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JAM -the drama-  第3話感想

Jamドラ第三話まで見守って、映画も抑えてんだし少し位は世界観と速度に慣れようぜ?とか心に決めていたんですけど「無理やで」って笑顔で肩を掴んで言い聞かされてるみたいに、無理やで回でした。
SABU監督の疾走感、連続ドラマで提供されると尋常でないのが分かり過ぎて、常識とかルールとか全然通用しないな!って、いっそ痛快さすら感じますからね。
ていうか、今回勝手に思い込んじゃったんですけど、SABU監督って劇団ちゃんのオタクなのかな?
いや、なんか映画の時は「物語を構成する一員として劇団EXILEが出演してる作品」になってたけど、ドラマ版は「劇団EXILEの為の物語が展開される作品」になってて、劇団箱推しのオタクの二次創作みてぇだな!とか何度か思いましたもの。
先の予測を立てる事を手放しで諦めてるという側面も私には備わっていますが、九人がいい加減で大雑把に、過去の因縁をあっさり放棄したりしつつ、因業因果に導かれて舞台公演に集い、共に歩く様に「こういう風な物語になるのか!」と、映画版のアッパーな仄暗さ(アンビバレンツしてる事は分かってます)からの変容に素直に驚いたしね。
キャラクター全員に相互の関係性を持たせて、劇団員を全員を同じ場面に集合させるのとか結構面倒臭いと思うんだけど、それでも劇団勢揃いの場面を作ってくれるとこに劇団箱推し人間としては「ははーん? つまり、SABU監督は相当劇団EXILE好きやって事やね?」とか勝手に類推してしまうわけで。
各キャラに付与された設定も、好意を抱いて貰ってるからこんなに可愛かったり、遊びのあるキャラになったんだなって映画版からの変遷に感じ入るのもファンとしては自然の摂理ですし、監督と私はこれで劇団箱推しメイツだね!二人はズッ友!と某地方都市の片隅で勝手に認定してニチャァと笑う位には、「劇団EXILEのオタクである監督(しかも手練れ)が撮った連ドラ」を視聴出来る事を嬉しく思う私もいるのです。

まぁ、ね! その9人のうち推しが演じるタケルだけが、突出して怖い存在なのはなんで?とか首を傾げるし、首を傾げたままタケルが乱入してきた組員の方々に指を落として貰うだの物騒な脅しをかけた後に笑顔で「差し入れ、どうぞどうぞ~!」とかやってる姿を見ると「SABU監督作品における町田啓太の最適解」としか思えないので「流石、劇団EXILEのオタクの劇団に対する解像度の高さ、パねぇぜ!」とか顎の下の汗を拭うのですが、しかしテツオの暴力性とMASAKOの狂気性って映画版jamのスピード感を担う両輪だったと思うんだけど、jamドラはその二人が可愛くなっちゃった代わりにタケルが狂気と暴力どっちも担う事になっちゃって、全方向に怖いという結果に陥ってるの、もう笑っちゃうよね~?(笑えない)

第三話において特に可愛い担当だったのがテツオである事に異論はないかと思うのですが、テツオが喋っちゃう事に関しては、私は結構寂寞っていうか、暴力しかコミュニケーションの方法を知らない男が語らない事で担っていたjamという作品の表現の豊かさを好んでいたので、事前情報で散々のぶが饒舌に「今回テツオは喋ります!」と訴えてる段階から「寂しいなぁ」って思ってたんです。
喋っちゃうのか~って。
ただ、連ドラになって彼の人間性の発露とか、恋に落ちて更なる極端さを発揮する様を役柄の魅力として発現したいとなった際に、ずっと喋らないでいるよりも「恋に落ちた相手に尽くして敬語になって、彼女のため以外には相変わらず喋らない」という手法はコメディ的役割の付与としても面白いなって思うし、正直テツオが「EXILEプロデユーサー」言うた時点で口に含んでた麦茶が全部霧になったので、ハイ、私の負けー!と認めざるを得ない訳ですよ。
この世でEXILEプロデューサーなんて思いつくのSABU監督だけやし、LDHコンテンツだからこそ口に出来る台詞をぶちかまされてしまっては「この一言の為にテツオを喋らせる事に決めました」って言われても「面白いから、しょうがないか」って納得させられる私がいるのです。

