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JAM -the drama-  第2話感想

地獄の釜が開く音かな?って思ったらタケルの笑い声だったって書いて、これjamドラ第二話見た人にしか伝わらん感想だよなって分かってる。
穏やかな日差し差し込む公園で恋人と並んでベンツに座る推しの姿、類似光景含めてドラマで散々拝んできたのに穏やかに笑う顔がずっと同じ温度で。
タケルが自分と一緒にいる時に、彼女だけが見舞われた不幸について笑みを含んだ声で語り続けてる間、ずっと同じ笑顔でいる人間ってこんなに気持ち悪いんだって推しに思い知らされて私の目玉は徐々に裏返っていってしまった。

拒否だ、拒否。
怖くて。
見るのを目玉が拒否ってた。


流れてくる映像は全部コントで、出演者も監督も笑いながらこれ撮ってたでしょ?って分かってる。
現場はそりゃ楽しかったでしょうよ!ってちょっと怒ってる。
最後のタケルが立ったらベンチが傾いてズゴー!!みたいなのだって、もう美咲の足が「はいはい、スケキヨね!」みたいに生えてるとこからして、全編コントなんだけど、ごめんな? やっぱ、笑えねぇんだよ(泣きながら)
いや、笑いつつあったけど、私の力不足で笑いきれんかった。
笑う程には、私の胆力が及ばなかった。
ていうか、ここにきて映画で「この役に清水くるみは勿体ないお化け案件!」って喚いてたのを取り返すみたいにくるみちゃんが凄くって、不安の中に少しずつ恐怖を混ぜていくのを言葉なく表情だけで見せてくれて、その表情に見てるこっちの気持も引き寄せられていくんですよね。
タケルの「ヤバさ」を肌で感じちゃってる表情っていうか、全身の毛が徐々に逆立ってタケルから少しでも離れようとする仕草とか、全部が全部視聴者の共感を呼ぶやつで。
彼女の芝居がなければタケルの恐ろしさは成り立たないし、少しでも「いや、言うてもタケルみたいな顔の良い男に想われるんだから良くない?」って羨ましい気持ちが湧き上がったらタケルと美咲の関係って成立しなくなる訳で、そんな気持ちを微塵も感じさせない死神に心臓握られてる最中みたいな美咲の表情に私までタケルに心臓を握りしめられてるような心地がしてゾッとした。
明るい陽射しの下であっという間に「歪み」が提示されたタケルと美咲の関係性に私は白目剥きそうになる目玉を何とか引き止めつつ、これまで夢見心地に語ってた「推しに人生狂わされたい」なんて言葉、所詮戯言でしかなかったんだって気付かされた。
推しの顔した男が付き合った相手の人生を狂わせる様を見て「許して下さい」って神という名のSABU監督に私は咄嗟に祈ってしまった。

大体さぁ、jamドラ直前キャスが、ほんとに平和だったのよ!

あ、これ文句なんですけどね。
キャスの秋真さんが私の凄い好きな秋真さんで、おのちゃのからかい方も、まさやすへの態度も、遅刻おざさんへの弄り説教ムーブも顔も全部好きで、私ずっとニヤケ顔でしたもの、この時は!
もう「秋真さん、だーい好き! 秋真さん、リアタイしながらアベマのコメント読むって言ってたよな? よーし! 私もテレビで視聴しつつスマホでコメントとか張り切ってやっちゃうぞー!」とか決意してる私バカ。
秋真さんの可愛さに、調子に乗って


なんてツイッタに「ほらほら~! 私ったら死亡フラグ立てちゃいますよ?(チラッ)」なツイートしてる私の舐め具合がクソバカ。
Abemaにコメントなぞ、たった一言「キャスからきました!楽しみです」みたいな事を流した後は完全に沈黙の戦艦状態だったし、死亡フラグはきっちり回収した上「タケル怖いとしか何も言えません」という仮にも感想書きブロガーとして「ダサオブダサ」なツイートしか呟けんくなっとったわい。

可愛い劇団四人のキャス直後にタケル見る私の気持といったら、もうね?


高低差がエンジェルホーーーーーーーーーーール!!!!(憤怒)


地面に辿り着く前に風圧で身体がバラバラにされるやーーつーーーー!!とか、今になって感想に怒りをぶつける事出来ますが、放映を眺めてる私の表情といったら、全編作画楳図かずおでお送りしております具合であった事を机をダムダムしながらお伝えさせて下さい。
大体、冒頭からお送りされるタケルと美咲の思い出話時点で「別れな」って心からの声で呟いてたものね。
もう、美咲のお母さんか私かっていう位の真剣30代喋り場ボイスだった。
ダメだ、あいつ。(色々考えてこの言葉しか出なくなった)
一刻も早く美咲には逃げて欲しい。
映画のタケルからちゃんと辻褄あってるのにドラマ版で見た事ないタケルの「怖さ」を剥き出しにしてくる手腕が見事過ぎて卑怯だと思うし、24CL深夜のjam上映会でタケルについて「この人が一番いい人って事ですね」というような事を述べていたバリちゃんらには、どうにかして謝りたい。
お町田さんを推してる身としては勝手に謝りたいと罪悪感を抱く程にドラマのタケルは一線を越えた非人道的存在である事が明確に提示されてしまって、私はずっと「地上波無理だと分かっていても、地上波にこの町田啓太を放流したい」と切望してしまっておりました。

