難い惨い仕打ちだ。

 

『ママはお付き合いしてる間は彼氏には、私の事を伝えていませんでした。

私が彼氏とのお付き合いには邪魔だったからです。

彼氏は私の事を知らずにプロポーズして、ママは観念して私の存在を伝えて、彼氏と別れる事にしたそうです。

私の存在が彼氏の夢の邪魔をするだろうと考えたから。

だけど、彼氏は私の性別も分かってないうちから私のパーソナリティについて何も把握してない癖に家族になろうと言ってくれて、ママも私との相性についても考慮せずに受け入れて、私の新しいパパになってくれました。

めでたし、めでたし』

 

いや、めでたくねぇし!!

無理じゃね?

普通に酷くね?

新しいパパ余りにも無責任じゃね?

ママは子供にも彼氏にも不誠実じゃね?

子供辛くね?

自分のママと新しいパパにとって「邪魔」だった時代を強制的に付与されちゃう子供辛くね?

 

別に母親全員聖母説とか唱える派閥には属してませんし、これ父子家庭の父親と夢を追ってる女の子のカップルだったとしても、勿論言いますけど、ちょっと諸々乱暴だなって第五話は凄く思いました。

乱暴に取り扱ってはいけない部分を乱暴に取り扱う位なら、書かない方が絶対良いよって思うので、『子供』の存在を例え台詞上だけであったとしても出さないで欲しかったなって私は思ってます。

子供要ったかな?

時代はさ、ちゃんと「生活力がない男が将来の展望を描けないうちからプロポーズする事は無責任だ」と感じる女性の存在を肯定してると思うんだよね。

「夢を追う貴方が好きだけど、支え続ける自信も実力も私にはない」という現実だけで充分だったんじゃないかな?

彼女が彼氏のプロポーズを断る理由としては。

少なくとも、私は彼女が彼氏が結婚を決意するまでの付き合いをしておきながら、その間ずっと子供の事を隠していたという、その一点でちょっと色々拒絶しちゃって。

彼氏が子供の事何も知らんのに彼女と結婚したいという気持ちだけで、子供の父親になる事も決意する姿が怖くなっちゃって。

そこは深夜の30分ドラマだから、色々大目にみないとなって私が思える範疇を超えてしまっていたし、ゲストの事を応援出来ないのは、にしぼしのドラマ構造としては致命的だと思うので、やっぱりあんまり良くなかったなって感想を私は第五話に対して抱いています。

キャラクターを道具にしない方がいいんだと思います。

にしぼし三人組の心に波風を起こす為の道具としてゲストを使おうとすると、こういう具合になっちゃう。

第四話は小久保さんが怪物役者だったので芝居に夢中になる余りに引っかからずに済んだ、物語の軽薄さを今回むき出しで目の当たりにしてしまった気がして、私はちょっと閉口してしまいました。

第二話における育児を理由に夢を諦めようとする母親の話でも感じたけど、ジェンダー感が古い気がすんだよな。

大団円に持ってこうとする道筋が古いステロタイプの枠に沿っちゃってるから、制作者側が「これこそハッピーエンドでしょ?」という提示に、私は頷けないでいるのかも知れない。

私が応援できないエピソード持ちのキャラクターを、にしぼし三人組が応援してるのもね、私の認知が歪んでるのかな?とか、ちょっと落ち込んじゃったりしてね。

 

GYAO君のネット記事で雨に濡れた雨宮が小犬みたいとか書かれてて、私は以前第二話の雨宮が聖母みたいって書かれてた時に「落ち着けってwww町田啓太の身長幾つあるか知ってる?www出身大学は?wwww片手でリンゴ潰す、スケバン刑事麻宮サキみたいな男ぞ?wwww」とか大草原に佇んでたのに、ドラマ見たら明らかに聖母だった事件があるのですが、今回はこんなに認知歪んでる私は、雨宮の事GYAO君みたいに子犬に見えないかもしれない…とか怯えたのですが、びしょ濡れ雨宮はちゃんと子犬に見えたのでよかったです(?)

いや、子犬に見える方が歪んでるのか???(推しの認知に対する混乱)

いずれにせよ!

冒頭、缶詰を眺めてセンチメンタる雨宮の腰の位置は、相変わらず「お腹、存在する?」って場所にありましたし、小林と会話するシーンは小林の表情もさることながら、雨宮がずっと綺麗で。

本当に、今も見返してたのですが「なんて綺麗な人なんだろう」って思う程真っ白に綺麗で、その顔を見せられたら諸々お話の乱暴さを呑み込んじゃう私もいて、出演してる推しが綺麗という加点のデカさを噛みしめてしまいました。

お町田さんは「寂しい」という気持ちを表情で表現するのが本当に巧い人で、「寂しい」気持ちの美しい部分を抽出して表情に乗せる名人で、来週その匠の技を炸裂させまくってくれる予感がするので、来週の最終回を心から楽しみに待とうと思います。