第三話は、第二話から比べると随分可愛げのあるというか(まぁ、タケルが怖すぎただけなんすけど)これからの展開の為に、急ごしらえにインフラを一気に整えました!みたいな回だったので私的には戸惑いも多かったのですが、同時に劇団ちゃんが雁首を揃えてわぁわぁ言い合う映画では見られなかった光景をjamという世界で見させて貰う事が出来て、このドラマもう、私の好きになる要素しかないな?と確信させて貰える回でもありました。
大衆演劇の筋立てが「あるあるあるある!」みたいな任侠物なのは前回からずっと面白いんですけど、加えて山下・金城はお洋服可愛いね?要員として、今回も舞台衣装がすこぶる可愛い姿見せて貰えたし、映画版では組での関係性が不明だった世良と滝口との丁々発止の掛け合いを見て、フラットな立場にあったんだなって知る事が出来ました。(あと、すんなり金城と山下は足抜けさせて貰えた上に、元組員に対してデカい口叩けてるって事は、どっかの組のフロントやってるような企業の構成員だったのかな?とか思いを巡らせる事が出来て楽しかったです)
チャンに関しては、メタ的な楽しみ方ではあるのですが世良の演出に素直に従う姿とか寛太とおざさんの関係ではありえないから、とても新鮮~!と嬉しくなりました。
ヒロシもタケルの正体が判明した途端、返事から表情から一気にキョドる様や、妹のありとあらゆる危機ですら他人事ムーブでやりすごす姿に「それでこそ、ヒロシ!」ってMASAKOみたいに「ヒロシーーー!!!」の掛け声あげたくなっちゃったし、しつこいようですけどタカシはヒロシと付き合ってた設定、どうなったんですかね?(忘れてない顔で)
ただ、タカシのヒロシに対する態度って「んべっ」って舌出したり、「ふん!」って生意気盛りな感じなもんだから、タカシとヒロシ再会したらどんな感じの間柄になるんだろ?と想像してた以上にめちゃんこ可愛くて、すぅえ~どんがこれまで演じた役としてもこういう類のキャラは超新鮮なので、只々目を細めて愛でてしまっております。

今回は世良と滝口だってどんどん可愛い子ちゃん化して、滝口はモノ作りの楽しさとか、まともに口を利いてくれる仲間が出来た嬉しさを素直に口にしてる様に、これまでこういう事を知らずにきた子なんだろうなってすぐに切なくなっちゃったし、それを茶化さずに肯定する世良もやっぱり切なくて、こういう切なさを彼らに付与すると監督が決めた事を寿ぎたくなりました。
だからこそ、ラストにおいて世良・滝口が服に悩んで公演に遅刻するなんて可愛いを差し挟んだ直後に、二人が刺される展開は「引きが強い!」と膝を叩きましたし、まぁ、バースデーボーイズのメンバーなので、命に別状はないでしょ!という安心感から、悩んで決めた白いスーツで刺される世良良すぎない?!って前のめりに堪能したといいますか。
ドローンで上空から撮影される血で一張羅を汚して倒れる二人の姿が最高だったというか、世良の白いスーツと赤い血のコントラストがハッとする程に鮮烈で、何もかも良すぎて「何もかも良い!」としか言えないなと惚れ惚れした事をお伝えさせて頂きます。

今回も推しのヤバ柔和怖い役であるタケルは、世間受けを狙った凡百の萌えキャラに収まらず、二代目という立場まで表明されてしまって、今回登場してないのに美咲の事を想うとハラハラと落涙してしまいそうな程に地獄怖かったですし、いよいよ来週には先行公開されている話数に追いつける第四話が見られる事も楽しみにして、今回の感想を終えようと思います。