推しが世間に阿鼻叫喚を巻き起こすとこは…さ?
見たいやん?
オタクの夢やん?
推してる身としては、沢山の人間が推しに怯える地獄を目の当たりにしながら同じ地獄に堕ちたいやん?
全員で血の池地獄という名の推しの沼に浸かろうぜ~~~!!!!とかコールしつつレスポンスを待ちぼうけしてる私は、何とか沢山の人にjamドラを見て貰う為なら「タケルって役は町田啓太演の魅力が大爆発していて、記憶を失った恋人を取り戻す為に色々頑張る話なの! 頑張り過ぎて、ちょっと空回りしちゃうトコロもSO CUTE! 今世紀最高のタケルの恋は絶対に見逃さないで!」位の嘘は吐いてないけど、微塵も真心のこもってない宣伝文句も捻り出せる訳なのですが、jamドラ2話視聴後の各所での感想を見るに素直に「町田啓太が美しい人間の形をした『地獄』を演じています」と述べた方が見てくれる人が多い気がするので、この感想を更新後に折を見てツイッターでも呟いておきますね。 

しかし、第二話に限って言えば(いや、第三話以降もこの地獄が続かない保証はないのですが)タケルのシーンとタケル以外のシーンにおける私の心境の違いがエグかったなって、今しみじみしています。

レスリーチャンチャンと可愛い山下・金城二人組のシーンなんてタケル直後という事もあって私の顔はデロデロに溶けてました。
冷静に考えると映画ではラーメン屋の主人だった若者が、いきなり香港の映画スターになってるとか名前がレスリー・チャン・チャンであるとか、元チンピラが事故を切っ掛けに超能力を手に入れてバラエティ番組のオーディションを受けてるとか、相当巧くやらないと成立しない設定だし、私もSABU監督作品以外だったら「そうはならんやろ」と呆然とさせられるところなんですけど、これが視聴者を冷静にさせない展開の連続で脳にパニックを引き起こさせた挙句、物語全体において「意味が分かる」と「意味が分からない」の配合が絶妙であるが為に「滅茶苦茶面白い」に強引に押し流されちゃってて、しかも監督がおふざけの為に仕込んでる立ち回りのシーンはガチでレベルが高いし衣装も素敵だから、一切冷めずに夢中にさせられちゃうんですよね。
秋真さんがチャイナなお衣装で立ち回る姿とか(そもそも黒ジャージに金アクセの時点で「好き!!!」ってなってた)、もう「前職で色々あったけど投げ出さずに最後まで頑張って積んだ徳がこうして返って参りました! ありがとう! おかえり! あの時、積んだ徳!」と、感情が振り回され過ぎて結果過去の自分に感謝しちゃいましたもの。
正気の沙汰とは思えない!
寛ちゃんの軌道が美しい円を描いて、最後に相手のこめかみに向かって角度を落とす素晴らしい蹴りも沢山見られたし、カンフーポーズ決める可愛いまさやすに私はヒーローショー見てる子供みたいに拍手させて貰ったし、SABU監督が劇団ちゃんコンテンツでふざけると色んなコスプレ見せて貰えて目に幸せだなって思って…うん、まぁ、お察しの通り劇団ちゃんの可愛いの力で必死にタケルの怖さを忘れようとしてるんですけどね?

そうやって必死になった結果、最早MASAKOすらね!
タケルの怖さから逃れる為の安息所になりましたもんね!

新感線クラスタからすると自分が劇団から辞める際に主宰に「替わりのヤツ連れて来い」と言われて古田新太を生贄に劇団から逃げ去った、云わば新感線クラスタにとって「恩人」とも言えるエピソード持ちのいっけいしゃんがMASAKOの亡くなった旦那さんを演じてるシーンは本当にテンション上がって、上がって。
私の大好きな小劇場の匂いがするー!とか深呼吸した瞬間に退場されてしまって「ふがっ!」とか咳き込んじゃったのだけど、MASAKO既婚者だったのね?とか、夫婦のご自宅の小奇麗さからすると、今MASAKOが住んでるお家の様子からして色々苦労したのかな?とか思いを馳せちゃったり、猟奇的にヒロシに入れ込む事になった経緯について考え込んでしまったり、MASAKOに対する感情が映画見てる間もだけどドラマにおいてもどんどん変化を促されてしまって、Jamドラのジェットコースター感の源ってMASAKOにあるよなって再確認させられたのでした。
今回タケルという超ド級の生き地獄が出現したせいもあり、MASAKOが回想シーンがどのシーンもドラマクォリティではない短編映画じみた美しさだった事もあって、彼女が私の中で猟奇的トップオタからまた別の物語性を孕み始めてしまったのよね。
まぁ回想シーン直前にスタスタ歩き始めたMASAKOの姿には「歩けるんかい!!!」ってドラマリアタイ勢と心を一つにさせては貰ったのですが、SABU監督笑うのと怖がらせるのとしんみりさせるのを全部ごちゃ混ぜにして「ワンプレートランチっす」って提供してくるもんだから、視聴者は笑いながら怖がったり泣いたりする病的な心境まで追い詰められちゃうんだよなぁって、ちょっと恨めしくも感じるのでした。

舞台稽古のシーンだって、業界をdisってる?って疑いを抱くスレスレの妙なリアリティと「なんて?」な展開のアンビバレンツ具合がおかしみになっていて、SABU監督のイキってないふざけ方ってやっぱ堂に入ってんだよなって何度も感心したし、青柳さんの立ち回りの腰の据わり方、浴衣の似合い方、マジで強そう感異常だったし、演歌歌手の肉体じゃないすぅえどんも堪能できたし、世良と滝口の組が借金のカタに興行仕切る事になる展開凄く面白い!って膝を叩いたし、川本成さんまでいらしてリサイタルとドラマの世界が地続き! 虚構とリアルの区別が曖昧になる!って大喜びしたし、もうねタケルの怖さなんて忘れた! テツオが大型ワンコな番犬よろしく健やかに劇場に登場してくれた事も含めて、大満足!
第一話で得た期待値以上にjamドラ第二話楽しかったです! よし、愉快な気持ちで楽しく感想書くぞ!と決意したんですけどね?
こうやって、感想書いても、書いても、タケルに取り憑かれたみたいに暗闇の中で緑の非常灯の下で笑う顔や、血を額から流しながら「どうして?」と問い掛ける声、美咲の足首を掴んだ手を蹴りつけられる様や、白い顔に赤い筋を刻み続けながら夜の町を駆ける姿が頭から離れなくて、他の事書いてても、美味しい物食べても、仕事中でも頭の片隅にタケルがいて、しょうがないので最後にもう少しだけ、対決するみたいな心境でタケルの感想を書かせて下さい。

第二話って結局、美咲が主演でタケルという怪物に執拗に追い詰められ続けるホラー作品だったなって、私は捉えてしまっているんです。
その結果、今のトコ私が推しが演じてる役の形容詞が「気持ち悪い」「生き地獄」「怪物」と酷い有様で、「ほんとに推してる?」って自問自答しつつ、推してるからこその物言いでもあるのですが、病院から逃亡を図る美咲を捕まえて(タケルが神様に「タイミング」という幸運を常にもたらされる特別な人間である事は映画の時点から明確に伝えて貰ってはいたのですが、まさかドラマ版でこんな悪意のある捻り方をして、その彼が賜った『ギフト』の見せ方をしてくるとは思ってなかった)「ぼくをしんじて?」と言いながら美咲の手首を握って歩き出す姿もう「連行」とか「拉致」とか「連れ去り」とか頭の中を物騒な言葉で埋め尽くされちゃったし、美咲も目を見開いて目の縁を真っ赤にして耳を掴まれて引きずられてる兎みたいにしか見えなくて、こんなに推しが恋人の手を握って歩く姿が怖い事ってある?とか脳が完全にバグってしまいました。
タケルは徹頭徹尾綺麗な顔をしたままでいるのに、愛らしい美咲の顔がどんどん憔悴して、前歯が目立つようになって、褪せて、枯れる寸前みたいな姿になっていくのも、ずっと怖かった。
美咲の悪夢に現れるタケルも怖けりゃ、最後ポットで頭何度も殴られても美咲を追いかけるタケルも怖くて、第二話の後で自分でもどういう心境なのか計りかねるのですが、映画jamを再生して、タケルが車待機してる際にトイレ行きたくなってる姿を見て「よし、少なくとも生理現象がある生き物!」って確認して少しの安堵を得る位には、町田啓太の容姿はタケルの人外魔境味を助長していました。

お町田さんだからこそ、タケルはこうなったんだなって思うし、SABU監督は、大きな白いスピッツみたいだと評した男にこういう役をさせるんだって、その精神構造に惚れ惚れしてしまったのです。

今、TVに映る度にトレンド入りする、そういう役者になった町田啓太を安易な役ではなく、タケルという脳に焼き付くような、他の作り手では絶対に生まれないような、特異な「おぞましい」キャラとして表出させた。
おぞましい推しを私は全身で享受し過ぎて、ちょっと具合も悪くなった。
その事が、私は嬉しくて嬉しくて。

うん、書いて初めて気付く鈍さに驚いてるんですけど、そうか、嬉しいのか私は。

今やっと、ここまでの文字を費やして、感想として文字を書いて書いて、なんて迂遠な人間なんだろう。
文字で遠回りをしないと、このゴールを見つけられないなんて、面倒臭いオタクだぜ!って自認しつつ、私は町田啓太が演じるタケルのおぞましさ、気持ち悪さ、恐ろしさ、境界の向こうの生き物としても生き地獄っぷりが大好きな事を若干の敗北感を抱えながら認め、具合が悪くなる程に嬉しがっておりますので、「あー、体調悪くなるんだろうな」って覚悟しつつ、第三話も楽しみにしたいと思います。

 

そっか、私は推しの生き地獄役が嬉しかったんだ。